| 2004年05月23日(日) |
めでたさも中くらいなり銀賞酒 |
きのう「能登酒まつり」の会場で、七本鎗の冨田専務より突然「吉田さんおめでとうございます。」とお祝いのことば。 残念ながら能登杜氏の品評会では入賞を逃していたので、なんでお祝いを言われるのか怪訝な顔をしていると、広島の醸造研究所の新酒鑑評会で入賞していたとのこと、例年一般公開の早朝にならないと審査結果がオープンにならなかったので油断していました(審査結果はココ)。
広島の新酒鑑評会では、予審と決審があり(最後に念審というのがありますがこれは審査結果の確認するためのものです)、予審を通過し、かつ、決審に残ったものを「金賞酒」、決審で落とされたものを入賞酒(俗に「銀賞酒」)と呼んでいます。
なんとか、ほろよいの蔵の出品酒は、かろうじて予審を通過したようです。
まあ、特別香りの出る酵母を使うわけでもなく、協会1401号のアンプル酵母を活性化して使い、山田錦は兵庫県中町の間嶋さん栽培の質のよいものを使っていますが、精米歩合は委託精米の40%、アルコール添加はしない純米大吟醸での出品ですから善戦したといってよいでしょう。
西尾杜氏も能登杜氏品評会ではふるわなかったので、このことをお知らせすると非常によろこんでおられました。
でも「銀賞」には賞状がでないんだよなあ(大阪国税局の新酒鑑評会も賞状はくれないし)形に残るものがあればいいのだけれど。
来年はもう少し欲をだしてがんばりましょうか。

↑左より、新畠(新旭町/松の花)杜氏、西尾杜氏、滋賀の地酒サポータ永野さん、小川さん、幡さん(酒まつりのきき酒コンテストで、1.8リットルびん2本をゲット!)
第100回能登杜氏自醸酒品評会と、能登酒まつり出席のため石川県珠洲市へ。
朝5時に起床。ちょっと手薄気味だった土日販売用の商品のラベルはりをすませ、9時すぎに珠洲に出発です。
途中1回昼食のための休憩を取り、午後1時過ぎに酒まつりの会場に到着しました。
ちょうど100年前、1904年といえば日露戦争開戦の年で、能登杜氏組合の歴史の重みを実感します。そのころ酒税というのは国税の中の約1/3をしめていたそうで、日露戦争の戦費も酒税によってかなりの部分がまかなわれたそうです。
さっそく割り当てられたブースでお酒のサービスの準備です。冷やすための氷の準備をしたり(お燗の準備もしていたのですが、会場は体育館で火気厳禁とのこと、残念ながら断念しました)、パンフレットを準備していると、はやくも予定の時間、わが蔵の西尾杜氏も合流され、お客様がどんどん入場してこられました。
第100回の品評会に入賞された、能登杜氏の錚々たる面々がずらりと舞台にならばれ、表彰を受けられました。
ほとんど大部分が還暦をすぎ、孫もいるような方々ですが、皆さん生き生きと、そしてかくしゃくとしておられます。楽しいことばかりだけではないでしょうが、一生をささげられる仕事をもたれ、その成果を晴れの舞台で表彰されるとは、なんと幸せなことでしょうか。
ベテランの杜氏の中にまじり、若手の大阪交野市の「利休梅」の横路杜氏、滋賀県堅田の「浪の音」の中井杜氏も入賞を果され、能登杜氏の世代交代も順調のようです。
ひしめく来賓の長々とした祝辞のあと、ようやく乾杯となり、待ちかねた一般の参加者も能登杜氏のお酒をいろいろと味わっておられました。
ほろよいはお祭り終了のあと、西尾杜氏と飲みなおし、いつものように大酒を飲んで長い1日が終わりました。

↑黄色地に赤のハデハデの看板と、軒下に山積みの缶ビールケースは、まぎれもなく酒激安店
ほろよいの取引先の中でも5本の指にはいる得意先が「酒激安」店に業態変換されました。マキノ町内では最初の、今津小売酒販組合のエリアでは7軒目の酒DSです。
先日来お話している酒販業界の厳しい状況の中、マキノでトップの酒専業店として思い切った舵取りをされました。
