そよ日暮らし の そよふぉとノート
もくじだよ|きのうへ|あしたへ


2005年06月30日(木)  【題詠マラソン2005】 [飛永 京 さんの百首より]




占えばひとつ何かを見失うブルーデイジー膝が寒いよ  飛永京(086:占)




*


題詠マラソン2005

飛永京(とびながきょう)さんも、過日完走されました。

以下、飛永さんの百首より、大好きなものを20首転載させていただきます。


*


031:盗 ● 逆光を浴びて子犬が帰還する盗人草も誇らしく金

043:馬 ● 名にしおうシルクロードの馬友友(ヨーヨー・マ)長き指もて西へ東へ

045:パズル ● その先はもう埋めないで曼陀羅華パズルは少し残すのがいい




飛永さんの百首をならべて、
まずはじめに・・・と、さささぁーっと目を通した瞬間に、
飛び込んできた三首です。

歌意とか、背景などを掴むまえに、ひとめぼれした歌でした。
感覚的に、直感的に、圧倒的に、とても好きな歌でした。




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057:制服  ● トランプの兵隊さんの制服に四つ葉をみっけスパイだろうか


こんな視線にときめきました。

三十一文字のなかに、こんなにもゆたかなひとつの物語。

とてもとてもあこがれました。


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そして。兵隊さんだけではなくて、
飛永さんのお歌に登場する愛すべきお友だちのみなさんは、
どなたも、たいそう温みがあって、
たまらないのです。

なので、ここで愛すべき、風邪ひきさんや、パキラちゃん、
探偵さんや、こぎつねそしてコアラちゃん、ほか
一挙紹介しちゃぃます。

かわいらしさに惑わされそうになりますが、
歌の魅力はべつのところ。

視線が深くふくよかな飛永さんの独自の世界。
すてきなのです。


005:サラダ ● 睡蓮を風邪ひきさんの枕辺に 切り子のサラダボウルに浮かべ

010:線路 ● 手袋の指人形がすわってる線路の脇にすみれは群れて

035:禁 ● とろぉりと甘い泪のパキラちゃんそれは禁じ手ねばらないでよ

036:探偵 ● 猫の手のような探偵さんだから花園の鍵は見つからないまま

077:櫛 ● こぎつねが使っていったか柘植の櫛からみついてる柔らか栗毛

079:ぬいぐるみ ● 綿の実を食べるコアラのぬいぐるみ耳の先まで胃袋にして

039:紫  ● 紫陽花の地球儀ひとつくださいな海の深さを示したものを

100:マラソン ● 兎さん亀さん問わずマラソンのランナーたちに草冠を




100 マラソン  >>>  草冠です。くさかんむり。

しろつめ草で編まれた白いくさかんむりを、うさぎもかめもいただいて、

なんてあかるいゴールの広場。

くさかんむりにかんむりょうです。

だいすきでした。



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さて次は、うってかわってぐっとおとなの匂いです。


050:変 ● 今ごろは実のひとつくらい成してるか私の愛した唐変木は

066:消 ● 毒消しになればなったでつまらない山葵をおろすひとの舌先

073:額 ● あだ花のひとつでも良い咲けたなら額で睨む癖もやめるわ

075:続 ● 続くからずっとなぞって歩いてる煙草畑に落ちる夕陽と

078:携帯 ● その内に柘榴の火種いまさっき別れた人の携帯灰皿

088:食 ● 食べられぬ茸ばかりを愛で写すスケッチブックはお腹いっぱい



飛永さんのお歌のリズム、わたしにはとてもとても近しくて、
声に出して読むときも、どれもとても読みやすいのです。

たぶんきっと、作者とおなじ「ま」のとりかたで、
作者とおなじ速さの息づかいで、
読めているはずって思います。

そしていま、気がつきました。
飛永さんのお歌はどれも、説明がなくて、
ルビもふらず、まもあけず、
このことは、たぶんきっと
読み手を信じるということなのですね。

ルビもふらず、まもあけず、
それでも読み手はただしく読んでくれるはず、という
信頼感のようなもの。

みならいたいなと思うのでした。


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040:おとうと ● おとうとのあさがおきょうもさかなくてひとりふいてるしょぼーん玉


あぁ。シャボン玉は、しょぼん玉。

ほんとうに。おっしゃるとぉり、そのとおり。

子どものころから、なんとはなしに
しょぼんとした日のひとりあそびの代表でした。


あさがおきょうもさかなくて >>> そう。ちょぅど、
そのくらいの「しょぼん」にとても似合う気がする。



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080:書 ● 訳本を書いた人の名うつくしい蓮池薫 大地に根ざす


わたしも、ずーっと思っていました。

そのことが、
こんなにもまっすぐに
とてもしぜんに詠まれていました。

ふと思ったことを、そのままに、
こんなふうに詠むのがきっとほんものの
短歌なんだよなぁ・・・なんて、
思うのでした。今さらながら。


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081:洗濯 ● 魂の洗濯だねを聞きたくて母と野ばらを歌っています



百首の中に、いろいろなカラーをちりばめられていた飛永さん。

そのすべての歌の背景に、この一首がひろがりました。

飛永さんの百首をなんども読んだとき、
次々に浮かんできえる一首一首の映像があり、
でもその奥の背景画像は、かわらずに一枚の絵でできていて、
それが、
母と野ばらを歌う野原や青空の、ぱぁっとひろがる風景でした。

とても、とてもすきな一首でした。




おしまい。

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たくさん転載させていただきました。

ありがとうございました。



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飛永京さんの、読み応えたっぷりのホームページ
「ヴォゴン人の詠唱」は こちら です。

そして。

飛永京さんが、書きつづけてくださっている
題詠マラソン2005の感想ブログ「薔薇螺旋主義」は こちらです。
(不可思議な猫ちゃんたちの写真つき。)


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ひるま、仕事にでるようになり、ここ、なかなか更新できません。

のんびりぼちぼちすすみます。



ぼちぼちー。







2005年05月24日(火)  エンレイソウ & 題詠マラソン2005 過去ログ【45】より






逢うたびに透明感をます野花 ありがとうのかずかぞえてみるね











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以下は、題詠マラソン2005会場より、お借りしてきた短歌です。




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 過去ログ【45】より。
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このログは、圧倒的に「一子」が気になるログでした。



