海津ほろよい日記
湖畔の酒蔵 ほろよい社長の日常

2003年05月05日(月) 好きなもの(1)

連休最終日、足りないお酒のラベルを貼ったり、店番をしたり、ゆっくり一日ゴロ寝ができないのはつらいものです。

というわけで、日記のネタがきょうはありません。
たわむれに専務の好きなものをあげていきましょう(案外性格がわかったりして)。

●好きなマンガ作家
星野之宣(ブルーシティー、2001夜物語/魔王星の設定とストーリー展開がまことに秀逸。ヤマタイカ、ブルーホール)

諸星大二郎(生物都市、暗黒神話、孔子暗黒伝)

萩尾望都(11人いる、100億の昼と1000億の夜)

鴨川つばめ(初期のマカロニほうれん荘、機関銃のようなパロディとギャグの連発が心地よい、ギャグマンガ界の華麗なる一発屋)

秋月りす(OL進化論、最近は朝日新聞日曜版にも描いてますね)

●好きな小説家
山本周五郎(樅の木は残った、青べか物語、赤ひげ診療譚、山彦乙女、寝ぼけ署長、武家わらじ/しっとりと練りに練ったコシのある文章が大好きです)

池波正太郎(鬼平犯科帳全シリーズ、心付けの渡し方がにくい)

松本清張(初期の短編、真贋の森、張り込み、青のある断層、天城越え)

渡辺純一(初期の作品、花埋み、ダブルハート、当時より女性の艶みたいなものを書くのはうまい人でしたが、最近のものはちょっと食傷)

山口瞳(江分利満氏の華麗な生活、酒呑みのサラリーマンの心理にシンパシーを感じてしまいます)

アーサーCクラーク(2001年宇宙の旅の原作者。個人的には「地球幼年期の終わり」が好きです。

●好きな映画
ゴジラ(初回作)、地球防衛軍、赤ひげ、ファンタジア、蒲田行進曲、天城越え、影武者、大脱走、愛と青春の旅立ち、太陽がいっぱい、カサブランカ、渚にて

好きだったTV番組
ウルトラQ(ケムール人大好き、ガラモン、バルンガ、ペギラ)

ウルトラマン(定番のバルタン星人、メフィラス星人、ゼットン、ブルトン、ペスター)

ウルトラセブン(オープニングシーン、ウルトラホーク1号射出シーン、チャームなエレキング、あぐらをかくメトロン星人、チブル星人、悩むモロボシ・ダン)

謎の円盤UFO(スカイダイバー隊員の網シャツユニホーム、ムーンベースの女性隊員のメタリックなウイッグ、インターセプター発進シーン、コンピューター衛星シド)

サンダーバード(1号、2号発進シーン。ジェットモグラ)

飛び出せ青春(あの熱血教師、村野武範が食いしん坊万歳に!トホホ)

男たちの旅路(若き日の桃井かおりのけだるい演技と、鶴田浩二の渋い演技)

電子立国日本の自叙伝(トランジスターから始まる半導体、IC、超LSI、電卓戦争など戦後日本の物作りの現場を丁寧に取材した秀作)

新八犬伝(豪華絢爛な辻村ジュザブローの人形は子供心にすごいと思った)

赤ひげ(NHK版、赤ひげ役の小林桂樹はハマリ役。脇役の若き浜木綿子はしっとり和服美人で小学生ながらポッとしたもの。1年間の放送で、赤ひげのメインストーリーの中に、山本周五郎の短編ストーリーがちりばめてあり、各話充実してました)

まだまだ出てきますが、次回のネタ切れの時に取っておきます。
















2003年05月04日(日) 日給と時給

「昔は一日働いて、酒が1升買えんかった。いまは安くなったものだ。」
もう数年前に他界された酒販店の御主人が、よく口にしたお話です。

昭和20年代から30年代当時、土木作業場に人足にいき、夕方もらった日給で酒屋さんに行っても1升買えなかったそうです。

酒飲みはやむをえず、量り売りで2合とか4合とかのお酒を買い、残りを家計に入れたそうですが、この当時は御主人が大酒飲みだと家が傾くということが現実にあったようです。

今では家が傾く前に、自分の体が持たないでしょう。お安い酒なら時給程度で1升買えてしまうのですから。

現在の物価水準に比べ、相対的にお酒の価格が安くなったわけで、この稼業がはやらないわけです。

ここでちょっと算数の問題を・・・。
アルコール分13%(お安いお酒は、酒税節約のため、アルコール分が2%ほど低いものが多い)、1.8リットルで小売価格1.000円のパック酒の酒税はいくらでしょうか?

