”BLACK BEAUTY”な日々
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Boogie
地下鉄を使って通勤時間が1時間弱。しかも最寄駅が始発なので、車内でゆっくり本を読める。家で読書などしようものなら、1歳半の怪獣が「あー!!」とか言って本を取り上げられてしまうので、唯一の時間が地下鉄の車内という事になる。 そんな訳で、今日は書評をひとつ。
『水辺のゆりかご』柳 美里 角川文庫
作者の自叙伝的作品。 在日、いじめ、両親の不仲、性的虐待、自殺未遂etc およそ人間が経験しうる不幸がこれでもかとばかりに繰り広げられ、やがて作者が創作に目覚め、再生を図ろうとする過程が描かれている。
この作品が単なる在日朝鮮人の苦労物語に終わらなかったのは全体を貫く「客観性」だと思っている。自分自身の経験をあたかも別の自分が眺め、描写しているニュアンスが強く残る。 この「醒めた感覚」ってのは実は俺は大好きで、そいう感覚を持ってるミュージシャンには強く惹かれる。 100%熱いミュージシャンってやっぱカッコ悪いじゃん。 クールさがないとね。
本来、著作権に触れる行為だが、引用する。 こーいう描写は好きだ。
『記憶はひとつの物語でしかなく、ひとは往々にして自分に都合のいいよう創作しているものだという考えは、過去の経験の重みにたえかねていた私にとって刺激的だった。』
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