[8795] 015:友 廣西昌也 2005年03月22日 (火) 16時32分

友だちに決して見えない影があり僕の隣で揺れていた頃


[8796] 016:たそがれ 廣西昌也 2005年03月22日 (火) 16時34分

たそがれの一瞬にのみ現れる一子は長く童顔のまま


[8804] 020:楽 廣西昌也 2005年03月22日 (火) 16時50分

音楽の時間のことだ純音のような一子の歌が聞こえた


[8805] 021:うたた寝 廣西昌也 2005年03月22日 (火) 16時51分

うたた寝のシャハラザードに問いかけるように一子に確かめている


[8806] 022:弓 廣西昌也 2005年03月22日 (火) 16時53分

ひきしぼる弓の形の強さにて一子の頬をShadeで描く


[8807] 023:うさぎ 廣西昌也 2005年03月22日 (火) 16時54分

言うなれば僕と一子はいつまでのうさぎの右と左の耳だ



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ごめんなさい。
何かひとこと感想を書こうとすると、なかなか更新できません。
ので、とくべつにわたしの好きな歌だけを
ただそのままに並べさせていただきますね。

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[8974] 056:松 住職(jusyoku) 2005年03月23日 (水) 15時53分

砂浜の松の緑よ潮風に打たれ変わらず褪せることなく



[8967] 027:液体 古内よう子 2005年03月23日 (水) 15時25分

液体のように流れて堰きとめることができない今日の孤独は



[8883] 023:うさぎ 萱野芙蓉 2005年03月22日 (火) 23時15分

木々が葉をぬぐとき、時雨あがるとき、うさぎことばを習はむと思ふ


[8880] 046:泥 吉野楓子 2005年03月22日 (火) 23時07分

泥に咲くはちすの花のまぶしさに良寛、貞心おもふ夏の日


[8878] 068:四 浜田道子 2005年03月22日 (火) 23時04分

背もたれを深く倒してまどろめば四方の田より風の吹き来る


[8868] 039:紫 吉野楓子 2005年03月22日 (火) 22時43分

あすもまたみやこわすれの紫のうきにたへたる佐渡の順徳院(じゅんとく)


[8841] 018:教室 田丸まひる 2005年03月22日 (火) 21時46分

ひとの輪の尊さを説く教室の貼り紙わたしは一匹の蟻


[8832] 013:焦 あや 2005年03月22日 (火) 20時58分

焦る日のヒポポタマスの目交いは百の花弁と水面を浮かぶ


[8830] 022:弓 麻生智矩 2005年03月22日 (火) 20時48分

弓なりに反ったパキラよ春が来て陽は降りそそぐ戻れなくても


[8813] 028:母 伊波虎英 2005年03月22日 (火) 17時43分

明けがたの渚(みぎは)ま昼の夕ぐれの渚 母とは素水(まみづ)なりけり





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かよいあうリズムプリズムさみどりのみらいひきいる森のどこかに







2005年05月11日(水)  春が来ました。 & 題詠マラソン2005 過去ログ【40】より






たいへん遅ればせながら、ここにもやっと春が来ました。

写真のふきのとうは、4月20日ころのものですが、
このころはまだ、わたしのなかは名ばかりの、かりそめの春でした。

でもいまはもう、ほんものの春。














カタクリの、カタクリの花が咲きました。












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以下は、題詠マラソン2005会場より、お借りしてきた短歌です。




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 過去ログ【40】より。
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[7908] 090:薔薇  岩井聡 2005年03月18日 (金) 20時21分

豪快に自動改札せき止めてああああ両手いっぱいの薔薇


[7857] 088:食  岩井聡 2005年03月18日 (金) 15時13分

どこにあるわたしの鬼がかえる星ああ日食が終わってしまう


[7851] 087:計画  岩井聡 2005年03月18日 (金) 14時09分

冥王星移住計画推進部月例会議定数一名

*

初参加で、もうすでに完走されている岩井聡さん。
このログの上記三つのお歌の面白さに惹かれて
今、百首全てを熟読してきました。

とてもとても統一感のない(あ。失礼しました(^^ゞ)
あらため、「バラエティに富んだ」百首におどろきました。
いろんな横顔、お持ちなのです。

あそびごころ満載なものが多いなか、
わたしの好きなものをピックアップさせていただきました。

以下、百分の七の顔ではありますが、
ここから立ち上がってくる岩井さんの世界がとても好きです。


[2239] 010:線路  岩井聡 2005年03月03日 (木) 18時11分

朝焼けに染まる線路の君とぼく年を取るのは素晴らしいこと


[3205] 017:陸  岩井聡 2005年03月05日 (土) 16時57分

音だけが離陸してゆくこの夜だここから夏は疲れはじめる


[3511] 023:うさぎ  岩井聡 2005年03月06日 (日) 12時42分

顔なでて背中をなでて腹なでて朝晩なでてうさぎが死んだ


[5159] 040:おとうと  岩井聡 2005年03月09日 (水) 22時05分

おとうとはカンパネルラに会いたいともう三年もベランダにいる


[6606] 066:消  岩井聡 2005年03月13日 (日) 18時04分

バグダッドの消印胸に滲ませて切手のひとよ何を見てきた


[6867] 070:曲  岩井聡 2005年03月14日 (月) 18時08分

これは恋それは傷痕あれは虹やがて乾いてしまう曲線


[8125] 093:ナイフ  岩井聡 2005年03月19日 (土) 17時55分

午後の風ナイフのように光る川やさしい順にすり減ることば


*


たくさん引用させていただきました。ありがとうございました。



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以下は、過去ログ【40】より、
一読して「はっ」としたお歌たちです。

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[7980] 013:焦   emi 2005年03月18日 (金) 23時43分

泣くような旋律ですかこの雨は君が焦がれる暮らしのなかで

*

[7963] 012:メガホン  飛永京 2005年03月18日 (金) 22時33分

縷紅草 (るこうそう)のメガホン手に手に君たちは何を応援しているのかい

*

[7873] 069:花束 (再投稿) さゆら 2005年03月18日 (金) 16時00分

おめでたうおめでたうつて残酷な花束抱かすのよつてたかつて

*

[7802] 034:背中  こはく 2005年03月18日 (金) 04時52分

背中から眺めてみてもうつくしいたたずまいで立つ歌であるなら




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以下は、過去ログ【40】より
歌意にとても共感したもの四首です。

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[7939] 018:教室  M.東矢 2005年03月18日 (金) 21時39分

教室はとりとめもなくけざやかに無声映画の匂ひに満ちて

*

[7906] 035:禁  こはく 2005年03月18日 (金) 19時44分

自分から話し出さない近況は禁況である<覚え書き六>

*

[7875] 046:泥  ハナ 2005年03月18日 (金) 16時01分

泥団子土で磨いてぴかぴかにしてる子供等は職人の目で

*

[7836] 002:色  武山千鶴 2005年03月18日 (金) 09時55分

人形を叱りつけてる五歳児の母そつくりの声色聞ゆ






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ありがとうございました。

おしまいです。

ではまた。










この丘のこのいちめんのカタクリがすべてのこたえ 春が来ました


2005年04月21日(木)  【題詠マラソン2005】 [やそおとめさんの百首より]

