ちきちき日誌




2004年07月24日(土)
『家』レビュー

島崎藤村の『家』を読みました。(ひさかたくんオススメ品)
タイトルとカバー裏のあらすじからなんとなーくイヤな予感はしていたんですが、前回読んだ『女の一生』と家没落つながりでした(苦笑)。

感想は───明治版「渡る世間は鬼ばかり」?(またかい)
前回読んだ『女の一生』は主人公・ジャンヌ1人が基本的に不幸なのですが、今回のは親類縁者そろって問題・悩みかかえまくりで、まさに「渡鬼」!!

お話は今回登場する親類縁者が多いので細かくは言いませんが、基本的には薬屋で主人公(島崎藤村がモデル)の姉が嫁いだ旧家の橋本家と、主人公の属する旧家・小泉家が共に様々な問題から落ちぶれていく様を描いたお話です。


橋本家は家長・達男(主人公の姉婿)が事業に失敗したあげく、”橋本家の血”で姉を置いて芸妓と逃げてしまう。
これがケチのつきはじめで、長男の正太も家は継がず、相場師などという夢を抱いて里を捨てて上京してしまい、妻があるにもかかわらず芸妓の小金と遊びほうけ、結局病気になって死んでしまう。
姉は番頭夫妻を養子に迎え帰らぬ夫を待ちわびながら寂しく年をとる。


小泉家の方は家長・実を救う為あれやこれやと弟の主人公兄弟で金策をして助けてやるも、兄はことごとく事業に失敗して破産。刑務所のやっかいになり本家はどんどん貧しくなりいまにも潰れんばかり。そこへ跡継ぎ娘が死んでしまい、家は途絶える。

主人公は、貧乏暮らしながらも妻を娶り田舎で教師生活をしばらくした後、上京して作家となる。だが、事業を起こす兄弟のために度々金策してやったりする為貧乏で、子供こそたくさんできるが、不幸にも3人も失ったりする。さらに妻の手紙を読んで昔実家の奉公人と恋仲だったことがわかり、妻の真意がわからなくなり、夫婦仲も円満にいかない。


『家』を持つのは難しいなぁ〜、というお話です。

家族構成はほぼ著者・島崎藤村一族をモデルしている(半自伝)ので、藤村ってこんな生まれでこんな兄弟がいるんだ〜、守っていかなきゃならない「お家」ってこういうモンなんだ〜と、いうのがよくわかる本です(笑)

うーん、キライじゃないけどやはし全体的に不幸(問題続き)なのであまり好きではないかな…。(ところでこの文庫なんで上下巻に分かれてるんだろう…1冊にしてもそんなに分厚くならないと思うのに)
今度はもっと短い本にしようと思いまス。



2004年07月23日(金)
医者に〜向かって〜とぼとぼとぉ〜

医者に行ってきました。

前回、夏対策を帽子以外全くせず出かけて寝込んだので(苦笑)、今日は肌に制汗スプレーかけまくり、紫外線対策に日焼け止めスプレーを塗りたくり、家を出ました。

バテないように道々銀行やらコンビニやら中古屋やらスーパーなどに入って涼んだり。

おかげで全然バテずに医者に着いたのですが───予約を入れてあるにもかかわらず、1時間以上待たされました。
…予約イミないじゃん!!

で、やっと回ってきたお医者さんで言われたのは、「また寝る時刻がおかしくなりつつあるので、そういう時は睡眠薬に頼ってください」というような内容でした。
せっかく脱・睡眠薬!と思ってたのになぁ〜。

で、次回の診察の話をしたんですが、せんせえがわたしがいつも訪れる2週間後が不在だというので次回の診察は3週間後になりました。
今回医者行って唯一のラッキーでした。

家に帰ると疲れがドッとでて、さらにお腹がめっちゃ空いて夕食がつがつ食った後、食べすぎも手伝って寝込みました(いいトシこいて…)
夏バテ対策してもやはり「若干」はクるようです。あとは自分の体力がないだけなんですが…。

ここ、こんなんで今夏遊びとかに行けるんだろうか…?
ちょっとふあんなもといなのでした。



2004年07月22日(木)
ひさびさに本の感想など…

※長いです。あと思いっきりネタバレです。注意。

最近本はマンガか小説読んでも星新一(ショートショート)だったんですが、久々に長い本を読みました。

モーパッサンの『女の一生』です。

これ、タイトルは直訳すると「ある生涯」くらいなんですが、内容みていると「ある女の生涯」といった感じがします。
でも「ある女の生涯」と言えば島崎藤村の著書になってしまうんで(苦笑)このタイトルで正解だとおもいます。

で、肝心の内容なんですが──中世ヨーロッパ貴族版・「渡る世間は鬼ばかり」??(笑)

夢見がちなジャンヌは17歳の貴族の乙女★(セーラー○ーン風に)親にムリヤリ入れられた修道院を出て、自分の持ち物となる別荘に両親と暮らすこととなり「わたしにはこれからどんな素敵なことが起こるんだろう!」と期待に胸をふくらませるのですが、ある子爵との恋に落ち、彼と結婚したことから彼女のの不幸の人生が始まります。

