海津ほろよい日記
湖畔の酒蔵 ほろよい社長の日常

2003年06月01日(日) 栄とこ開店5周年記念 竹生嶋をかこむ会

マキノ駅前の寿司屋「栄とこ(ええとこ)」さんが開店5周年をむかえました。

その造作といい、料理といい、接客の意気のよさといい、ほがらかで愛想のよい美人な奥さんといい、マキノにはもったいないお寿司屋さんです。

地酒にこだわり、「竹生嶋」はもちろんメインに、各地の地酒数点(やみくもにあれやこれや集めないのがまたうれしい)。焼酎もレアな銘柄をいくつか、なんと月に1度は草津の「とくち酒店」(県内屈指の地酒専門店)さんまで仕入れに行くという熱心さです。

お客さんも、マキノ町内はもちろん、町外のお客さんもたくさんお見えになり、マキノに別荘をもっている方や、Iターンでマキノに家をたてた方など、結構舌の肥えたお客様もご贔屓の様子です。

ここで5周年記念イベント「竹生嶋をかこむ会」をしていただきました。
以下は当日のお酒のメニューです。

●乾杯(ソーダサイホンで炭酸をからめて、雪冷えにて)
純米大吟醸生 花嵐(兵庫山田錦) 

●冷酒
純米大吟醸生 雫 斗瓶取り 出品酒
純米大吟醸(火入)
大吟醸(火入)
純米大吟醸生 花嵐
純米吟醸生 雪花
純米吟醸生 雪花 にごり酒(ざる漉し特濃)
辛口純米生原酒
辛口純米生原酒 うすにごり

●常温
純米
辛口純米
常温熟成 吟醸原酒 忘憂 2001年
常温熟成 純米大吟醸 鬱金 1993年

●お燗 いずれもぬる燗にて
金紋 竹生嶋 本醸造
常温熟成 吟醸原酒 忘憂 2001年

これに、松花堂弁当とあたたかい椀物がついて、会費2.000円でした。
とってもお徳なのに参加が少なかったのは、何ンでだろう〜。

でも、みんなしてほとんど全部飲んでしまいました。
またやりますから、今度はぜひ、にぎにぎしく大勢様でおいでください。


























2003年05月30日(金) 取材の取材(昨日の田植え取材に思う)

いやはや大変な時代になりました。

プロがお仕事でやっているNHKの田植え取材の様子を、わたくしたちアマチュアがデジカメで取材しているのです。ホームページの普及にともない、不特定多数を相手に個人の情報提供が可能になった現実を、このなんとも皮肉な光景で実感しました。

今はまだ、デジカメの画像と文章をのせるだけがせいぜいですが、光ファイバーなどの高速通信が今後普及していけば、動画や音声なども送れるようになり、テレビでやっていることと同じことが個人で出来てしまうではありませんか。

特に自分の専攻している学問のことや仕事のこと、趣味のことなど、専門知識が必要な分野は、報道のプロがほんの数日取材して、上っ面をなぜたような原稿を読み上げるよりは、もっと正確な用語をつかって、よりわかりやすい情報提供が個人で可能になるのです。

一億総マスコミ化とはいいませんが、ゆくゆくはマクロ経済はこの経済学者のサイト、地酒ならこの小売屋さんのサイトなどと、読者の批評に耐え、信用を勝ち得たサイトが各分野で出来上がっていき、情報発信のかなりの部分が、テレビや雑誌などの既存のマスメディアからホームページに移行してしまいそうです。

でも、いつの世でも必要なのは読み手の見識であり批判力です。ホームページにせよテレビにせよ、いつも本当のことを言っているとは限らないのですから。











2003年05月29日(木) マキノ山田錦田植え(金谷キャスター奮闘す)

4時30分起床。
絵に描いたような快晴! 
田植え日和です。

朝のうちにNHK大津放送局、金谷キャスターの依頼で過去7年の記録写真のうち、ほかの田んぼとの比較できる写真、鹿の食害にやられたときの写真、みんなで一杯やっているときの写真などをインクジェットプリンターで出力(ほんとの写真のように出力できるのですが、時間がかかるのが玉にキズ)。

田植えの取材のあと、蔵内の取材もあるということなので蔵の中も掃除をしたり、きき酒の準備をしたり、あっというまに8時になり、急いで田植えの現場にむかいました。

現地には、吉原さんがすでにスタンバイ中、いつでも田植えがはじめられる状態です。そのあと平井さん親子、NHK大津放送局取材クルー4人と、京都北白川の西村酒店さんからお手伝いの香西君も到着して、9時過ぎ田植えがはじまりました(1町2反のたんぼに田植え機2台、作業人員6人というとっても贅沢な田植えです)。