【題詠マラソン2005】

やそおとめさんも過日完走されました。

お題を詠み、それと同時に「植物を詠む」という
ダブルルールで取り組まれていたやそおとめさん。

やそおとめさんの百首の中から、特に好きな20首を
お借りしてきました。

短歌辞典や植物図鑑で調べつつ、数日間かけて
好きなお歌を選ばせていただきました。

ここ「そよふぉとノート」や、自著「ひとりのはらに」などで、
わたし自身も触れたことのある野の花が、
多数詠みこまれていて、わくわくしました。

わたしの過去の写真の中から、何点か並べさせていただきつつ
やそおとめさんのお歌を掲載させてもらいます。


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001:声   夏草の野に融けてます細胞がすきとほるまで綿菅の声

わたし自身の感覚と、いちばん近しく感じられるこのワタスゲの歌が
やそおとめさんの出走歌であったこと、とてもうれしいことでした。



*



■ 009:眠   男らを眠らせ闇を深うする合歓の女蘂は花明りして

合歓の女蘂 = ねむのめしべ と発音して良いんですよね?

やそおとめさんのお歌の艶っぽさが大好きなのです。


■ 034:背中   月光に背中(そびら)を濡らしゆく秋のをみなのゑまひ謎深くして

をみなのゑまひ = 女人の微笑み。(花が咲くこと。)

これは、こういう名前(をみなのゑまひ)のお花があるのかなぁと思い
調べてみたのですが、わかりませんでした。
いずれにしても、ほんとうに色っぽいですね。
そびら、ぞくぞくするのです(^^ゞ

わたしは、歌を読みなれていないので、
歌の途中に( )があると、そこで読みのリズムが崩れてしまうのですが、

このお歌は、くりかえして口ずさみ、すらすらと読めるように暗誦しました。
声に出すとますます美しいのです。大好きでした。



■ 062:風邪   風邪病みのかがり火草の忘れもの地下茎深き熱のほてりを

■ 052:螺旋   もぢずりの螺旋をあそびゐたる指こそばゆさうに脚にまつはる

もぢずり=ねじばな↓ですね。




ひとつずつ丁寧に読んだ時にはじめて、
韻律の美しさに気づかされます。

ゆっくりと、声に出して読みたいお歌ばかりなのです。
そして。読む側に想像する楽しさを残してくれていることに、
作者の余裕を感じるのです。さすがなのです。


*


■ 079:ぬいぐるみ  そらまめの莢型繭のぬひぐるみこひびとよひと日潜らうではないか

■ 096:留守   本日の天気晴朗妻は留守 ほたる袋に隠してラ・マ・ン


あかるい秘めごと、すてきなのです。どきどきします。

「そらまめのさや型まゆのぬひぐるみ」 !
「ほたる袋に隠してラ・マ・ン」  あぁ。


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■ 049:ワイン   香もろともワインの函が届きたり敷き詰められておらんだげんげ

おらんだげんげ = クローバー(しろつめくさ)なのですね。
敷き詰められていたものが、しろつめぐさとわかったとたん、
身近なお歌になりました。
そしてたちまち嬉しくて。

調べて知ったからこその喜びなのかもしれなくて。



■ 008:鞄    落葉松の道たもとほり音も無くこんじきは散る鞄のうへに

落葉松(からまつ)のこんじきは散る・・・と聞いて、胸がときめき、
この歌を、ちゃんと理解いたしたく、「たもとほり」を一生懸命調べました(^^ゞ

たもとほり = 徘徊る(たもとおる)= さまよいながら という意味でした。
まったくもって勉強になりました。

カラマツの道さまよへば音もなく散る・・・
とても好きな風景でした。




*


■ 044:香   目に見えぬいさぎよき色くれなゐの吾木香こそ己がこころに

目に浮かぶのはワレモコウのあの色、そしてたたずまい。
歯切れのよい、きっぱりとしたスマートなこんなお歌にあこがれます。


*

■ 097:静   ソリテュード「積極的な孤独」の似合ふ花一人静は群れてもひとり



 
 
 群れながら
 ひとり
 静かを
 つらぬくことは

  (中略)

 群れて咲く
 ひとりひとりの
 ヒトリシズカにあいました


これ↑は、
わたしが過去に書いたものの一部です。
視点がおなじで、とてもうれしかったのでした。


*


■ 066:消   発展的解消とまれ美しう恋はおはらぬ闇夜のあやめ

■ 082:罠   シナプスの欠落の罠ゆふすげのあの日あのときたしかに恋は

ほんとうに、大好きなお歌でした。
きゅんとなります。

恋の歌は、こんなふうに、
やはりとことん美しくなくてはっという思いをあらたにしたしだいです。


「シナプスの欠落の罠」 
雰囲気は、わかるつもりでいましたが、正しく知りたく調べてみました(^^ゞ

シナプス =  ニューロンとニューロンとの接続部。また、その接続関係。
         伝達される興奮の増幅や抑制を行う。
ニューロン = 刺激を受容・伝達する機能をもつ。神経元。神経細胞。

おぉ・・・・。大辞林 第二版 (三省堂)より。



■ 085:胸騒ぎ 仙人掌(さぼてん)の棘を秘めもつ胸騒ぎわかれしのちの死を伝へあふ

■ 086:占   木木は伏し鳥は流されきみと吾(あ)の砂漠占ひ 塵から塵へ

「わかれしのちの死をつたへあふ」
「砂漠占ひ 塵から塵へ」

≪塵から塵へ≫ という表現に釘付けになりました。



■ 069:花束   水汲みのやそのをとめの垂れ髪に堅香子の花束ねありしも

[本歌取り]というのでしょぅか、それとも[返歌]というのかな・・・。
そのあたり、勉強不足でわからないのですが、
この歌は、以下の大伴家持の歌から生まれたものにちがいないです。(よね?)


