くだらないことを書くノート 【HOME】【MAIL】

[2004年02月05日(木)] 「枯れてしまえ」と彼女は言った。

 何が? 何を?






 …ってわけで、Fateが出来なくて禁断症状が発症、というか再発している彗でございます。

 家に帰って、転がって。

 パソコンを見て、転がって。

 Fateの箱を見て、転がって。

 パソコンを起動させて、転がって。

 ……なんか転がってばっかりや(w



 そんな生活もそろそろおしまい。

 昨日メモリが発送されたそうなので、今日明日中には届くっぽいです。

 って、今日明日って仕事あるじゃん _| ̄|○

 週末は実家に帰るし……

 ��( ̄□ ̄;!! ってことは何か!? 俺ってば来週までお預け!?

 勘弁してよ、ママン…



















 追記

 誤字脱字を修正。つーかちゃんと書いたら推敲しろよ、自分。





[2004年02月04日(水)] 雪月花



 雪月花(せつげつか)

 雪と月と花。四季における美しい風物。月雪花(げつせつか) ((つきゆきはな) )。






「――はぁ」

 僕は会社から出ると、外と中の温度差に身震いをした。

 ビルの中は汗をかくほど暖房が効いているのに、外はその汗が凍りついてしまいそうなほど寒い。それで風邪を引いてしまいそうなほどだ。

 時間は夜の10時過ぎ。ここまで遅くなったのは仕事が長引いた理由もあるが、氷点下の大気にこの身をさらしたくない、っていうのもある。夜が更けるほど気温は下がるので、無駄というより、むしろ逆効果だ。それは分かっているけど、こればっかりはどうしようもない。

 僕は冬が嫌いだ。

 理由は色々ある。その際たるものが、冬にはいい思い出がないっていうことだろうか。

 僕は昔、身体が弱かった。今も丈夫なほうではないが、小学生の頃はもっと酷かった。冬場になれば学校に行くよりベッドで寝ているほうが長かったくらいだから。

 医者に言わせると免疫力が人より極端に弱かったらしい。今人並みの生活を送れるのは、その頃から週一回で続けていた投薬と注射のおかげだ。まったく、医学ってのは素晴らしい。ってね。

 なんてもっともらしい理由を考えたりしてみるが、とどのつまり寒いのが嫌いだからなんだけどね。

 僕の友人は、『暑いほうが嫌だ』なんていう奴もいる。なんでも寒さのは服を着込めばしのげるが、暑さはいくら服を脱ごうともなんともならない、といのが持論だそうだ。いくら着込んでも寒いものは寒い、と僕が言ったために小一時間にわたる論議をしたが、結局結論は出なかったけど。






「はぁ」

 街路樹の立ち並ぶ道を歩きながら、僕は思わず溜息をつく。理由はわからないけど、そういう気分だった。

 決して、いつも通勤に使う自転車が朝起きたらパンクしていた、とか、そのおかげで3キロ近くを歩かなければならない、とかそんな理由ではない。……多分。

「――はぁ」

 もう一度溜息が洩れる。

 吐き出した息は白く、ゆらゆらと目の前で揺れながら消えていく。

「冬、だねぇ」

 思わずそんな当たり前のことを口に出してしまう。

 冬だから寒いのか、寒いから冬なのか。

 そんな取り留めもない馬鹿げたことを考えながら歩いていると、眼鏡に何かが張り付いてきた。

 ――水滴?

