部屋のすみっこに オムツした犬がいて
ぼくが マントみたいなのから手をだして 「チュチュッ」と呼んでみたら
「もうね、ボケちゃってて…」 代わりにおばさんがこたえた
ときおり だれかに自分の名前を呼ばれたような顔で 通りに向いたドアのほうを見る
その目はとても水っぽくて 片方は白く曇ってた
飴をすすめられて
(そんな子供じゃないもん) と思って断ったら
オトナのおばさん達にもすすめてた
美容師の人はわたしにどの雑誌を渡そうか
いっぱい迷って いっぱい探して
non-no をくれた
「姉ちゃん、うちのクラスに」 「留学生?」 「ちがくて」 「なに」 「転校生だよ!」
「おとこ?おんな?」 「女子!」 「へぇ」 「にひひ」
「可愛いの?」 「ん〜〜」
「の?」
「ふつう。かな」
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