2003年05月15日(木) |
保育器(サーマルタンク) |
生酒とか、吟醸酒とか、デリケートな赤ん坊を造っているものですから、吉田酒造の保育器(サーマルタンク)は相変わらずフル稼働です。
花見、センキョ、お祭りの需要と、いわゆる上撰とか佳撰とかいう、野太い酒質のクラスのビン詰めが連続した4月の需要期の合間をぬって、3月末にかかえこんでいた生酒をビン詰めし、だいぶ冷蔵庫に片付けたのですが、まだサーマルタンク2本分残っています。
3日前まで3度の冷水マットで囲っていた生酒が過熟気味でなんらかの処置をしないとちょっと出荷できないくらい味が乗ってしまい、サーマルタンクが空いた昨日、速攻でサーマルに移動しました。
2年前に清水の舞台から飛び降りたつもりで設備したサーマルタンクのおかげで、なんとか時間稼ぎをしている状態です(なんとマイナス3度で1000リットル強の生酒を余裕で囲えるなんてとっても便利)。
しぼったらすぐに、フィルターでろ過し、ビン詰めして、生酒ならマイナス3度、過熱処理済みで10度から15度というような理想的な温度管理ができるのは、よっぽど恵まれた蔵元さんです。
わかっているのに設備投資やら人の問題でできない、このくやしさはやはり場末の蔵元なのでしょう。
もっと稼いで後ろ指をさされない蔵元になるぞお!
PS 明日は年1度の健康診断で、胃カメラを呑んできます。その模様についてはまたレポートいたします。
地方を旅行して楽しみなことは「その土地の美味しいものと、地酒を楽しむ」ことだ、という人はけっこうおいでかと思います。
大都市ならともかく、地方にでかけナショナルブランドのお酒が出てきた日にはゲッソリです。
東北や、北陸地方では、県産酒をつかう居酒屋さんやホテル、旅館が大半で優等生なのですが、滋賀県はまだまだナショナルブランドの比率が、県産酒よりも高い県なのです。
灘、伏見という二大生産地の近くにあったこと、県内の蔵元がその下請けを長年やってきたという歴史が、県産酒メーカーを卑屈にさせ、ナショナルブランドに県内市場を奪われる大きな原因になったのです。
昭和30年代から50年代ごろのナショナルブランドの地方侵略たるやすさまじく、リベート攻勢、10本に1本どころか2本を無料でつける現物付きサービス(2本つけるので○○盛と揶揄されたメーカーがありました)、新規開店の飲み屋さんに対する自蔵ブランド名入りの看板、酒器、お燗器の無料提供など枚挙にいとまがありません。
今でもパレット単位で買ってくれるディスカウンター相手には、似たようなことをやっているんでしょうなきっと。
先月、発泡酒の増税をあおりたてディスカウンターと結託して、あらけなく発泡酒をうりさばいた大手ビールメーカーと同じです(たかが350缶1本で10円の値上げなのに、今買わないと損なようなムードにさせ、ケースにおまけのラップまで貼付けて、個人に何ケースも売りつけるなど催眠商法まがいではありませんか。売れれば何をしてもよいのか?君たちは!)。
当時は地酒メーカーの大半もまた、ナショナルブランドと同様の勝ち目のない値引き合戦に参戦していたのですが、1部心ある地酒メーカーが志向したのが、品質向上による商品差別化です。
最初は添加する原料アルコールを減らしたり、精米歩合を5%でも向上させたり、ブドウ糖やアミノ酸、酸味料を使ったお酒を全廃することからはじまり、本醸造酒や純米酒、吟醸酒など特定名称酒へのシフトにつながりました(ちょうどこの頃が第1次地酒ブームとよばれ、越乃寒梅などがもてはやされはじめた時分です)。
その後、値引き競争に疲弊した地酒メーカーもその潮流に合流し、努力した結果、「量販のナショナルブランド」VS「品質と個性の地方地酒ブランド」という対立構図が、現在、漠然とではありますが消費者さんに出来上がりました(残念ながらそのどちらにもあてはまらない清酒メーカーが実際にかなりの数存在し、経営難に陥っています)。
これから、私たち地酒メーカーがやらねばならないのは、圧倒的な量販力によってナショナルブランドに席巻された地元市場の失地回復であり、そのための武器は地酒のもつ、品質と個性を前面に押し立てた販売戦略です。
