「命綱」
あれほど不要だと思っていたものが今では僕の命綱。
「涙の選択」
なにか私のひとつでもって人に涙を流させることができるとしたらそれがどういった涙なのか私は選ぶ。できれば笑って流すことの出来るものならと思うのだけれどそう願ってはいてもやはりしっかりとそれを選ぶのはとても難しい。泣かすことだけなら割と簡単だから余計に私は誰かの側にいることに気を使うのです。私が先に泣けばいい?
「砂の影」
底に溜まる砂を見る。渦を巻いた動きもしない全くの影行き先の影。どうしようもなく不安になる。
「必要最小限」
それはきっと素晴らしく気持ちの良いこと。たとえば一言で伝えられたら。
「戸惑い」
戸惑いを覚えるほど急速に膨らんだもの。あまりに不可解で信用しきれない。理由さえない好きという感情。
「無力」
萎れ、激しく傷つきそれでもすぐに元気になるから、と言い私に笑い掛ける。少し疲れてはいるが諦らめたわけでもない、と。あなたにかける言葉がみつからない。どんな言葉を使っても癒すどころか慰めにもならない。そしてあなたもそんな事を望んではいないと私は知っている。私はこうしてあなたの横で無力を思うだけ。
「けむり」
湧きあがるものを煙草のけむりと一緒に吐き出したけど少しも薄まらないから吸いたくもない煙草をもう一本取り出す。
「精一杯に」
装ったのは偶然じゃなくて無関心。
「訣別」
もう電話はしません。あなたへ今なら間に合うからです。後になって後悔なさい。あなたへもう遅いです。
「こんな日は」
いつもはしないような事をわざとしてみてちょっと特別な自分になる。
「無口な雨」
白く、くすんだ夕暮れ。雲の濃淡がわたしを無口にする。流れる景色にはいつもあなたとわたし。
「曇り空に傘」
どんよりと空が暗い日はいっそ雨が降ってくれたら。あとは傘をさすだけ。
「鏡」
風の音その温度僕の影地面で折れて振り向く事などできやしない
「網」
網の上を歩く。砂はこぼれて絡まった。網を横目に。檻の様で木蔭に求めて手を伸ばした。網、故に羽織っても冷たい風からは守ってくれやしない。どうしても届かないものがある。捕まえて。離さぬと囁け。もって私は自由を得る。
「まぁいいか」
いつも触れているとありがたみがなくなるような気がして時々だけど冷たい素振りをした。そうしたら今度は君の方から触れてくるからなんかどっちでも同じような気になって結局、僕は遠慮なく君に触れることにする。まぁいいか。