MILETは音楽が好きである。 演劇も好きなようだ。 歌も、好きである。 となれば、当然オペラが好きと言うことになるだろう。 ミュージカルも好きらしいが、 オペラはそれよりも更に、好きらしい。 昨日の夜、 MILETの実家から電話がかかってきた。 何のようだと思ったら、7月にオペラへ行こうと 連絡を入れたのに、MILETが電話に出なかった、 というようなことを、言ってきたのだ。 母親が電話をしたと言ったとき、 MILETは家にいて小説を書いていた。 電話口のすぐ傍での作業である。 気づかないはずがない。 「だから、お友達誘ったわよ。『コウモリ』よ」 「えーっ。絶対、知らない人に電話したんだよ」 「そうかなぁ」 「留守電に怪しいメッセージ、残したんでしょ」 「留守電になってなかったよ」 「じゃ、絶対、うちではないって!」 MILETは習慣的に留守電のスイッチを入れている。 当然、家にいるときでも留守電は入りっぱなしだ。 時々、俺様が留守電メッセージを 確認してやっているぐらいである。 それをMILETは悪戯だと思っているらしいが。 「まぁまぁ。きっと、断ってくるから。そしたら行こう」 「もー。頼むよー」 …全く。 どういう親子なんだか。
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