「前進スクラム」
僕らはいつも息を切らしながら生きていたけどなんだかとても幸せだったんだ。明日にはさよなら。
「大人遊戯」
雲が白くて風が暖かい。薄っぺらかった山が逞しくなる頃遠くで草刈機の音がする。僕は君と過ごす日を一日だって無駄にはしない。野球帽の中にたくさんのタンポポを摘んでいこう。石を蹴飛ばしながら堤防を駆けていこう。日が沈むまで遊んだら水浴びをしよう。今日あった出来事を話しながら裸足のまま眠ろう。呼んでいるよ。ねぇ。次は何処へ行こう。
「想いハセル」
純白の一稜線。透ける海底の街。飛び出せば無音で入り込めば留まらない。距離は時間の流れさえ変えるけど縮める方法はあるとあの時、気がついた。私が影を落とす場所にあの人はいるでしょうか。
「装いに愛」
美味しいとこ取りで愛すつもりはない。ということを私なりの言葉で告げたけどあの人には伝わっただろうか。そんなに対したことではないしともすれば聞き逃してしまう些細な会話だったけど私にとってはちょっとした告白だったんだ。
「自由なる決断」
風に吹かれて跡形もなく。それは自由の中にあってこそ価値を持つ決断。潔く、純粋になにとも替えがたい。そう思えればいい。ましてやそれはあなたにとってとても大事なことだから僕は他になにもいらないんだ。
「優しい安眠」
-今夜は安らかに眠りたいです-そう言われて私は膝を正しゆっくりと慎重に時間をかけて考えた。あなたが望む事の核心を突きたかった。そして色々考えて夜も更けてあなたがウトウトし始めた頃あなたの頬を軽くつねってから眠ることにした。あなたは小さく笑ったので成功したのだと思っています。
「夕暮れの空気」
明日の予定も気にせずに夕暮れをあなたと歩く。私の視線の先をあなたが何気なく気にしてあなたの行く先を私が静かに追いかける。本当に些細なことだけどこうやってこれまで私が培ってきたものが徐々に変わっていく様をちょっと懐かしみながらあなたと語り合えればいい。