 それは次第に数を増やし、僕の視界の隅にもひらひらと何かが落ちてくるのが見え始める。

 って。

「――雪、か?」

 思わず手の平を上に向けてみる。寒さでかじかんだ手に、白い雪の結晶がちょこんと乗る。それは僕のなけなしの体温で、すぐに雫へと変化した。

「ん」

 何気に空を見上げてみる。それは気まぐれ。理由なんてない。ただ、僕がそうしたかったから。

「あ」

 僕が見上げた先にあったもの。それは――月。

 薄い雪雲でぼやけて見えたが、それは紛れもなく月だった。

 月の淡い光に照らされながら、雪はただしんしんと降り続ける。

 それはどこか現実離れした幻想的な光景で――

 いつもなら傍の大通りにはこの時間でも車が行き交うはずなのに、その喧騒は聞こえず――

 僕はただ、目の前の景色に目を奪われていた――






 音が消え、世界に僕しかいないのではないか。






 それでも不安なんて感じず、ただ魅入っていた。






 それは10分? 1時間? いや、もっと短かったんだろう。

 バイクの奏でる、けたたましい排気音で我に返る。

 走り去るバイクに少し未練がましい視線を送りながら、僕はまた月を見上げる。雪は未だ降り止まない。

 さっきと同じ光景。

 でも先ほどのように、心が奪われることはなかった。

「――ははっ」

 なんとなく笑い声がこぼれる。いつの間にか止まっていた足を動かしながら、僕はなんとなく考える。






 ――少し、ほんの少しだけ、冬が好きになりそうだ。



















 「実録小説日記」、とか銘打った当作品。事実と虚実を織り交ぜつつ、またこういったものを書こうかな、とか思ってみたり。





[2004年02月03日(火)] 文章の書き方

 『小説の書き方』ではなく、『文章の書き方』です。



 最近二次創作を読んで、かなり気になっているんですが、どーしてか皆、きちんと文章を書いていません。

 例えば、『段落の最初にはスペース(空白)を入れる』とか、『感嘆符(!マークや?マーク)の後にはスペース(空白)を入れる』とか。果ては『文章の最後には句点(。)を入れる』ということをしていない、っていうのもありました。

 そういった『最低限のルール』を守っていないのに人の目に晒すのはどうしたものかと。

 私も偉そうな事を言えた義理ではありませんけどね。ただこうやって言葉が壊れていくのかなぁ、とか嘆いてみたり。





[2004年02月02日(月)] それは渇望? それとも願望?

 今、切に小説をうまく書きたいと思っている。

 もっとうまい表現方法があるのではないか。

 もうちょっと登場人物の心理をちゃんと描けないか。

 話の進め方はこんなのでいいのか。

 そう考えたらきりがない。

 際限のない欲望。

 蝕む、とは違うけど、そんなことが頭の中から離れない。

 これも物書きの宿命というやつなのだろうか。


 なんてことを昼休みにぽつぽつと考えたりしてる。

 というか、こんなこと考えるのはかなり久しぶりな気がする。

 それだけ小説書いてなかったってことかなぁ。





[2004年02月01日(日)] Fate 一日目?

 なんか3時間やって未だにプロローグが終わらないのはどーしたもんか。

 ってスペックが足りないから、っていうのはわかりきっているんですが。なんというかここまで致命的なのは予想外でした。

 ええ、もちろん速攻でVAIO用のメモリをネットで注文しましたさ。届くまで止めようかな、とか思いつつポチポチと進めようと考えておりますが。

 本格始動はメモリが届いてからかなぁ。

 というかプロローグも終わってないのにどうコメントしろと?

 んでは、また明日。





[2004年01月31日(土)] それは禁断症状、と人は言う。

 Fateが見つからなかったので、昨日は広島中を走り回った彗です(バカ?)



 いえ、一番最初に会にいった会社の近くの店が売切れだったわけですよ。それで家の近くの店にも行ったんですが、そこも売り切れ。

 _| ̄|○ なんか俺に恨みがあるのかヨ。

 それで仕方なく我が鬼門、虎○穴(伏字意味なし)に出向きました。

 つーか、一件目のすぐ近くです。でもあえて行きませんでした。

 だって、ねぇ。

 まぁ、『虎穴はいらずんば、虎子を得ず』とは昔の人はよく言ったもんです。

 なんでそうまでして虎の子をゲットしなければならないのかは理解に苦しみますが。

 そんなこんなでリメンバー、ホールオブタイガー。やってきてしまいました。

 思えば去年の11月。月姫を買ったのもココだった。しかし今回、後方支援はありません。孤軍奮闘です。

『なせばなる。なさねばならぬ、何事も』をテーマにいざ鎌倉!!

