部屋に入っても彼女は座ろうとしなかった。 立ったまま、じっと僕の方を見ていた。 悲しいとも、嬉しいとも分からぬ表情。 無言で僕を見詰めていた。
そこで僕は気付いた。 彼女の異変に。
彼女は明らかに痩せていた。 とても2週間で痩せるような痩せ方ではなかった。 それは…病的な。憔悴といった感じの。 痩せ方だった。
僕はゆっくり、恐る恐るといった風にベッドに腰掛ける。 彼女はそれを目で追った。 明らかにおかしな雰囲気だった。 いつもの彼女ではないようだった。
今までに感じたことのない沈黙が流れる。
僕は意を決して なぜ2週間も姿を見せなかったのか。 なぜそんなに痩せているのかを聞こうとした。 いわゆる、禁を破ろうとした。 少しだけ。
そうせずにはいられなかった。
その時、僕の言葉に覆い被さるように いやに通る声で 彼女が言った。
「あなたが好き。」
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