もののふの 
八十少女(やそおとめ)らが
汲(く)みまがふ

寺井(てらい)の上の
堅香子(かたかご)の花

大伴家持 (万葉集、巻十九)



堅香子 = カタクリ ですね。

もしかすると、やそおとめさんの筆名も、
このお歌からつけられたものなのでしょぅか・・・。
そんなふうに考えると、
やそおとめさんのこの歌(069:花束)にこめられた想いの深さも深まるようで、
感慨深く読ませていただいたのでした。

カタクリは、わたしにとっても、大好きな、かけがえのないお花なので、
とてもうれしく思いました。



■  100:マラソン   
らうらうと百首マラソン詠ひあげ猩猩袴(しやうじやうばかま)舞ひ納めたり

そしてこれは、100首目の、最後のお歌。

これもまた、やそおとめさんご自身の素顔に迫れるような、
うれしい気持ちで拝見しました。

今回、はじめて気づいたのですが、
やそおとめさんのブログのプロフィールのページタイトルは、
「猩猩緋」となっていました。

猩猩緋(しょうじょうひ)とは、わずかに黒みを帯びた、あざやかな深紅色のこと。
(または、その色に染めた舶来の毛織物。)

手元に、わたしが撮影した猩猩袴の写真がありませんので
自著「ひとりのはらに」のページを一部、転載させていただきますね。





「ぶっきらぼうなやさしさの ショウジョウバカマ ・・・」

と書いてあります。

これは、わたしが過去に書いたものですが、
いま、百首を読み終えて見えてきた、やそおとめさんのイメージと
ぴたり重なり、そのことに、誇らしさまで覚えるのでした。



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ワタスゲからはじまって、
ヒトリシズカ・マイヅルソウ・カタクリ等々々を経て、
そしてショウジョウバカマで締めくくられたやそおとめさんの百首。

とても他人事とは感じられず、夢中になってこのページを作らせていただきました。
あいかわらずに、ひとりよがりなことばかり書いてしまいましたが、
とても楽しく、そしてうれしいことでした。

たくさんの短歌を転載させていただき、ありがとうございました。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


おしまい。









ついでに宣伝させてください。よろしければ、のぞいてくださいね。


web かたくりものがたり (昨年の春につくったカタクリのアルバムです。)

book ひとりのはらに 
          一昨年の夏にうまれた写真詩集です。
          30数種の野の花の写真に言葉を添えました。
          かんたんな野の花図鑑としてもご利用になれます。




2005年04月14日(木)  【題詠マラソン2005】参加作品 41〜52 & 過去ログ【35】より







043:馬

翔び出だす馬のたてたる土ぼこり光らせている夕のこもごも



045:パズル

つららからしずくのパズル 瞬間に おひさまの位置たしかめている



046:泥

泥道のぬかるみぬるくなつかしく 濾過されるまえのことばのぬくみ



050:変

変てこなかたちのこころ都合よく最適化するボタン押したり



051:泣きぼくろ

不器用は武器にはならず人知れず喉につまった泣きぼくろたち



052:螺旋

真夜中にひとさしゆびが銀色の螺旋なぞればもどれなくなる





以上、斉藤そよ作。

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以下は、題詠マラソン2005会場より、お借りしてきた短歌です。





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 過去ログ【35】より。
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[6964] 018:教室 丹羽まゆみ 2005年03月14日 (月) 23時10分

教室のへのへのもへじ起きなさい春だ子供は一人もいない


*

たくさんのすてきなお歌を詠まれている丹羽まゆみさん。

規則正しくせつなくやさしく美しいものばかりなのです。

どのお歌にも、
やわらかな言葉のなかに、かならずひとつさびしみが
かくされているような気がして、つーんとなります。

*

他のログからも、特に好きな三首をお借りしてきました。

[4319] 010:線路   丹羽まゆみ 2005年03月07日 (月) 23時42分
うららかな線路の土手に築かれしたんぽぽぽぽぽ黄色帝国

[6655] 013:焦   丹羽まゆみ 2005年03月13日 (日) 19時46分
焦がれては反古にせし恋そのままのおぼろさに咲く桜 さくらは

[10665] 063:鬼   丹羽まゆみ 2005年04月01日 (金) 21時10分
秋の野に半裸のままで老いてゆくかくれんぼうの鬼を探さな


・たんぽぽぽぽ黄色帝国
・おぼろさに咲く桜 さくらは
・かくれんぼうの鬼を探さな

一度読んだら忘れられない下の句でした。



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[6952] 010:線路   ひぐらしひなつ 2005年03月14日 (月) 22時57分

うらうらと春の線路は陽をあびて蜜蜂の死とあなたを運ぶ


蜜蜂の死とあなたを運ぶ

「あなた」と「死」が近いところにあるので、どきっとするのですが
けれども、「死」は蜜蜂だけのものであり、
「あなた」はたぶん陽炎のなかの人。

*

これまでにご投稿されている、ひなつさんのお歌を並べて読むと、
ほとんどのお歌に、
春・夏・秋・冬・三月・はつなつ・六月・冬空……というふうに
あまりにもいさぎよく季節が提示されてありました。

そして、
そんなはっきりとした季節に隠れて
そっと
こっそりと
でも なんどでも
こちらとそちらの距離感がうたわれているものばかり・・・と感じました。


*


他のログより ひなつさんの歌
(距離を感じるもののなかで一番好きな二首を。)


[7504] 012:メガホン ひぐらしひなつ 2005年03月17日 (木) 00時44分
両の手をメガホンにして呼べばもう矢車菊のかなたを走る


[9034] 019:アラビア ひぐらしひなつ 2005年03月23日 (水) 20時10分
アラビアと口にするたび白い花こぼれますます遠いアラビア



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[6859] 006:時   近藤かすみ 2005年03月14日 (月) 16時53分

あのときになんで買つたか鳩時計ぴつぷぴつぽとまた鳴いてゐる



「あのとき」に、買ってしまった鳩時計
移りゆく想いや景色におかまいなしに
今ものんきに鳴いていて
かわいくもあり、にくらしくもあり
ぴつぷぴつぽを聞くたびに、なんかぼんやりしてしまうんだ・・・・

というふうに読ませていただきました。

「あのとき」を想像すること、とても楽しいことでした。

とてもとても好きなものでした。


*


他のログより、特に好きなかすみさんの歌を。

[4157] 003:つぼみ   近藤かすみ 2005年03月07日 (月) 18時14分
淡彩の絵のなかの春フリージア百年先もつぼみのままで

[5973] 005:サラダ   近藤かすみ 2005年03月12日 (土) 00時39分
遥かなる近江より来し真水にていま甦る海藻サラダ


百年という年月の「ちょうどよさ」に感心したり、
≪甦る海藻サラダ≫というその事実にどきどきしたりしました。



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[6858] 086:占   春畑 茜 2005年03月14日 (月) 16時48分

占いにひきちぎられてゆく花の白さかなしさ夕路地に降る


「占いにひきちぎられてゆく花の」

なんどでも、声に出して読みたい上の句なのでした。

「うらないにひきちぎられてゆくはなの」  

あぁ。とても好きです。

美しい音のながれにうっとりしました。そしてもちろん映像も。

*

もうすでに完走されている春畑さん。
全ての歌の中から、大好きなものを。


[1151] 009:眠   春畑 茜 2005年03月01日 (火) 18時55分
眠りよりふたたび眠るまでの間を時にゆめみるごとくあゆめる

[1543] 019:アラビア   春畑 茜 2005年03月02日 (水) 14時30分
アラビアの千夜を語る書をひらくつゆじもの秋かぎろいの春

[2186] 034:背中   春畑 茜 2005年03月03日 (木) 14時50分
背中にはわが子ひとりをぶらさげて光が丘の春をあゆめる

[2178] 030:橋   春畑 茜 2005年03月03日 (木) 14時32分
そのうえをひとのかなしみ渡るとき橋はやさしくゆうぐれを揺る

[4096] 054:靴下   春畑 茜 2005年03月07日 (月) 16時10分
靴下を春のひかりに吊るしやるひゃくねんせんねんゆめみるがよき


なめらかで、うつくしいお歌ばかりをひかせていただきました。

ほんとうに、すてきだなぁと思います。情景も、それをとらえる視線も。


「橋はやさしくゆうぐれを揺る」
「ひゃくねんせんねんゆめみるがよき」 

嗚呼!



