『家』レビュー
島崎藤村の『家』を読みました。(ひさかたくんオススメ品) タイトルとカバー裏のあらすじからなんとなーくイヤな予感はしていたんですが、前回読んだ『女の一生』と家没落つながりでした(苦笑)。
感想は───明治版「渡る世間は鬼ばかり」?(またかい) 前回読んだ『女の一生』は主人公・ジャンヌ1人が基本的に不幸なのですが、今回のは親類縁者そろって問題・悩みかかえまくりで、まさに「渡鬼」!!
お話は今回登場する親類縁者が多いので細かくは言いませんが、基本的には薬屋で主人公(島崎藤村がモデル)の姉が嫁いだ旧家の橋本家と、主人公の属する旧家・小泉家が共に様々な問題から落ちぶれていく様を描いたお話です。
橋本家は家長・達男(主人公の姉婿)が事業に失敗したあげく、”橋本家の血”で姉を置いて芸妓と逃げてしまう。 これがケチのつきはじめで、長男の正太も家は継がず、相場師などという夢を抱いて里を捨てて上京してしまい、妻があるにもかかわらず芸妓の小金と遊びほうけ、結局病気になって死んでしまう。 姉は番頭夫妻を養子に迎え帰らぬ夫を待ちわびながら寂しく年をとる。
小泉家の方は家長・実を救う為あれやこれやと弟の主人公兄弟で金策をして助けてやるも、兄はことごとく事業に失敗して破産。刑務所のやっかいになり本家はどんどん貧しくなりいまにも潰れんばかり。そこへ跡継ぎ娘が死んでしまい、家は途絶える。
主人公は、貧乏暮らしながらも妻を娶り田舎で教師生活をしばらくした後、上京して作家となる。だが、事業を起こす兄弟のために度々金策してやったりする為貧乏で、子供こそたくさんできるが、不幸にも3人も失ったりする。さらに妻の手紙を読んで昔実家の奉公人と恋仲だったことがわかり、妻の真意がわからなくなり、夫婦仲も円満にいかない。
『家』を持つのは難しいなぁ〜、というお話です。
家族構成はほぼ著者・島崎藤村一族をモデルしている(半自伝)ので、藤村ってこんな生まれでこんな兄弟がいるんだ〜、守っていかなきゃならない「お家」ってこういうモンなんだ〜と、いうのがよくわかる本です(笑)
うーん、キライじゃないけどやはし全体的に不幸(問題続き)なのであまり好きではないかな…。(ところでこの文庫なんで上下巻に分かれてるんだろう…1冊にしてもそんなに分厚くならないと思うのに) 今度はもっと短い本にしようと思いまス。
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