前振りがながくなりましたが、その一環として、本日、仲立ちしていただく方があって、滋賀県の旅館経営者の女将さんたちが組織する「女将の会」の代表者に、滋賀県酒造組合連合会・需要開発委員長としての立場でお会いしてきました。
滋賀県の地酒の良さを実際に知ってもらい、滋賀県の食材と地酒を、最高の条件でお客様に提供していただく。そうした勉強会をぜひとも実現したいとお伝えしてまいりました(決して難しい講話ではなく、こうしたらもっと美味しく料理と地酒がたのしめますよ。そうしたらお客様と地酒談義に花が咲くではないですか。という体験会のようなものです)。
スケジュールと概要がきまれば、拙ホームページでもお知らせいたします(あくまでも酒食を提供しているプロの方を対象にした勉強会なので、一般の方は御遠慮ください)。
一般の滋賀県地酒ファンの皆様には、県産酒のおいていない居酒屋さんや、旅館、ホテルなどに不幸にしておいでになった折に、「なんで滋賀県の地酒がおいてないのお!いつも飲んでる○○なんて最高よお(ちょっとふてくされた桃井かおり風に)」などと御意見いただき、援護射撃をお願い申し上げます(なんてったって消費様は神様ですから、わたくしたちが100ぺん言って実現できないことを一言で実現させてしまうかもしれません)。
2003年05月12日(月) |
Yellow Flag 21 |
なにやら、わけのわからない和製英語ですが、春の交通安全週間最初の登校日の朝、PTAや老人クラブ、町会議員さんなどなどが、マキノ町最大の交差点(JRマキノ駅前通りと湖周道路との交差点)にずらりと並び、黄色い旗を振って交通安全を呼びかけるというイベントです。
立場上私も参加、7時20分現場到着、すでに50人以上の皆さんが黄色の蛍光色のジャンパーを着用してずらり。そのうちに町長さんや、今津警察署長さんもおいでになられ、パトカーも赤色灯を点滅させて2台横付け、なんとも仰々しいことです。
これだけ並べばドライバーの皆さんは圧倒されてスピードが落ちるというものですが、それでもいるのですね、平気でぶっ飛ばしていく無神経な輩が。
今日1日で、ネズミ取りにいく警察の車を2回も見かけました。けさは、今津警察署のまん前でシートベルトの検問があったそうで、ごっそり違反者が切符をきられたそうです。
近頃は違反の罰金もばかにならず、飲酒でつかまったらサラ金で借金しないと払えないくらいです。安全運転しなければ。
今日はうちの豚児たちが通っている、マキノ東小学校のPTA総会です。 親御さんたちが出席しやすいように土曜を通学日にし、午前中は授業参観、午後から総会のスケジュール。
授業参観は嫁さんにまかせ、総会は恥ずかしながらPTA会長の私が出席しました。
現在、小学校のかかえる1番の課題は、「子供たちに土、日をいかに有効に過ごさせるか」という問題です。
そもそも、私たちが子供のころ、塾通いや受験競争が激化して、こどもたちが勉強ばかりで、家の手伝いや、体作り、基本的な礼儀やしつけなどができていないという反省のもとに、ゆとり教育が提唱され、今、ようやく実現したわけなのですが、休みをふやし、学習要領も3.14が3になるような改善(改悪?)をおこなったものの、実際に子供たちが休みに何をやっているかといえば、コンビニやショッピングセンター、ファストフード店をうろついたり、TVゲームでピコピコというお粗末。
先生が勉強を教えるのはもちろんのこと、週休2日を有効に利用して、地域社会や親、家族がもっと子供の教育にかかわっていこうというのが総会の趣旨でした。
きちんと靴のひもが結べ、箸がきちんと持て、カッターや包丁などを危なげなく使え、雑巾がきちんとに絞れる(「となりのトトロ」や「千と千尋の神隠し」など宮崎アニメで、子供が雑巾をしぼるシーンが出てくることの意味をかみしめてみたことはありませんか)。
基本的な体力が身についていて、子供たちだけで遊べて、けんかをしても相手に再起不能になるような精神的、肉体的打撃をあたえない(同種の野生動物間では普通の行動だそうです)。
