花見に出かけた。 日中は雪と雨が降り、 3月末とは思えない寒さだった。 そんな中、夜桜見物へ出かけた。 とはいっても、車窓から眺めただけだ。 この寒いのに、桜の下を散策する人間が 実に沢山いて驚いた。 出かけた先は、小田原である。 小田原というのは古い町で、 天守閣もある。 天守閣近辺は城址公園といって、 小田原に住む人間どもの憩いの場だ。 堀端にぐるりと桜が植えられており、 天守閣と相まってなんとも良い雰囲気だ。 だが、バカな人間どもが せっかくの風情を台無しにしている。 城趾公園の中央に巨大なクリスマスツリーを 作ってあったのだ。 もう春だというのに、ツリーが輝いている。 風情がないどころか、せっかくの景観が 台無しである。 MILETたちも興ざめしたのか、 今度は少し山に入って、見物する人だかりも 見あたらない山の桜を眺めた。 雨上がりの暗がりに、ぼんやりと花が見える。 花明かりというのだそうだ。 俺様はいつしか夢心地となって、 MILETの膝で丸くなった。 目が覚めたのは、拙宅の近くだった。 桜は心が騒ぐ花だった。
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