「相い対する」
あらゆる事象の基底値とされる時間軸はこと、生きていくということに関してはただ一つではない。
「祝福」
相手が誰かなんてどうだってよくて自分が誰かなんてあまり考えず今日が何曜日かなんて関係ないさ。大事なのはもう少ししたら日が暮れてもう少ししたらご飯の時間でお父さんの手は大きくてお母さんと一緒に寝たらもう明日になってるってこと。そう言えば明日もキミはこの公園に来るの?
「二度とは明けない空」
心からの優しさ。をにじませながら空は更けてゆく。それは美しさと共に終端を象徴するある種の荘厳な儀式でもあり侵食されて消えかかる悲しみの歌でもある。まるで人の死のように二度とは明けないものを私はできるだけ記憶にとどめようと息を呑んで瞬きすらしない。
「ボーダー」
大事なのは距離ではなく境界線だと思う。それは存在を個別化するために必要であるが決して乗り越えられないものであってはならない。僕らはその境界線が一体どんなものかを知るべきだ。越えるための通行証がある時は、言葉であったりある時は、優しさであったりある時は、沈黙であったりすることを知るべきだ。境界線があるからこそ僕らが抱き合った時なんだかとてもぼんやりとしたなんだかとても確信に満ちたなんだか温かな幸福感に包まれるんだということを知るべきだ。
「記憶の一部」
記録のためでなく記憶のために私は夢中でシャッターを切る。それは私が生きている時間をごく一部であるけれど表現していて少なからず、私が得たものの忠実な模倣であるはずだ。そうやって切り取られて止まったまま残った私の記憶に見る人がちょっと立ち止まって私という人間を理解してもらえたらいい。