”BLACK BEAUTY”な日々
Paranoia Days INDEX|Did The Old Boogie|Wanna Do The New
Boogie
未練がないと言ったら嘘になる。かといってバンドを続ける決意も真意ではない。 つまり、どちらの道を選んでも自分を欺くことに変わりはない。 そうであるなら、未練を残しつつもTHRILL FREAKSを封印してしまう方を選ぶべきだろう。ダラダラと伸びきったゴムはいずれは切れ、お払い箱になる。そんなライブを続けるのはメンバーや客に対する最大の背信行為だ。俺が解散を考えた思考プロセスは大筋でこんな感じだった。 もっとも、封印したいというのは俺の勝手なセンチメンタリズムであって、他の2人は新しいギターボーカルを見つけ、THRILL FREAKSを再生させることも選択肢の1つとしてはあったはずだ。けれど2人にはその類の考えは皆無だったと知った時、俺は何とも表現できない安堵と2人への感謝を覚えた。 2人には有形無形の様々な物を貰ったが最大のプレゼントは「人との出会い」だったのではないか、と思っている。2人と出会わなかったら絶対に出会えなかった人達の中でBBSや酒の席にほとんど顔を出さなくなった俺を心配してくれた人も少なからずいた。 自分の心が病んでいるのではないか、と疑い始めたのが昨年の夏から秋の頃。自分とは全く無縁の出来事であると信じたいが為に、さらに仕事に没頭する日々。 気が付いたら週末は家から1歩出るのさえ苦痛になり、眩暈の頻度も明らかに増えた。自覚をしなければならない、その為には医師の力が必要だ。こう考えるまで何ヶ月もかかってしまった。改めて自分の愚鈍さというか呑気さに呆れ返って」しまう。 丁度、バンドが活動休止になった時期とシンクロしているので活動が再開すれば解決する問題なのかもしれないという希望もあったのだが、問題はそんなに単純ではなかった。今の自分にとってバンドを続ける事、というかTHRILL FREAKSで曲を書き、ギターを鳴らし、歌を歌う事は残念ながら心に負荷を与えてしまうこととイコールだと認識した。しかし、逆を言えばそれだけ自分は表現というものに真摯に向き合って来た証でもある。真剣だったからこそあれほど迷い、苦しんで出した結論だったのだとも思っている。 時期が来たら3人でゆっくり話がしたいな、と思っている。百万ドル積まれても譲ることの出来ない大切な日々の事を。
2005年4月21日
石川 仁
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