ヒント
アルコール分15%の清酒1000リットルにかかる酒税は140.500円で、これを基準とし、1%増減するごとに9.370円増減します。

答えは
(140.500ー9.370×2)÷1000×1.8=219円
(円未満切り捨て)


それではここから原材料費を推定してみましょう。
1000−219=781円として

ここから小売店さんの利益、問屋さんの利益、メーカーの利益を差引き、

さらに、広告宣伝費、流通経費などを差し引き、
そこからさらに、製造と販売にかかわる社員さんの人件費、燃料費、電力費、容器包装費などを差し引いた残りが、中に入っているお酒の原材料費です。

なにやら物悲しくなってきませんか。
















2003年05月03日(土) ハリーポッター

妻が「ハリーポッターと秘密の部屋」のビデオを購入
連休の初日に見ていました。

初回作に比べると、ポッター君は肩幅が少し大きくなり、ハーマイオニー嬢はチャーミングになりましたねえ。この時期の子供は成長が早い。

ぼんやり屋のロン君だけが、あんまり代り映えしない様子。そのわりには自動車を暴走させたり、いっぱしに不良しています

この映画には、ゴブリン鬼やトロール鬼(たしかムーミンもトロールという設定で原作者のヤンソン女史が日本のアニメを見たとき「これはムーミンでない」といったとか。)、屋敷しもべのドビーなどの妖精やモンスターが出て来たり、ひねくれ屋のイギリス人らしいブラックユーモアーがちりばめてあったり、昔読んだ「マザーグース」の世界と相通じるところがありそうです。

英語力のない私としては、この映画を充分に咀嚼できないのですが、”Rain rain go to Spain.”ばりの韻を踏んでいたり、飛び交う魔法の呪文にもなにかイミがありそうで、その道に詳しい人ならもっともっと楽しめるのではないかと感じています(英文科卒の愚妻はどうもラテン語ぽいと申しておりました)。





2003年05月02日(金) 新企画

Aコープ今津店様より、問屋さんの滋賀酒販を通じて弊社に依頼がありました。
地酒を前面に押し出した売り場を作りたいので協力してほしいとの依頼です。

新規の酒販免許をもらった売り場は、えてしてディスカウンターもどきの販売手法で顧客を確保するのであんまりお付き合いしたくないと思っているのですが、地酒は利益商品として認識していただいたのか、定価販売を前提に売り場の一番よい場所を竹生嶋に貸してあげましょうとの好意的なお話で、私もひと肌ぬごうと思いました。

基本的にAコープさんは農協なので、お米の専門家としてのスタンスを大切にした売り方がよいのではないかと考え、「酒造りは米作りより」というキャッチフレーズで売り場を装飾しようと考えています。

「武士は自らを知る主君のもとで死す」わたくしは死ぬつもりはないですが、うちのお酒のことを理解し、なおかつ拡販しようとする小売店さん、消費者さんのためには一肌でも二肌でも脱ぐつもりでいます。









2003年04月30日(水) 資本回転率

むつかしい言葉で恐縮です。
1年間で元手が何回回転したかをあらわします。

日本酒を造るのにかかる元手は、おおきく分けて4つ
1)原料米代金
2)製造にかかわる蔵人さんの賃金
3)販売にかかわる社員さんの賃金
4)その他、燃料代、水道代、宣伝広告費、商品の発送配達費などなど

この稼業、いちばんかかるのは米代、次に人件費です。

酒造がはじまる直前、10月にに銀行からごっそり融資をうけ、米を仕入れ、蔵人さんの給料を払い、お酒が全部できるのは3月末。これを販売して次の10月までに借金を返し、あるていどお金が残っていれば黒字、残らなければ赤字です。