NHKの金谷キャスターは、今年4月に大津放送局に入社したばかり、非常に初々しく、熱心に取材をしておられ、吉原さんの奥さんから、田植えの服装をかりて実際に田植えを体験されました(へっぴり腰が御愛嬌、6月はじめ更新予定のホームページ表紙をごらんあれ)。

田植えの模様をとった撮影クルーは昼前に吉田酒造に移動、玄関や蔵内、マイナス3度の生酒用の冷蔵庫の様子をとった後、私にインタビューです。ふだんえらそうなことをいっていますが、こういうのはまったくの苦手、思っていることの半分くらいしかしゃべれません。

3時前にすべての取材が終了、クルーは放送局にお帰りになり、4枚の田んぼ(1枚3反)もすべて無事苗が植え終わりました。

田植えを終えた田んぼを見ていると、経営者としての責任が重くのしかかってきました。この日本酒不況の時代に、こんなにたくさんの人の力を借りて収穫したお米を買わせていただき、お酒に変え、販売する。ぜいたくでありがたい話なのですが、プレッシャーもまたひとしおです。

今後ともマキノ山田錦の成長の様子、仕込みの様子は、読者の皆さんに日記や、ホームページの中でお伝えしてまいります。よろしければ今後ともよろしくお付き合いください。








2003年05月28日(水) 若鮎の木の芽炊き

若鮎が美味しい季節になりました。

今、獲れているのは小糸(網の名前)漁と、えり漁(魚の習性を利用した琵琶湖独特の漁法)によるもので、とれた鮎はすぐに漁港近くの加工工場で、水飴と醤油、酒で味付けした飴炊きや、山椒の実を加えた木の芽炊きに調理されます。

知内漁港のすぐそばにある近江屋さんは酒販店経営のかたわら、手広く琵琶湖の魚を加工しておられます。売上額からいうとお酒より、水産物加工のほうが各段に売上がよいのですが、漁師町のお酒屋さんなので、どうしてなかなかお酒もよく販売され、弊社の大得意様です(ちょっと口が悪いのが玉にキズですが)。

6月になると鮎の「すくい漁」がはじまり、とれるはしからどんどん20キロ単位で大釜で炊いていかれます。今でも4時おきでお昼までかかって加工されているのですが、これでもっと獲れるとなると、もう体力勝負の世界です。

炊いた鮎は、これまで大半が食品の卸会社に販売され、最終消費者にはあまり販売されていませんでしたが、最近は加工工場の入り口に、炊いた鮎やエビなどを山盛りにおいて、一般消費者向けの量り売り販売もされています(けっこうお得な値段です)。

お酒にかかわらず、消費するお客さんの口元に、メーカーができるだけ接近していこうとする動きがここでも顕在化しはじめています。








2003年05月27日(火) 千客万来

来客の多い午後でした

午後1時すぎ、となりのとなり町、新旭町の教育委員会、青少年課の職員さんがおみえになり、地元の特産品について小中学生向けの副読本をつくりたいので、日本酒業界の動向、郡内蔵元の販売戦略について話を聞きにこられました。

これからの若い方に、地元の産業に興味を持ってもらうことは結構なことなので、酒米のことや、各蔵の個性を出した酒造りなど、本ホームページに掲載していることなどをお話しさせていただきました。

午後2時ごろ、醸造機械や消耗品を仕入れている安土町の「東洋商会」さんが来訪、これからヒマになる方なので注文するものもなく(お金もないけど)、先方のお出入りしている蔵元さんの動向や、本年度新酒鑑評会の結果などについて情報交換(本年度滋賀県は入賞をふくめて3蔵しか入っていないのはちょっと残念です)。

安土町の周辺には、東洋商会さんのほかに、醸造用品販売の業者さんがあと3社あり、なぜこんな特殊な業種が滋賀の1地域に偏在しているのか不思議だったのですが、どうも昔、酒樽の製造、修理をこのあたりで盛んにやっていて、のれんわけやら、社員さんの独立やらで会社が増えたというのが真相らしいです。

午後3時、弊社のラベル、化粧箱を一手にひきうける大阪「太陽堂印刷」の谷本専務が来訪、在庫がなくなっていた純米酒の三角ラベルと、大吟醸のケースに貼るシールをお願いしました。