まず、生娘でこれまで修道院で育った主人公は「恋」は知識としてあっても「夜の営み」というものの存在を知らなかった。(今の日本では考えられないようなコトですが…いいのやらわるいのやら)
ともかく、そこで彼女の第1の夢「甘い恋愛」というものが壊れます。

次に、結婚した夫が結婚してからというもの、彼は甘いささやきもせず、彼女を求めなくなり、身なりも気にせず不精になり、さらに超ケチで浅ましい本性を見せ始めます。
そこで「幸せな結婚」という夢も壊れます。
もうすっかりあきらめ気分で何が来ても驚かない、といった風の主人公だったのですがさらに夫にはもうひとつの本性があったことが判明します。
それは、彼の身持ちの悪さ。
彼は主人公とうい妻がいながら、彼女の乳兄弟であるメイドに手を出して妊娠させてしまったのです。さらに追求すると、彼は主人公に出会ったその日からメイドと姦通していたという事実が浮かび上がり…。

「最初から自分を少しも愛していなかった」
さらに彼女はうちひしがれて、自分の小さな息子と両親にしか信頼をおかなくなります。

そんな折、近くに住む伯爵夫妻と知り合い、その夫人と親友とも言える仲になるのですが、またもや彼女は裏切られます。
伯爵夫人と主人公の夫は浮気をしていたのです。(ホントにどこまでも懲りない)
もはや主人公はあきらめモード。知りつつも今の生活を失いたくなかった彼女はこの事実を放置してしまいます。

そんな時、もともと病気もちだった彼女の母親がなくなり、悲しみにくれる彼女を更なる不幸な事実が襲います。
生前から母親の大事にしていた遺品を整理していたところ、ある男と母親の密通の手紙を発見。しかもその男は父の親友だったという──
「母親までが、父とわたしを裏切っていた」

夫がこの頃死にます。
姦通に気付いた伯爵が2人の密通現場をおさえ(とはいえあくまでコッソリと姿は現さないのですが)、2人がいた山小屋を崖から突き落としてしまった(!!)のでした。(どんなチカラやねん!!)

この時、彼女は妊娠していたのですが、そのショックで流産。
彼女はますますのこされた息子にのめりこみます。

そして彼女の息子は成長し遠く離れたパリの学校に通いはじめるのですが──それが彼を変えてしまいます。
成長した息子はママ一筋の子供ではなく、友人の方が大事な青年になり、実家にも帰ってこなくなります。
学校へいかなくなった頃、彼は主人公に手紙でお金の無心をしてくるようになります。最後に「きっとあなたを抱擁するでしょう ママを愛する息子」と書いて…。(あざとい)
そんな息子がそのお金を何に使っていたかというと、ギャンブルや元娼婦との遊びや生活に使っていたのでした。(血は争えないというか…)
しかしそれを知っても、主人公は「いつか息子はわたしのもとに帰ってきてくれる」とお金を送り続けます。

息子の度重なる無心(借金の返済)に主人公はついに破産寸前に。
そこへあらわれたのが、昔莫大なお金をもたせて百姓の夫をあてがって屋敷から去らせた元メイド。
彼女は恩を忘れておらず、さらに冷静でてきぱきと負債の片付けをします。
そのおかげで破産にはいたらずにすんだものの、もう息子を助けることはかなわず、自分のために父が買ってくれた住み慣れた屋敷をさらねばならず、すべて彼女のいいなりになり、生きた死人のようになってしまいます。

そんな折、息子から最後の手紙が。
内容は、息子の妻(娼婦なので実家では認知されてない)が女の子を出産するも、肥立ちが悪く死にそうだ、というもの。
メイドの勧めにしたがい、死ぬ前に結婚続きをして、その女の子を自分達の正当な跡取りにします。
メイドが連れ帰った孫を抱きかかえた主人公は、今度は帰ってくるであろう息子と、この初孫に再び期待をいだくのでした。



──なんかありそうでなさそうな、なさそうでありそうな。
ただここにでてくる不幸全部背負ってるヒトはいなさそうですが。
とにかく不幸でいたたまれません。女であるがゆえの、不幸。

どのくらいいたたまれないかというと、著者自身までがこの「かわいそうな物語」に筆がすすまず、筆を折りかけたこともあった程だそうです。

読んでるわたしも主人公が「期待」を抱いたらここは「不幸への序章」だな、とまるで古典の枕詞のように思ってたくらいで。
実は最後に出て来るメイドも「きっと裏切るんだ」と思ってました。(苦笑)

この時代はこのテの不幸・惨めものがどうも「リアリズム」としてもてはやされたみたいで以前読んだ『レ・ミゼラブル』の再来(?)とまで言われたそうです。
…ウウ…だからわたしはこのテの不幸ものはダメなんだって〜(悲)。
なんかちょっと読まなきゃよかった感絶大。

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