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[6822] 061:じゃがいも   黒田康之 2005年03月14日 (月) 13時14分

万年の孤独に耐えた顔をして喰らうは一箇のじゃがいもである

*

[6821] 060:影   黒田康之 2005年03月14日 (月) 13時09分

群れあそぶおのこらの影乱雑でこの砂浜に秋の波来る

*

もうすでに完走されて、ご自身のブログでは二周目を走られている黒田さん。
いま、全てのお歌を拝見させていただきました。
リズムにも、歌意にも、確固たる世界が完成されていて、
安定した走りっぷりにほれぼれとしてしまうのでした。

このゆったりとした安定感にあこがれます。
とても勉強になりました。

二周目は少年編かな?と、お見受けしました。
こちらもとても楽しみなのです。



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[6803] 010:線路 片岡 幸乃 2005年03月14日 (月) 09時54分

線路には宵待草がよく似合ふ列車そのまま消え行きさうな


大好きでした。

ほんとうに。


「うんうん。そうそう。わかるわかる。」と思えるお歌に出会えることは
やはりなにより嬉しいことだなぁと感じた一首でありました。

とてもだいじなものでした。



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おしまいです。おやすみなさい。






2005年03月31日(木)  【題詠マラソン2005】参加作品 34〜40 & 過去ログ【30】より








034:背中

逆光が押し寄せて来てもうなにも物語らないあなたの背中



035:禁

禁漁の湖水に放つサクラマス 正義感とは似て非なるもの



036:探偵

探偵に尾行されてることにしてプロムナードをひらひらと行く



037:汗

汗かきのつららが告げるここからは春ここからはとめどなく春



038:横浜

思ひ出はためつすがめつ高められ五百六十三の横浜



039:紫

うらおもて夜のしじまをつかさどる感度の高いうすい紫



040:おとうと

この冬のたぶんさいごのユキダルマあしたおとうとつくってあげる




以上、斉藤そよ作。

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以下は、題詠マラソン2005会場より、お借りしてきた短歌です。




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 過去ログ【30】より。
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[5970] 058:剣
謎彦 2005年03月12日 (土) 00時29分
白刃にいどみかからむ心地して剣橋(ケムブリジ)とぞ訳しいだせる
http://vita.ciao.jp/hiyaku/article/kanji.html



一読しても、わたしには意味のつかめないものではありましたが、
このリズム感に捉えられてしまったのでした。

「・・・ケムブリジとぞ訳しいだせる(!)」

小気味よいです。
クセになります。

そして。既に完走されている謎彦さんの100首をみると、
どの歌もすべて、一首ごとに関係サイトへのリンクが成されているのでした。
とても親切な試みなのです。楽しませていただきました。

100首全てを読ませていただき、
特別にいちばん好きだったものは、こちらでした。↓

[4839] 026:蜘蛛
謎彦 2005年03月09日 (水) 00時15分
もう二度とあへぬふたりの右の手にはりつく蜘蛛の糸のきれはし
http://www.commakagi.ne.jp/tosyokan/kannsou-hiroe.htm



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[5917] 032:乾電池
鈴木貴彰 2005年03月11日 (金) 22時23分
乾電池を握りしめてた 駆けぬけた夏のひかりが消えないように


[5918] 033:魚
鈴木貴彰 2005年03月11日 (金) 22時23分
ワタルからは来ない賀状をしたためる そら飛ぶ魚の噂を添えて


とてもきれいな、そして淋しい二首でした。

十首ごと、タイトルを持つ連作として詠まれたものということでしたが、
わたしには、こんなふうなひとつひとつの一行の
三十一文字の物語だけで充分でした。

(充分でした)という言い方が失礼にならないと良いのですが・・・

「ワタルからは来ない賀状・・・」と読むだけで、
なんとなく、来ない理由がわかったような気になったので。

というわけで、とても好きな二首なのでした。



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[5878] 005:サラダ
飛永京 2005年03月11日 (金) 21時02分
睡蓮を風邪ひきさんの枕辺に 切り子のサラダボウルに浮かべ


なんども、繰り返して読んでみて、
読むたびにそのお部屋のイメージが細かなところまでみえてきました。

とてもとても好きでした。

重い病ではなくて、「風邪ひきさん」な軽い感じが嬉しくて。

次に誰かが風邪ひきさんになるまでに
睡蓮と、切り子のサラダボールを用意したいと思うのでした。

*

飛永さんのお歌、他のログからも検索させていただきました。
今すぐに真似して詠んでみたくなるような、楽しいお歌にも出逢えました。
とても好きです。↓

[9779] 021:うたた寝
飛永京 2005年03月27日 (日) 20時46分
くれぐれもご注意召されうたた寝の猫柳には気づかれぬよう

*

そして。飛永京さんと言へば・・・
昨年の[題詠マラソン2004]での出走歌が忘れられません。

少しだけ空をすくって飲んでみる百の嘘つくことの始めに (飛永京さん)

はじめてのマラソン出走を前に、どきどきしていたわたしにとって
とてもとてもインパクトのつよい一首でした。
昨年、走りながらも、わたしのなかにずーっと在りつづけたお歌でした。


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[5853] 020:楽
今泉洋子 2005年03月11日 (金) 19時09分
わたくしは何の獣(けだもの)春の夜に鳥獣戯画をひとり楽しむ

[5807] 006:時(再投稿)
吉田貴美子 2005年03月11日 (金) 17時24分
未来から遡り来るわたくしとすれ違うらん逢魔が時は


とても気になる二首でした。

ながれるような美しい旋律に惹かれます。

そしてなにより、作者さんが過ごされているそんな時間の
濃度なんかが気になるのです。

だいすきでした。


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[5847] 028:母
あきひろ 2005年03月11日 (金) 18時12分
遺影見て母の言葉が胸をつく正直にして元気であれよ