 ぬぅ、18禁ゲームは三階か。つーか、なんでこんなに階段が狭くて、急なんだ? なぜか2回も道を譲った彗(しかも一人は店員)ですが、なんとかたどり着きました。

 さて、Fateはどこかな?

 つーか、なんでレジ前に平積み?

 すっごい虚脱感に襲われ、思わず崩れ落ちそうになる身体に鞭を打ち、箱をつかむと速攻レジへ。

「予約していますか?」

「いいえ」

 とかいうやり取りを経て、家へ。

 なんかテレカがついてる。ヤター。



 という出来事が昨日あったわけですが、ぶっちゃけまだやってなかったりします。

 ちょっと小説を完成させたほうがいいか、とか馬鹿な考えをしたせいです(まて

 いまその小説を送ったので、ようやく解禁です。

 今から榊家で聖杯戦争勃発な訳ですよ。

 つーわけで明日からプレイ日記ですね(w





[2004年01月30日(金)] 60×60×60=

 今Type-MoonのHPを見てきたのですが、本日発売のFateの平均プレイ時間は60時間らしいです。

 つーか二日半? 俺に休日完徹でやれと?(言ってない)

 一日1時間プレイで60日、約二月。

 まぁ、3時間ぐらいやって休みも入れると2週間の計算です(マティ

 とりあえず来週は睡眠不足が続くのかなぁ、と。





 え? 肝心のゲームはどうしたって?

 会社を定時にとんずらしてゲーム屋に走りますけど、何か?(爆)



 来週一週間はプレイ日記になる予定です(笑)





[2004年01月29日(木)] 親心、子知らず

 例によって題名に意味はございません(w



 なんというか、親知らずがにょっきにょっきと生えてきている模様です。

 入れ歯のように硬いもの、というか固形物が食べられません。

 食べれることには食べれるんですが、咀嚼した時、誤って奥まで入れようものなら、

「Ouch!」

 って感じの黒髭危機一髪です。むしろ一発どころの騒ぎではなかったりしますが。

 しょうがないので昼は10秒でチャージしていますが、夜は「ぬはーん」って感じです(意味無)。

 抜かにゃならんのかなぁ・・・。





[2004年01月28日(水)] 死ぬことは、生きるここと同じくらい難しい

 ま、題名にあまり意味はないんですが。

 去年の暮れだったか、家に遊びに来た友人がこうのたまいやがりました。

「なぁ、Nは何のために生きてる?」

 ・・・・・・いきなりそんな深い質問するか?

 しょうがないのでこう答えた。

「レンたん、はぁは「却下」

 ぐぬぅ。1秒弱でダメ出しかよ。

「いや、真面目な話だから」

 レンがダメならアルクェイドか? それとも琥珀さん? いっそ萌え要素のほとんどない先生?

 つーか、月姫から離れろ自分。

「・・・・・・思い浮かばんなぁ。そんなことあんまり考えたことないし」

 それは受動的に生きているということ。

 生きる意味さえ見出さず、見出せず、流されるまま日々生活しているということ。

 そう考えたらちょっと泣けてきた。

「ちゃんと考えろよ?」

 友人はそう言う。

 それはつまり、今から「生きる目的」を見つけたとしても遅くはないということか?

