洗面所の鏡のまえ 体をななめにひねり おそるおそる 耳の傷口の消毒
夜は こっちの耳を庇うようにして寝てる
でもね 傷をかばっているつもりで ほんとは この傷に守られてる
わたし 傷にすがってる
お父さんがお盆休みに帰るまでに 宿題を終わらせたい
けど
プール 漫画 アイス 昼寝 クワガタ 夕寝 すいか テレビ 夜寝
なにしろぼくは忙しいからさ
ぷフー。(鼻息)
2003年08月07日(木) |
アサキ・17 ほんの一瞬だった |
あけられてしまった
ホチキスかピストルみたいなもので ほんの一瞬だった
髪を耳にはさむ癖があるから 片耳だけにしてもらった
夜、その場所がジンジンして なかなか眠れなかった
やわらかな暗闇のなかで目を泳がせ 枕カバーの端っこをつかむ
「わたしは、わたしだけど、もう」
点滅する痛みは なにかの暗号のようで
「もう、わたしじゃないかもしれない…」
けれど、今のわたしには とても解読できそうになかった
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