基本的にこの商売は、資本回転率が年1回という、ほかの業種から見ると特異な業種なのでありあます。

他の製造業ならば、原料を仕入れて、商品をつくり、納品し、サイト3ヶ月の手形をもらう繰り返しで資本の回転率は3回から4回くらいあるのでしょうが。

で、何がいいたいかといえば、「お金がない!!」。

蔵人さんは5ヶ月分のお給料をもらって能登にお帰りになり、原料米代金も農協さんに前金でおはらいしていますので、年末年始の売上と、花見とお祭りの売上があっても、この時期の吉田酒造の銀行口座は残高が非常にきびしいのです(弊社とリンクしている、開春の若林社長も日記でこぼしておられます)。

倒産や、廃業の話はあちらこちらで耳にしますが、他業種からこの業界への参入がないのも、このあたりが原因なのでしょう。事業としては、全く魅力のない業種なのだとわれながら思います。

「おいしいお酒をつくろう」という意気込みだけではやってけない。
そんな現実を実感する月末です。








2003年04月29日(火) 海津祭りにハレするまわし

江戸時代、巡業の力士連中の向うをはって、化粧回しを締めておみこしを担いだのが起源といわれる力士祭りの日です。

海津祭りには都都逸(どどいつ)調の気の利いた祭り唄がたくさんあって、いくつか御紹介しますと、

「海津祭りにハレするまわし ハレするまわし 神龍 稲川 四つ車(シコ名のこと)」

「私のこころとお宮の屋根は お宮の屋根は かわらない(瓦がないと、変わらな いをかけている)ぞえいつまでも」

「米のなる木(稲のこと)でつくったワラジ つくったワラジ 踏めば小判の跡
 がつく」

ちょっと意味シンで、エッチなものもあります。
「いれておくれよ痒くてならぬ 痒くてならぬ 私ひとりが蚊帳の外」

もっと、エゲツなくて放送禁止用語が飛び出す唄もあるのですが、まあ琵琶湖の湖上交通の要として繁栄した時代、血の気の多い漁師や船頭さん、人足さんなどが活躍したお祭りなのでお目こぼしいただきたく思います。

いずれの唄も、昔、海津という町に造り酒屋や醤油屋さん、味噌麹屋をはじめ、遊女のいる遊郭まであって小都市としてワンセット揃っていたことを伺わせてくれます。

1時に大人の御神輿が海津天神社を出発。町内を2巡するのですが、要所要所では御神輿を大きくゆさぶり、まさに港町のお祭りの面目躍如。

夜8時すぎ、海津天神社にたいまつの火に照らされて帰還、境内でひとしきり御神輿を揺さぶってお祭りは最高潮をむかえます。

御神輿が納まって家にかえる道すがら、田植え間近のたんぼからはゲロゲロとカエルの声がいたるところから聞こえ、燃え尽きたたいまつからは、昔、薪で煮炊きをしたときの郷愁のあるにおいが。お祭りのあとの物寂しさをかきたててくれます。

祭り唄を最後にもうひとつ。
「まつり、まつりと待つのが祭り 待つのが祭り 済んだ後宴(ごえん)がなにゃよかろ。」

(後宴とは、お祭りの翌日にする、御神輿のかき手の慰労会でまた呑みます。)









2003年04月28日(月) 浄夜

海津祭りの宵宮の日、各家庭では掃除をしたり、お酒を準備したり、御馳走をつくったり余念がありません。

昔は周囲の部落からお世話になっている人をたくさんお招きしたようですが、いまはそれほどでもないようです。

かくいう吉田酒造も昭和の30年代は取引先の酒販店を全部お招きし、巻き寿司を100本近く準備したと大奥様がいつもこの時期こぼします。むかしは娯楽がなくて、お祭りや、盆踊りなんかが楽しみだったのでしょう。

お酒といえば、日本酒をさし、ビールや酎ハイ、ワインなんてものもなかったので、お祭りともなれば、日本酒の出荷が目に見えて増えたものです。

7時前、明日おみこしを担ぐ青年会のメンバーが、海津天神社でお払いを受けるために、ほとんどヘロヘロになって弊社前を通過。いつもの都都逸(どどいつ)調の海津祭り唱をがなっていました。

一行がとおり過ぎたあとは、ほとんど通る車もなく、海津の町の家々には御神灯が灯されて、静かで清浄な雰囲気につつまれます。

さて明日は海津祭り本番の日。熱くなりそうです。



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