 ま、高々20年とちょっとしか生きてないんだ。

 今からも続くであろう人生の、三分の一か四分の一ほど棒に振ってしまっているようなものだが、これから先をもっと濃いものにすればいいだけの話。

 しばらく考えた末、俺はこう友人に言った。

「それを探すために生きてる。ってのじゃダメか?」

 友人はそれを聞いて笑いながら、おまえらしい、と言った。









 ちなみになぜ友人がこんな事を言い出したかと言うと、

「いや、ネットで『生活の中で、ほんのちょっとだけでも幸せだな、と思えることを見つけるために生きてる』ってのを見て、みんなはどうなんだろうな、とか聞きたくなって」

 とのことらしい。

 そーいや俺、お前の「生きている意味」聞いてねーぞ。



 そんなこんなで終わり。















 追加

 レイアウトをちょこっと変更。っていうか、横棒を入れただけだが。

 ちょっとは読みやすくなったかな、と自画自賛をしてみたり。



 二次創作の第一話の完成の目途が、よーやく立って来た。

 いやぁ、長かった。ほとんど3週間ぐらい使っちゃったよ。

 後は気に入らんところを削ったり、足りんところを付け足したり。早い話が推敲。

 週末には送れるかねぇ。





[2004年01月27日(火)] 蒼海に浮かぶ、紅涙の月 第一話

「ぐぅっ」

 広い庭に少年の呻き声が響く。そして血の臭い。

「どうしたの? それで終り?」

 対する女性は冷ややかな声を少年に叩きつける。

 その声に叱咤されるように少年はゆっくりとではあるが、起き上がる。

 体中に切り裂かれた傷があり、顔は血を失っているせいかもはや土気色だ。

 それでもその両の眼(まなこ)はいささかも意志を衰えさせてはいない。

「ふん。いい目ね」

 その声とともに女性の姿が掻き消える。

 少年――碇シンジの意識が途絶えたのは、次の瞬間だった。




















             蒼海に浮かぶ、紅涙の月
                第一話「月に叢雲 花に風」
























「妹。明日の朝までにこいつ、直しといて」

 女性――アルクェイドはボロ雑巾でも扱うようにシンジの身体を持ち上げると、振り返らずに後ろへ投げる。

「いいかげんに死なさい。シンジ君を殺す気ですか」

 慌てるそぶりも見せずにシンジを受け止めたのは、髪の長い女性だった。

 遠野家当主、遠野秋葉。それが彼女の名前だ。

「殺しはしないわよ。そいつが殺すのは私なんだから」

 そのまま森のほう――屋敷の反対側に歩を進めるアルクェイド。

「だからといって――」

「妹」

 立ち止まり、秋葉の言葉を遮ると、、顔だけ振り返り秋葉を見やる。

 その瞳は冷たい炎をたたえていた。

「私から志貴を奪ったのはアンタ。忘れないで」

 それだけ言うと森の中に姿を消した。

 秋葉は苦虫を噛み潰したような表情で使用人である琥珀にシンジを預けた。











 シンジが目覚めたのは真夜中だった。いつもの目覚めと同じく気だるさが抜けない。

「っ!」

 身体を起こそうすると激痛が走る。今日はいつも以上にこっぴどくやられたらしかった。

「まだ起き上がらないで下さい。傷に障ります」

 そんな言葉とともに、ひんやりとした手の感触が肩を押さえる。

「琥珀さん?」

「はい」

 シンジはゆっくりとベッドに身体を横たえた。

 シンジが遠野家にやってきて2年が経とうとしていた。それ以来毎日のように繰り返されてきたこと。

 いつもであればこのまま琥珀が席を立ち終わるはずであった。

 それは破ったのは琥珀の問い掛け。

「なぜ、そこまでされるのですか?」

「そこまで?」

「毎日ボロボロになるまで身体を傷つけて。一人では起き上がれないくらい疲れ果てて。この家にいなければ、とっくの昔に死んでいてもおかしくはないんですよ?」

 日頃の想いが堰を切ったように溢れ出す。

 それはかつての想い人に似た面影を持つ、この少年が傷つく様を見たくないからか。

 まだ幼いこの少年が、何を想い自分の身体を酷使するのか知りたいのか。

 琥珀には分からなかった。そのどちらでもあるようであり、どちらでもないような気がした。

 シンジは虚空に視線をさ迷わせる。答えを探すようでもあり、自分を落ち着かせている感じも受ける。

 やがて言葉を見つけたのか、一つ一つ確かめるように信じ始めた。

「自分でもよく分からないんです。なんでここまでするのか」

 シンジの言葉に、琥珀は黙って先を促す。

「ただ、アルクさん。いつも悲しそうなんです。いつもどこか遠くを見て、僕を見るときも、僕を見てないんです。だから僕を見てもらうために頑張っているのかもしれません」

 わけわかんないですね。そう笑うシンジを、琥珀は見ていることが出来なかった。

「琥珀さん?」

 俯いたままの琥珀を心配そうに覗き込みシンジ。

「な、なんでもないです。それでは、おやすみなさい」

 椅子から立ち上がると、慌てて部屋を出て行く琥珀。

 シンジの部屋の扉を閉めると、ゆっくりとそこに背中を預ける。

 その頬をゆっくりと涙が伝い落ちる。

「また、振られちゃったんですね」

 自分がシンジにかつての想い人を重ねていることはわかっている。いや、この館に住むものは全て。

 しかし、かつての想い人に似た少年の想いはすべて、一番過去に囚われている女性に向かっている。

 何と言う皮肉だろうっ!!