あたりまえの子供が今、少なくなっています。
勉強は中学生、高校になったらいやでも集中してやらねばならなくわけです。人間として、動物として身につけておくべき基本的な事柄を、小学生のときにまず学んでおくべきだと考えます(それで、まだ余裕がある子供は塾通いでも習い事でもなんでもやってよいではないですか)。
知識があるということと、本当の意味で賢いということは違うと思うのです。
今日、商標の登録管理を依頼しているI特許事務所から、商標登録証が送られてきました。
商標登録4660075号 竹生嶋(ちくぶしま) 指定商品区分33類 です。
じつはこの商標、ずっと埼玉県の造り酒屋さんが押さえておられ、祖父の芳太郎が登録しようとして果たせず、やむなく頭に「鳰」をつけて、「鳰竹生嶋(におのちくぶしま)」として登録したいわくつきの商標です。
地元では事実上、「ちくぶしま」と呼ばれ不自由はなかったのですが、遠方のお客様や取引先、出版関係の方は、正確を期するために「えーっと最初の文字はどう読むのですか」と気を使って問合わせいただいたり、「ワープロでは簡単に出ないので苦労しました」とか御負担をかけていました。
なにしろ「におのちくぶしま」では、発音がもたついてしまいます。ようやく商標登録でき、名実ともに「ちくぶしま」と名乗れるようになりました。
とはいうものの、「ちくしょう島」とまじめな顔でおっしゃるお客さまや、酔っ払って「ちくび島」などとのたまう方も現実においでで、専務の苦労はまだまだ続きます。
近江商人が関東や東北、北海道に進出してそこで根をおろし、造り酒屋(ほかには辛口純米酒が人気上昇中の「琵琶のさざなみ」さんもそうです)や、銀行(下北半島の先端、むつ市で信用金庫の役員をしている方にお出会いし、先祖は滋賀県人ですと自己紹介を受けびっくりしたことがあります。)商社やデパートなどを経営されている例はたくさんあります。
この埼玉の蔵元さんも出身が滋賀県で、御先祖が関東にいて故郷を想い「竹生嶋」という商標で御商売をされていたようですが、最近はあまりつかわなくなったのか、更新をされませんでした。
こういうことは、インターネットが発達したので、これまでのように特許事務所にお金を払って調査依頼しなくても簡単にできてしまいます。
御興味のある方は、特許庁ホームページ http://www.jpo.go.jp/indexj.htmからはいりこみ、資料室→特許電子図書館トップページ→商標出願・登録情報で検索することができます。お気に入りの銘柄を検索してみると、蔵の歴史やら、雑学、話のネタなどが発見できて面白いものです。
ちなみに「竹生島」と検索すると、現在この商標を持っているのは、竹生島にあるお寺、宝巌寺さんと、お灸の会社、日本セネファの2者がヒットするはずです(ちなみに島と嶋ではコンピューターは別の認識をしてしまいますので御注意ください)。
弊社の新商標も電子図書館に書きこみが終わっていれば「竹生嶋」でヒットするはずです(今確認したところ、現在メンテナンス中で12日の朝8時まで検索サービスが停止しているようです)。
こんな仕事でもしていないと、特許庁の商標登録証など目にされないでしょうから、参考までに「竹生嶋」の商標登録証の写真を、ウェブマスターの幡さんにお願いしてホームページのどこかに貼り付けてもらいました。
さてどこでしょうか。御笑覧あれ。
払暁 雷鳴と豪雨の中で朦朧。 疲れがたまっているのか、布団からなかなか出られません。 6時45分のマキノ町防災無線定時放送(毎日マキノ町の情報を大音響で茶の間に押売りしてくるニクイやつ)を聞いて、エイヤと羊水の中から飛び出しました。
午前は純米大吟醸の新酒を1.8リットルビン600本強、生酒のままビン詰め、午後と明日ですべて火入れしてしまいます。
午後は火入れを小林、早藤両君にまかせ、近江銘酒蔵元の会・純米新酒頒布会のお酒を滋賀酒販本社まで配達です。
滋賀酒販は滋賀県卸会社の雄(というかライバルのO酒販が倒産したため一人勝ち状態)で、大津市の玉野浦に本社ビルをかまえておられます。