商用のあとの雑談中、太陽堂さんのお仕事になる、「土佐鶴」の吟醸酒(海洋深層水仕込み)の話になり、その斬新なボトルデザインに驚きました。大きなメーカーもがんばっておいでなのですね(詳しくは土佐鶴のホームページで)。

午後からはこうしたお客様ばかりで、お酒のお客様はほとんどおいでになりませんでした。











2003年05月26日(月) 今日は銀紋普通酒のビン詰でした

6時起床。今日は午前中、銀紋(普通酒)のビン詰です。

週末にビン詰用の待桶に移動してあった18.2%の原酒に加水して、15.5%までアルコール分を落します。

加水後撹拌し、30分放置してサンプルをとりアルコール分を確認。いくらおおざっぱな専務さんでもこれだけはキッチリやります。

実は、年に1度市販酒調査というものがあり、税務署さんがお金を出して小売屋さんで各社の代表的な商品を買い上げ、アルコール分、日付、法定表示、品質などを検査します。

酒税法により1%ごとに酒税の額が異なってきますので、特にアルコール分のチェックは厳密です。分析値と表示が違うときには蔵元さんまでおいでになって、なぜそうなったのか帳簿をチェックすることもあるので油断できません(まあ、よっぽどルーズにしないかぎりそんなことはないのですが)。

社員さんパートさんがそろった、9時からビン詰め開始です。5月も末となると、従来タイプのレギュラー清酒の出荷は減ってきますので、最盛期の20〜30%少なめでちょうどよい位。お昼までかかるビン詰も、正午まで時間を余して終了しました。

花見や観光、お祭りなど春の需要期がおわり、ゴールデンウイークが終わると、日本酒の需要も一休み、とはいうものの、今年の落ち込みは異常です。がんばって生酒を売らないと、昨年の数字をクリアできません。がんばらなければ。






2003年05月25日(日) ならべること、売るということ。

酒販店さんを訪問すると、がっかりすることがよくあります。

お掃除が行き届いていない。
商品がほこりをかぶっている。
プライスがついていない。
お酒のポップがひとつもない。
直射日光にお酒がさらされている。

数年前のビールやお酒のポスターが色あせてそのまま張ってある(田宮二郎のお酒のカラーポスターがセピア色になってそのまま張ってあるお店を私は知っています。ある意味、お宝かもしれませんが)。

猫や犬が店頭を歩き回っている(飼っている自分は気にならなくても、お客様は気にするでしょう。口に入れるものを売っているんですよ)。

前に渡した試飲サンプルが、事務所の棚にほったらかし。
雑然とした陳列で、いったいなにが売りたいのかわからない。
などなどなど。

御店主はこぼします「お酒のディスカウントが近くにできて売れへんわ」。
なるほどそうでしょう。でも、御自身とお店がかわらないと、離れていったお客様もおいでにならないのではありませんか。

国の規制によって管理されてきた酒販業界では、ひと昔前まで、どこでも似たような価格で販売していましたから、価格競争というものがほとんどなく、メーカーや問屋さんから仕入れた商品を「ならべている」だけで売れていきました。

しかし、昭和の末年より酒ディスカウンターなる業態が勢力を増し、そこに大手スーパーが参入して今や酒の定価というものはありません。

従来型の個人酒販店が価格で勝てるわけがないのです。とすれば、価格以外で勝つ工夫をするのが商売人でしょう。「ならべる店」から「売る店」へ。ビールはともかく酒やワインならDSにならんでいない商品があるでしょう。なぜ、DSと同じ商品をエネルギーを使って販売するのでしょうか。

店頭や什器は古くても、お掃除が行き届き、お客様がおいでになったら、ハッキリした声で(安手の居酒屋のようにただがなるのではなく)「いらっしゃいませ」とあいさつをする。

自分が売りたい商品には、下手な字でも手書きのPOPをつくりアピールする。

必ず試飲をして、自分が売っている商品の味は自分のことばでしゃべれる。

精米歩合、日本酒度、酸度、本醸造、純米、吟醸、大吟醸、生酒、生貯蔵など、よく使われる業界用語は必ず説明できる。

全国の地酒を何種類も扱うのなら、必ず業務店をお得意にもち、商品の円滑な回転を心がける。

商品の温度管理を厳密にする。

自分の得意先の好みを知っていて、新商品がでたとき、あそことあそこのお家ならきっと興味をもってもらえるくらいの見当がつく。

プロなんだから、これくらいは生き残りの最低条件でしょう。











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