 少年は一番自分の想いに答えてくれない人物を想っているのだから。

 少年自体、その想いがなんであるかは気付いてないようではあるが。

「でも、今度は負けません」

 琥珀は静かに闘志を燃やす。

 報われないと知りながらそれでも。いや、だからこそ。

 勝負は勝ち負けが決まっていないほど、おもしろいのだから。











 シンジは琥珀の様子に首をかしげながら、それでもゆっくりと身体の状態を確認する。

 あれほど深く刻まれた傷は、ほとんど癒えているようだ。

「よしっ」

 自分に喝を入れると、そっとベッドを抜け出し窓を開け放つ。

 深い藍色の空の真ん中に、ぽつんと淡い輝きを放つ月が浮かんでいた。

 星々の光を全て消し去り孤高を保つその様を、シンジはアルクェイドに重ねずにはいられなかった。

 彼女は今もあの場所で、独り月を見上げているのだろうか。

 そう思った瞬間、シンジは窓の外に身を投げ出していた。

 シンジの部屋は三階。そこから落ちれば軽い怪我ではすまない。

 しかしシンジは両足で衝撃を吸収し、危うげなく地面に降り立つ。

 傷に障ったのか少し顔を顰め、それでも月明かりを頼りに森のほうへと駆け出していった。











 果たしてアルクェイドは、シンジの予想通り彼女がいつも過ごす岩場で月を見上げていた。

 それはひとつの肖像のように、シンジの心を捉えて放さない。それと同時に胸の奥を鷲掴みにされるような感覚。それが「恋」であると認識するほど、シンジの心は育ってはいなかった。