なんとなくつぶやいたものがたまたま短歌のリズムになっていました・・・
というような、こんなお歌は、やはりとても好きです。
(自作をつくるときには、いつもひじょぅに迷う部分なのですが。)

「正直にして元気であれよ」

日本語って温かなものですねぇ。ほんとぅに。






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ではまた。ねます。おやすみなさぃ。


2005年03月25日(金)  【題詠マラソン2005】参加作品 28〜33 & [村本希理子さんの歌]





028:母

海神と母アザラシにえらばれてゆりかごとなる流氷がある



029:ならずもの

ポケットのなかの仔石はならずもの磨いてはだめ だめよどなたも



030:橋

夜をこめて橋を渡れば氷河期につながつていたものに繋がる



031:盗

雪水のうはずみ盗みたはむれにそつと含んで閉ぢるくちびる



032:乾電池

電動の感受性たれ乾電池ぬけばなんにも感じなくなる



033:魚

わたくしのなかにも一尾回遊魚 いつか いつしか 海に あるいは




以上、斉藤そよ作。

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以下は、題詠マラソン2005会場より、お借りしてきた短歌です。

今回は、すでに完走されている村本希理子さんの特集(?)です。

村本希理子さんは、昨年に引き続き、今回のマラソンでも、
全ての投稿歌に目を通されていて(たぶん)、
そして毎日、いくつもの歌に感想をつけてくださっています。

昨年わたしは、右も左もわからないままに参加させていただき、
それでも楽しく完走することができたのは、
村本さんはじめ何名かの方が、拙作に感想をつけてくださったおかげでした。

とても感謝しているのです。(たぶんきっとほかの多くのみなさんも)

なので、特集なのです。

看板↓もつくりました(^^ゞ








迷鳥のやうにあやふい頼りなさ とりあへず引くラインマーカー

村本希理子さん作(041:迷)/photo by soyo






001:声   声域の広がらなかつた夏休みVANのシャツ買ふ少女横目に

002:色   ソックスは薄桃色のかをり持つソックタッチで糊づけせねば


この 「VANのシャツ」と「ソックタッチ」のお歌からはじまる村本さんの100首には、
このあと次々に懐かしいアイテムが登場します。
「シャーペンは0.3ミリ」 「ジェフ・ベック」 「マリー・クワント」
「ラインマーカー」 「ランチジャー」 「紅茶キノコ」
「ソ連製薔薇のジャム」! ・・・・書ききれませんが、並べて読むと圧巻です。

そして、終わりは、


100:マラソン   東京女子マラソンがほら始まるよ。女は無理つて言つたのだあれ


世界初の女子フルマラソンである「東京女子マラソン」は、
1979年の出来事ですよね。

こんなふうにして、
お題に添いつつ、ルールにのっとりながら描かれた、ひとつの時代。

背景はたぶん1970年代後半でしょぅ・・・
と、思いつつ読ませていただいていましたが、
東京女子マラソン(1979年)で締めくくるなんて! と、
そのスタイルの完成度の高さに感嘆しました。

*

100首全体を通して、この時代を生きた作者の
当時の輪郭が浮きあがってみえてきて、とても親しく感じられ、
うれしいきもちになりました。

(短歌作品に感想を述べる時、こんな場合は、�犧鄰羲臑劉瓩�
 呼ぶべきらしいことは学習したのですが、
 不慣れなわたしは、どうしても、この100作については特に、
�犧郤圻瓩噺討个擦討い燭世�たくて・・・・すみません。)



*

078:携帯   朝なさな携帯して来し筆ペンに影深めゆく教科書の余白

「朝なさな」 この言葉の美しさに酔いしれました。
あさなあさな(毎朝)という意味なのですね。
うっとりします。
あこがれます。




084:林   権威には距離を置く主義愛用の国語辞典は広辞林五版

一読して、音の流れに惹かれました。
「か行」の音のつらなりが、心地よくて、大好きでした。




086:占   とりあへず流行つてゐるから行つただけ「かっぱ横丁占いセンター」

092:届   ラジオより片岡義男の声届く 軽さ明るさ妙に遠くて

099:動   二度三度マウスペットを吹きかけてわたしのなかの動物 消した

これは、そのころのわたし自身とかさなって、どきっとしました。




098:未来   ゆつくりと未来が落ちてゆくみたいパタパタ時計の零しゆく今

パタパタ時計が流行り始めた頃、わたしも枕元においていました。
眠れない夜、あのパタパタという音が気になって気になって、
そう、ほんとうに「未来が落ちてゆくみたい」な不安にかられたものでした。



032:乾電池   応接間の柱時計に乾電池入りたるのちの母の快活

096:留守   母の留守知るや知らずや人工の光よろこぶセントポーリア


はげしく思い当たります。

こんなふうに、読む者が「あぁ。そうそう。その感じ!」っと、
思える短歌は素敵ですよね。
めざします(^^ゞ



101   百の歌のこしたあとにゆつくりとわたしの今へ吹きかへす風

これは、100首マラソンを走りおえたそのあとで、
村本さんが詠まれた101番目のお歌です。

こんなにも思いのこもった三十一文字。
とてもこころに響いてきました。

このお歌を詠むための
(わたしの今へと、風がふきかへすための)
そのための、100首だったのかもしれないと、
そんなことまで思ってしまうのでした。





とても勉強になりました。

ありがとうございました。






2005年03月19日(土)  【題詠マラソン2005】参加作品 20〜27 & 過去ログより[雪]









020:楽

解散の儀式でしょうかさえずりを音楽として鳥の混群



021:うたた寝

うたた寝のつららすっかり満ち足りてげになにげなく春にとけこむ



022:弓

弓なりにしなつたままの三月の枝にまだ降る雪の伝言



023:うさぎ

アンテナをぴぴんとたてた野うさぎのやうな目をする彼の深刻



024:チョコレート

あと何度ゆきが降るかな ふたりぶん入れてしまったホットチョコレート



025:泳

泳いではいけない海に神々が放つ魚のやうに あなたは



026:蜘蛛

蜘蛛の子が散らばるように心配がぱぁっと晴れてゆくねあえたら



027:液体

お返事を待っているまに液体になってしまった   雪のことだよ















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以下は、題詠マラソン2005会場より、お借りしてきた短歌です。

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過去ログ36までの[雪]
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[雪]というお題はありませんが、
過去ログ【36】までの中から、[雪]で、検索させていただきました。
ヒットした191件の中から、特に好きなお歌を20首、
以下に掲載させていただきます。

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[1465] 001:声
しのざき香澄 2005年03月02日 (水) 10時19分