お酒を納品後、経営相談室のS氏と意見交換。 蔵元の会は20の蔵元の寄り合い所帯、滋賀酒販さんは県下6ヶ所に支店をかまえておられ、メーカー各社、卸会社の各現場が、ひとつの目的意識ををもって、頒布会を実施する難しさを感じました。
帰りに海津大崎のお花見でご一緒した浜大津のO酒店を表敬訪問。帰途につきました。
夜9時ごろ今津までたどりつくと、積載重量40トンの大型トレーラーが自衛隊のジープの先導で移動するすぐ後ろについてしまいました。
何事かと乗っけているシートをかぶった大きな鉄の塊をまじまじ見ると、大砲がこっちを向いています。74式戦車を搬送しているところにぶつかってしまいました。
マキノ町のとなり今津から新旭町にかけては饗庭野演習場という旧陸軍から使われている演習場があり、現在、戦車の部隊と、航空自衛隊の地対空ミサイル、パトリオットのサイトがあります。地雷の処理も行なわれており、小泉総理も現場を視察においでになったことがあります。
どうやらそこで運用している74式戦車をどこかへ移動するようでした。
昔は自衛隊員のみなさんも、よくお酒をお呑みになり、今津の居酒屋さんもはやったようですが、いまではそれほどでもないようです。
たまに、北海道や九州の自衛隊の駐屯地近くの方に「竹生島」を発送してほしいという注文をいただくことがあり、自衛隊つながりで弊社のお酒も全国にひろがっているのだなと感じています。
2003年05月07日(水) |
アクセス1000突破御礼(30日目) |
本日、弊社のホームページへのアクセス数が1000を突破いたしました。
4月8日にアップ以来、ちょうど1ヶ月、おつきあいいただきました皆様には厚く御礼申し上げます。
専務の私は文章とデータを提供していくだけで、これを編集しているウエブマスターの幡さんの力によるところが多いと思っています。
ちいさい蔵ですが、地酒の蔵元ならではの酒の情報、地元の情報を発信していきたいと思います。今後ともよろしくお付き合いください。
本日は6時すぎ起床。先月末のお祭りや、町会議員選挙、ゴールデンウイークのおみやげ需要などで、在庫が3ケースになっていた金紋、本醸造のビン詰を9時より開始、これから1.8リットル瓶の出荷は目に見えて少なくなるので、最盛期の半分の量をビン詰め、11時前に終了し、午後からは小口の配達にまわりました。
連休中にある程度はけたのか、純米酒の720ml詰とか、辛口純米生原酒や吟醸生の300ml詰など特殊物の注文が多かったです(ビン詰めやらラベル張りやらこまこまと手数がかかるのですが、この御時世注文をいただけるだけありがたいと思わなければ)。
社員のみなさんには、ビン詰めの後始末の後、近江銘酒蔵元の会の頒布会の5月分のお酒の準備と、明日詰める純米大吟醸のビン詰め準備をしてもらいました。
この頒布会、20の加盟蔵元から、それぞれ純米酒、純米吟醸クラスのお酒が、つめ合わされ、価格も300ml詰1本440円程度とけっこう出血価格で提供している割に発注が少ないのです。
滋賀県の本気でやる気のある蔵が、商売気を出さず、自分の蔵の自信作をリーズナブルな価格で出しているのに総口数が県下で500セット以下(県下20の蔵元の、本年の仕込み結果が一目瞭然でわかるというこんな企画は他の県ではやっていないぞう!)
あまりにふがいない小売店さんが多く、出品している蔵元にも購入の依頼がくるという情けなさ(ちなみに弊社は10口頼みました)。
ビールや発泡酒はディスカウンターにお客をとられ、ワインは専門知識がなくてダメ、焼酎も「いいちこ」の割り当て待ちで、宮崎の有名焼酎蔵と直取引もない。 利益商品は自分の足元にある、昔からお取引している地酒蔵しかないと思うのですが。
もし地元の地酒蔵がなくなったら小売屋さんは何で商売するんでしょうか? 酒団法成立50周年記念事業とか雲をつかむようなことを言わずに もっとがんばって地酒を売ってくれい!
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