「( ムカつかね? )」 こそっと、ナカヤンがぼくに言ってきた
「んー」 ぼくは適当にながして ナカヤン花火の先から火をもらう
シュワッと燃えだすときの 煙が目にしみたり 燃えかすを水につけたとき 鼻にツーンとくるのが イヤなんだけど面白い
『 普通 』のやつがなくなって 『 しょぼい 』に入った頃か 例のタカシが また何か単独行動をはじめた
みんな『 普通 』の花火を手にとったけど タカシだけ いきなり『 やばい 』をとった
ぼくらが ピンクだ!緑だ! って火の色を数えてると タカシはどっかから拾ってきた空き瓶に 『 やばい 』をセットして火を点けた
「ヒューーーー パチ。」
ロケット花火だ うちではお父さんしか触らない
ショウタが「俺も、したい…」 と言うと タカシは「これだけな」 と 一本だけショウタに手渡した
「お前らもな」 ぼくらにも一本ずつ渡すと 残りのロケットぜんぶ そのタカシがにぎってしまった
「きょう、花火だからさ」
早めに夕飯つくってもらって どこに入ったか分かんないような食べ方をした
夜に出掛けるのって それだけでワクワクする
公園につくと ショウタが従兄弟を連れてきてて タカシっていうそいつは いっこ上の学年らしかった(学校も違う)
ナカヤンが家から持たされた 『 ジャンボ 』って花火セット
それをみんなで開けて 『 やばい・普通・しょぼい 』 3通りに分けてから いよいよ始まった
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