歓声の中きみは鳥になったね 体育館の外は雪です

*

上句のリズムにすこし戸惑った分、
あとにつづく「体育館の外は雪です」の七七が、うつくしく、
ほっとやさしく響いてきました。

「たいいくかんの・・・」 と 正しく発音することに喜びを感じてしまい
ゆっくりと何回も読んでみました。


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[6896] 001:声
植松法子 2005年03月14日 (月) 21時33分

あたたかき陽の差しくればおちこちに解けゆく雪の声のつぶつぶ

*

恥ずかしながら「おちこち」という言葉を知りませんでした。
調べようと思い、「おちこち」と打ったところで「遠近」と変換されて知りました。

「おちこちに解けゆく雪の声のつぶつぶ」

つぶつぶたちのつぶやきが、聞こえてきます。
・・・こちらでも、そんなけはいが濃くなってきたこのごろです。(3/18現在@北国)


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[3094] 010:線路
宮野友和 2005年03月05日 (土) 09時45分

人びとは寒き息吐く線路には雪ははだらに降り積もりゐる

*

ひきつづき恥ずかしながら(^^♪
「はだら」という言葉を知りませんでした。
まだらとよく似た意味あいなのですね。
斑雪(はだれゆき)という雪の名前も、いま知りました。

たよりなげな心象風景や、しずけさを物語るのにも、
とてもしっくりとくる言葉ですね・・・「雪ははだらに降り積もりゐる」


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[2626] 045:パズル
春畑 茜 2005年03月04日 (金) 14時22分

気みじかきわれはパズルが嫌いなり千に散らばる雪の金閣

*

「千に散らばる雪の金閣」 すてきです。

誰かを待っている部屋の、
窓辺の机に散らばっている白色と金色ばかりのジクソーパズル・・・

その美しさといらだちに、うっとりとしてしまうのでした。


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[2798] 003:つぼみ
本田瑞穂 2005年03月04日 (金) 21時21分

おそい雪つもらせているふくらんだつぼみあなたはわたしの自慢


*

あぁ。ほんださん。


すきです。


えへ (^^ゞ


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[3021] 074:麻酔
葛城 2005年03月05日 (土) 01時06分

さらさらと雪は降り積む細胞を深く眠らす麻酔となりて

*

「細胞を深く眠らす麻酔となりて」
とてもとても共感しました。

「麻酔」というお題への投稿は、まだ少数ですが、
563人全員分が出揃ったあとにも、わたしにとっては
これ以上しっくりとくる「麻酔」はないと思われます。
 この冬のわたしのまわりの雪たちは、もぅほんとうに、
「細胞を深く眠らす麻酔」と思えるものでした。



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[3294] 080:書
船坂圭之介 2005年03月05日 (土) 22時12分

雪に明け雪に暮れ行く黙示めく冬のひと日に書を一つ為す

*

「雪」で検索をかけたのは、
こんなお歌に出会うためでした。

わたしには描ききれない冬のひと日が、整然と
詠まれてここにありました。

とてもうれしぃことでした。

「黙示めく」がすてきなのです。

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[7184] 011:都
田丸まひる 2005年03月15日 (火) 21時18分

ジオラマの都市にも雪が降るように窓際にやる 泣いてもいいよ

*

まひるちゃんが、いつも書いてくださるような、
簡潔でいて的を得ていて、作者が「はっ」とするような
そんな感想を書いて恩返しがしたいのですが・・・
・・・なにぶん力不足で、ちっとも真似ができません。(ごめんね。)

泣くことを許されて泣く箱庭の少女の影が窓に映ってみえました。

甲斐性のある雪がここにも降っていました。


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[7159] 001:声
荻原裕幸 2005年03月15日 (火) 19時57分

それからは声だけがあなたのなかへ入つて春の雪を降らせた

*

昨年、題詠マラソン2004会場にて、荻原さんの�爐劼个蠅硫劉瓩鮓�つけたときには、
画面に向かって、ひとり感嘆の声をもらしたものでした。

「あをぞらを逆さまにしたぬくもりのあなたのなかをひばりが游ぐ」

この一年、なんども口ずさんできた歌でした。

そして今年の 「それからは・・・・」
この歌は、昨年のひばりが游いだそのあとの物語なのだと感じました。
(勝手な思い込みにちがいありませんが(^^ゞ 

やさしさの象徴としての「春の雪」でありますように。

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[7249] 015:友
伊波虎英 2005年03月16日 (水) 00時40分

  ピーター・ガブリエルのアルバム『SO』。
  3曲目に収録されてゐるケイト・ブッシュとの
  デュエット「 Don't give up 」をくりかへし聴く。
   ♪Don't give up 'cause you have friends
    Don't give up you're not the only one ……

来む来むと友待雪の上(へ)に降れる雪とめどなく歌声は沁む

*

「雪とめどなく歌声は沁む」ここのところが大好きでした。
とめどなく雪の降る日は、いろんなものが沁みこむのです。わたしも。

そして。

雪やこんこ あられやこんこ♪ の 「来む来む」と、
その人を待つ、待ち遠しさの「来む来む」と、
そしてさらには 「come come」なんてふうにも読めて
とても楽しく拝見しました。

わたくしも、こっそりとこんな遊びがしてみたいです。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

[5445] 002:色(再投稿)
やそおとめ 2005年03月10日 (木) 18時57分

ちちふさのふつくら透ける色をもて雪餅草の雄花序(ゆうくわじよ)は呼ぶ

*

今回は、「雪そのもの」が詠まれているお歌を探していたので、
一度は通り過ぎようとしたお歌でした。
けれども、このお歌から立ちのぼる清潔な高貴な空気が気になって、
「呼ぶ」に呼ばれて立ちどまり、手にとらせていただきました。

「雪持草(ユキモチソウ)」を調べてみました。
はじめて見る花でした。
凛とした立ち居姿の花でした。

詠われている物について無知であったとしても、
好きな匂いの歌は、なんとなく届いてくるものではありますが、
この花の姿を知っているか否かでは、ずいぶんちがってくるものでした。

知らない花の名前に出会ったときには、
時間の許す限り、調べて知っていきたいものだなん・・・と思ったしだい。


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以下は、「あぁ。好きだなぁ。おぼえておきたいなぁ。」と思ったものを、
ただ並べさせていただきます。ごめんなさい。

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[4902] 019:アラビア
足立尚彦 2005年03月09日 (水) 10時24分
アラビア語で雪は何と言うんだろう「ゆき」と言いつつ雪を見ている