酒DSグループとして国内に1000余店を擁する、KLCグループ(HPはココ)に加盟されたのですが、その営業方針はガチンコのDSです。
興味のある方はKLCグループの加盟店向け情報誌をごらんください(ココとココとココとココ)
要約すると以下のようになるでしょうか。
�,泙左把衄颪魘妨造泙悩錣襦平佑聾曚錣魂搬欧捻超函⊆�販機や冷蔵庫などはできるだけ置かない、配達もできるだけなくすようにする)。
�△修慮把衄颪鮠紊泙訌突�益が得られるための価格設定を行なう。特に発泡酒やビールなどは大型DSと同程度かそれ以下の価格で売らなければ、お客様の来店さえおぼつかない。
�M菘垢気譴燭�客様には、バラ売りとケース売りの価格を変え、できるだけケースで購入してもらうように誘導する。
�て辰剖般嚇后糞鐚魏阿気鵑筺▲好淵奪�など)需要を重視し、それむけの品揃え(ウイスキー、ブランデーなど)を充実させる。ビールや発泡酒のケース買いからはじまった関係は、粗利益の高い商品の購入にもつながる。
KLCグループは、大型酒DSができて疲弊した周辺の家族営業の酒販店さんをまきこんで大きくなった組織ですから、大型DSキラーとしての販売戦略がハッキリしています。
特にビールと発泡酒は客寄せで、利益がでる商品として考えていない割り切りは、ビールでもある程度の利益を出したい一般酒販店としては脅威です。
いかに自由競争の世の中とはいえ、酒を生業としているのは大型DSだけでも、KLCグループのDSだけでもないのですから、まわりの酒販店がどうやっても実現できない価格で市場を席巻する販売の仕方には問題がのこるところです。
とはいえ、先代のお父様の時代から取引していただいている、大事なお得意様の転進です。周辺の酒販店さんには動揺がはしっていますが、なんとか摩擦をおこさずに経営を続けられることを祈っています。
| 2004年05月20日(木) |
メリットのない小売酒販組合 |
連日むつかしい話がつづきますが御容赦ください。
酒屋さんはほとんどが「小売酒販組合」という官製組合の組合員です。ほろよいの地区も「今津小売酒販組合」という組合があります。
この組合は「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律」(長ったらしいので「酒団法」とよばれています)で規定されていて。その目的は第1条にあるように「酒税の確保と、酒類の取引の安定」です。
この目的のために第84条に定める酒税保全措置をとることができ、昔は横紙やぶりな酒販店さんがおおっぴらに安売りすると、税務署から指導や勧告が行なわれました。
これがあったおかげで、酒販店さんは価格競争のほとんどない環境で商売ができ利益があげられました。組合費をはらってでも、小売酒販組合の組合員でいるメリットがあったわけです。
今は独禁法とのかかわりで、酒の不当廉売の取締まりははもっぱら公正取引委員会によって行なわれ、酒団法による安売りの規制はまったく行なわれなくなっています(酒税の確保が本来の目的なのですから、メーカーから出荷した時点でしっかりとお酒の課税数量を把握し徴税すればいいわけで、昨今は川下で幾らで売られようとあんまり関心がないようにも思えます)。
先日からお話しているような、お酒の不当(あるいはそれに近い)廉売の横行、小売酒販免許の自由化がすすみ、酒販店さんの経営がきわめて悪化しているのですが、小売組合がそれに対して有効な手を打てないために、組合ばなれが加速しています。
さて酒の専業店はどんな状態かといいますと、これは第2種兼業酒販店とは比べ物にならない位疲弊しています。
ほろよいのあたりでは、一番売れているのがビールと発泡酒、次が日本酒、3番目がウイスキーやらブランデーやら焼酎などの蒸留酒です。