「どうしたの? こんな夜更けに」

 アルクェイドは月を見上げたまま、シンジに問い掛ける。

 その声に昼間の激しさはなく、ただ優しくシンジの胸を打つ。

「僕が、僕では志貴さんの代わりにはなりませんか?」

 それを告げたのは、ほとんど勢いだった。自分ではない誰かが自分の口を勝手に使ったかのように。

 アルクェイドの反応を見ようとした瞬間、別のことでその言葉の重みを確かめることが出来た。

「ぐぅっ」

 アルクェイドがシンジの首を掴み、そのまま持ち上げたのだ。

 シンジは後悔した。暴力的な意味合いではなく、アルクェイドの瞳を見てしまったから。

 その瞳は確かにシンジに向けられていた。他の誰かに重ねて、ではない。他ならぬシンジに。

 憎悪、嫌悪、侮蔑。そういった負の感情をありったけ叩きつけられて、シンジは死を覚悟した。

 アルクェイドの逆鱗に触れてしまったのだ。

「ふん。アンタ、でき損ないの分際で何様のつもり? 志貴の代わり? ふざけるのも大概にしなさい」

 その声はシンジが聞いたことがないほど冷たく、それが尚更シンジの耳朶を打つ。

 首にこめられる力がさらに強くなり、意識が途切れかける。

 しかしその前に力は緩められ、宙を浮く感覚と、背中を強打する激痛。

 どうやら岩場に放り投げられたらしい。

「アンタは私を殺すまで、死ぬことは許されない。
 不愉快だわ。2、3日頭を冷やしてなさい」

 そちらを見ずとも、アルクェイドがどこかへ去ったことが分かった。

「くっ」

 シンジはここに連れてこられ、痛みのためではない涙をはじめて流した。

 不甲斐なかった。

 愛しい人の力になれない自分が。

 情けなかった。

 愛しい人の傷をえぐることしか出来ない自分が。

 悔しかった。

 愛しい人の心の中に住みつく人物が。

「うわああああああああああ!!」

 いつのまにか月は雲に隠れ、澱んだ雲が雨を呼んでいた。

 ずぶ濡れになりながら、シンジの頬を雨が滑り降りる。

 少年の涙をそっと隠すように。











 シンジが屋敷に戻ったのは明け方近くだった。

 シンジを出迎えたのは琥珀の双子の妹、翡翠だった。

「シンジさん、どうなさったのですか?」

 目に見えてやつれ、瞳も真っ赤に充血している。

「いえ、なんでもないです。すみません、少し、眠ります」

 言うが早いか、そのまま崩れ落ちる。

「シンジさんっ!?」

 慌てて身体を支える翡翠。その身体は思いの外熱を持っていた。

「っ!? すごい熱。姉さんっ!!」

「なんですか、翡翠ちゃん」

「シンジさんがっ!?」

「これはいけませんね。寝室へ運びましょう」















「それで、シンジ君の様子は?」

 秋葉はシンジの汗をぬぐっている琥珀に尋ねた。

「わかりません。ただ・・・」

「ただ?」

「魔術回路の著しい低下と、封印が弱まりつつあります。このままでは・・・」

「死んじゃうんだ、ソイツ」

「っ!!」

 琥珀は窓のほうを睨む。

 そこにはいつの間に現れたのか、アルクェイドが壁に背を預けていた。

「あんまり持たなかったね。もうちょっと頑張るかと思ったんだけど・・・」

 秋葉が口を挟もうとする前に、琥珀がアルクェイドの頬を叩く。

「あなたはっ!!

 貴方はどうしてそうまでして、シンジ君を縛るんですかッ!?

 シンジ君は貴方を想っているのにっ!!

 貴方のことしか想っていないというのにっ!!

 これ以上何を望むというのですかっ!?」

 普段声を荒げることのない琥珀の、悲痛な叫び。

 しかしアクルェイドは、

「ソイツは私を殺すためだけに生きているの。それ以上でも以下でもない。ソイツが私のことをどう思おうと知ったことじゃない」

「本当に、それだけなの?」

 今まで黙っていた秋葉がぽつりと呟く。

「何がいいたいの?」

「少なくともこの館にいるものは全て、シンジ君に誰かを重ねている、ということよ」

「まどろっこしいわね。はっきり言いなさいよ」

「貴方はシンジ君に兄さんを――遠野志貴を重ねている。そうじゃなくて?」

 それを聞いたアルクェイドははっきりと分かるほどの怒気をはらむ。

「妹。いいたいことはそれだけ?」

 それは凍てつくほどに凍えた声。凍らさざるをえないほどの激情を含んだ言葉。

 その部屋の人間は全て――秋葉でさえも、動けなくなる。そして全員が死を覚悟した。

 痛いほどの静寂。それを破ったのはか細い声だった。

「・・・アルクさん、ごめんなさい。僕、強くなるから。もっともっと強くなるから」

 熱にうなされたシンジの声。それが呪縛を解く呪文であるかのように、琥珀と翡翠は床に腰を落とし、秋葉も壁に背をついた。

 アルクェイドの姿は、もうそこにはなかった。

 ただ開け放たれた窓と、風に揺らめくカーテンがあるのみ。
















「志貴ぃ、わたしはどうすればいいの?」

 金色の吸血姫は、まだ降り止まぬ雨の中で今は亡き想い人の名前を叫ぶ。

 紅い瞳から零れ落ちる涙は、雨に隠されていた。

























 うぃー、むっしゅ。というわけで『紅涙の月』第一話です。つーかこれで打ち止め。

 やっぱり最初書いたっきりだったりします。推敲ぐらいしろよ自分。

 なんというか、何が書きたかったんだろうなぁ、俺。みたいな感じにさせられます。

 まぁ、アレです。

「知ることにより世界は狭まる」といういい見本ですね、この話は。

 なんて綺麗にまとめようとしてますが、結局「書く能力がない」ってところに落ち着きわけで(w

 一応案はあるんですが、書かないんだろうなぁ。





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