[5268] 007:発見
杉山理紀 2005年03月10日 (木) 03時31分
ふたりして何かを待って降る雪の第一発見者になる予定


[5775] 052:螺旋 
さよこ 2005年03月11日 (金) 16時23分
13年飼っていた猫雪の日に螺旋階段昇ってきえた


[5852] 019:アラビア
今泉洋子 2005年03月11日 (金) 19時05分
アラビアの猫のお話猫好きの母と子の夜はしんしんと雪 


[1404] 092:届
斉藤真伸 2005年03月02日 (水) 01時17分
新雪を長靴が踏むおとのして郵便ポストに朝刊届く


[2219] 001:声
舟橋剛二 2005年03月03日 (木) 17時15分
雪積もりしなる枝から目をそらす耳に聴こえぬ声のするどさ


[2719] 006:時
あきひろ 2005年03月04日 (金) 18時45分
亡き母の二十回忌もまた同じ曇り時々小雪の舞う日


[2983] 061:じゃがいも
葛城 2005年03月05日 (土) 00時08分
ことことと鍋が泡噴くじゃがいもの煮える頃には雪も止みそう


[2905] 038:横浜
天藤結香里 2005年03月04日 (金) 23時01分
しあわせのかけらのように小雪降る横浜みなとみらいのデ・ジャ・ブ




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おしまい。



2005年03月15日(火)  【題詠マラソン2005】参加作品 16〜18 & 過去ログ【25】より








016:たそがれ

恋ひとつ占うためにでたらめに選ばれた樹に宿るたそがれ



017:陸

探査機が着陸します まなうらの雪の野原のブラックホール



018:教室

ひだまりにガーベラじょじょに束ねられ いよよあかるく終わる教室





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以下は、題詠マラソン2005会場より、お借りしてきた短歌です。


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 過去ログ【25】より。
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[4875] 007:発見 正岡豊 2005年03月09日 (水) 03時15分
のっそりと這うカタツムリ このぼくに発見されたくない傷がある

[4857] 005:サラダ ひぐらしひなつ 2005年03月09日 (水) 01時09分
あたらしい皿にあなたがとりわけるサラダ 砲架は遠く組まれて

*

じわじわと惹きつけられたものでした。

心地よいメロディだけが先に来て、そのあとに、言葉がとどき、
何度も読んで、何度も読んだあとからやっと、
たちこめている緊張感に気付いたのでした。

とても好きなものでした。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

[4903] 020:楽 足立尚彦 2005年03月09日 (水) 10時28分
まだかたいトマトのみどり眠らせて地球は楽か トマトは楽か

*

「まだかたいトマトのみどり眠らせて」
ここまでは、自分が詠んだもののような親しみやすさを感じてしまい、
にこにこと読みすすみました。
そして、頬が緩んだところに 『地球は楽か』 があらわれました。どかん。

地球にとっても、トマトにとっても、楽ではなくて、
けれどもきっと、そうする(眠る)ことしかできないトマトであるかもしれず
・・・という方向に落ち着きました。(わたしのなかで。)



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

[4911] 018 教室 吉田貴美子 2005年03月09日 (水) 10時43分
病室を教室とする日々抜けてきっと元気になるよ なっちゃん

*

教室というお題をみたとき、
なっちゃんのことを詠まずにはいられなかった・・・

というような、想いのこもったお歌なのだと感じました。

とても好きなものでした。

きっと元気になるよ なっちゃん。

うん。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


[4926] 005:サラダ 高崎れい子 2005年03月09日 (水) 11時32分
ファミレスのランチタイムのサラダバー少女の皿はパセリで埋まる

*

「少女の皿はパセリで埋まる」
パセリ好きには見逃せないお皿なのでした(^^♪

皿という字と、血という字は、
どうしてこんなに似てるんでしょう。
皿がパセリで埋まるなら、そののちきっと
パセリは「血」に、なるからなのかなん・・・。
(はじめ、≪少女の血≫と読んでしまったので、そんなことを思ったのでした。)

このログにある高崎れい子さんの001〜005、すべてが少女の歌でした。
少し離れたところから、少女を見ている歌でした。

とても気になるシリーズなのです。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


[4849] 44:香 参田三太 2005年03月09日 (水) 00時34分
最後には、線香花火もなくなった。お月さん笑顔。おやすみなさい。


[4847] 012:メガホン PDP 2005年03月09日 (水) 00時31分
メガホンに裸電球のせてみて寂しさだけで灯をつけてみる

*

「最後には、線香花火もなくなった。」

「寂しさだけで灯をつけてみる」

ここのところが大好きでした。






2005年03月10日(木)  【題詠マラソン2005】参加作品 08〜15 & 過去ログ【20】より







008:鞄

彼の人の鞄のなかの一等地そこに在るべき雪の玉水


 
009:眠

こだはりのなさそうな雪しんしんとしんしんと泣く君を眠らす



010:線路

線路沿い見送るやうにびつしりと彼の花の黄(きい)揺れるどこまで



011:都

なまえだけ先に覚えた花でした�狹塰困讚瓩鉢猝淤坐隲瓩�



012:メガホン

メガホンを向けると角を直角に曲がつて逃げる小鳥 ごめんね



013:焦

焦点があうまで呼吸とめている 過不足のない今をとどめる



014:主義

むづかしい言葉で言へば刹那主義 いま いま いま が つくる永遠



015:友
とまどひを身ぐるみ剥いでゆく吹雪ふぶき地ふぶき友だちとして



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以下、題詠マラソン2005会場より、お借りしてきた短歌です。

このあと、すこぉしずつ、皆さんの歌を読ませていただき、
短歌のお勉強をさせていただきたく
おそるおそる始めてみます。

ランダムですし、
文法も作法もなにもわからないまますすみます。

失礼がありましたら、どうぞご指摘くださいね。

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 過去ログ【20】より。
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[3971] 028母 西中眞二郎 2005年03月07日 (月) 11時15分
いったんは母に供えし酒少し飲みてそろそろ眠らんとする

*

音の流れがとても好きです。
そしてもちろんしずかな夜の風景も。



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[3927] 011:都 鈴木英子 2005年03月07日 (月) 09時33分
  大学短歌研究会の頃
そのひとにここは都でなかりけん春を書き置き残し去りたり

*

「はるをかきおきのこしさりたり」 という音がとても好きで
何度も音読してみました。

繰り返し、声に出して読むうちに、
この下二句だけで、いろいろな物語が生まれてしまいました。
(わたしのつたない頭の中に。)



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[3909] 002:色 ひぐらしひなつ 2005年03月07日 (月) 02時14分
冬の陽に色をほどこすさみしさで階段に置くきみのevian

*

そのさみしさに捉まって、ずいぶん長くみつめていました。

evianの置かれたあとの階段にたゆたうものを思い描いていたのです。

*

漢字の持つ強引さについて、いつもいつも考えあぐねてしまうのですが、
「ほどこす」と「施す」では、ずいぶんちがうニュアンスの、
まるでまったくちがう行いかもしれず。

「冬の陽に色をほどこすさみしさで」
うん。とても好きなものでした。








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