すでにビールはDSがとんでもなく安い値段で販売しておられます。はっきりいって普通の小売屋さんが問屋さんから仕入れる値段と同等か、それを割り込む価格で販売しておられる例もたくさんあり、公正取引委員会から不当廉売として警告を受けた例も過去にあります(ココとココ)。
いかにDSが大量仕入れで仕入価格を下げているとはいえ、そんな値段でまっとうな利益を出しているわけがありません。赤字覚悟か微々たる儲けしかはずです。
ビールと発泡酒は客寄せで、ついでに高利益商品も買ってもらえればなんとか採算がとれるとDSはお考えのようですが、一般の酒専業店はこれではたまりません。
特に夏季には売上の7割以上をしめるビール、発泡酒をDSと同じ値段で販売すれば利益を生み出さないのですから。
日本酒も、灘、伏見の大手酒造メーカーのお酒(パック酒を中心に)はDSで目玉商品となり、同じ商品を一般の酒販店さんが並べても売れるはずがありません。
一般の酒販店さんにとって、辛うじて残った利益商品が値崩れのない地酒ですが、都市部における地酒専門店など特殊な例をのぞき、郡部ではそれだけを販売していても、店舗を維持できるほど売上が上がるわけがありません。
さらに酒販業界における規制緩和(距離基準、人口基準の撤廃による小売酒販免許の自由化)が過当競争に拍車をかけています。
TKCに加盟する税理士事務所で会計を委託している酒小売店(DSも含む)の平均的な経営状態は、売上が2億4千万強、平均従業員者6人強で、黒字企業が27.1%というありさまです。
これは、会計を税理士事務所に委託できるかなり大きな酒販店さんばかりの平均で、ほろよいのいるエリアにはこんな規模の酒販店さんはありません。大きくても売上1億から2億程度で、経営状態もこのデータより悪いと想像されます。
かくして、酒専業店の廃業、破産、夜逃げ(自殺者も数人ではききません)が全国で続出するわけです(大阪酒販情報サービスHP「街並から酒屋さんが消える」を御参照)。
滋賀県でも昨年末、大津市内で指折りの酒専業店2店が店舗を閉じられ、県酒販業界に大きな衝撃が走りました。
利益をあげられる商品がほとんどなくなり、過当な競争を強いられている現在、酒販店さんの努力不足や不勉強ばかりを責められない状況になっているのです。
御察しの通り「酒を販売して得る収入」より「その他の仕事によって得る収入」のほうが多い酒販店のことをさし、ほろよいの造語です。
この辺ではけっこうこの手のお酒屋さんが多く、食料品や薬の販売、佃煮工場や学習塾の経営、電気屋さんの営業やら、大百姓やら、変り種ではソシアルダンスのレッスンプロなんて方もおられます。
昔のように1級酒、2級酒の一升瓶と瓶ビールと焼酎さえ販売していればよかった時代なら、商品知識はなくてもOKで、販売と代金回収さえしっかりやっておれば、これでけっこうやっていけました。
酒DSが跳梁跋扈し、価格競争が激しくなってきた現在、どこもお酒の売上が低迷しているはずなのですが、酒以外の収入がそこそこあって食っていけるものだから、自己改革できないお店がほとんどです。
人間食っていけなくなるとド真剣になりますが、中途半端に収入があるものだから、いつまでたってもお酒の販売に熱がこもりません。困ったものです。
とんでもないことをある人から知らされました。
詳しいことはもうしばらくしないと話せませんが、このささやかな田舎の市場に大激震が走ることでしょう。
いつかこんな日が来るとは思っていましたが、こんな形で現実化しようとは思いませんでした。そして、具体的な対応を何にも考えていなかったことに今さらながらですが呆れています。
ショックです。そして残念です。
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