オミズの花道
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『男が外で飲む理由』
2003年02月20日(木)
重役様が来てくれた。
死ぬほど嬉しかった。
実は今年の初めから重役様は部署が変わり、
殆ど転勤のような状況なので、もう会えないかと思っていたのだ。
部下も70人に増え、環境も会社のシステムも変わり、それだけ重責を担う彼は、
『なおちゃん、ごめん。ひょっとしたらもう行けないかも知れない。』
そう年末に私に告げていた。
月に4回は確実に同伴してくれる相手。
落とす金も半端ではなく。
・・・・正直言ってこの人を失うのは痛いなと思った。
だけど、しょうがない。
今は本当にそういう時代なのだ。
物事が簡略化されるというのは合理的なようで活発さを失う。
私達が恩恵に預かるのはその活発の部分であるから、しわ寄せの部分は必ず来る。
こんな話は珍しくもない。
不景気の中で聞き飽きた話。
余りにありきたりでこちらもいい加減ウンザリする。
政治がどうだと言う気は無いが怒りさえ沸いて来る。
・・・・だけど今、本当に辛いのはお客様の方なのだ。
この時代、働く我々も辛いが来店してくださるお客様の方が、
もっともっと大変な思いをしている。
私は生きていくのが精一杯であるのに、この人達は遊ぶ金をも捻り出すのだ。
自分が外でこれだけの遊びを出来る甲斐性があるか、彼等を見て時々思う。
女性という立場ではなく、自分が男性であったとしても、だ。
・・・・答えはいつもNOで。
男は色に弱い、女に弱い、口説きたいから、
本当にただ『それだけ』で彼等はお金を落とすのだろうか?
何年もここに居て見ているが、私はキッパリとそれは違うと言い切れる。
男性自身が自分達さえ気づいていない、
或いは認めたくない気持ちが、ここには確実に存在するのだ。
・・・・それが本当に『男が外で飲む理由』なのである。
女にお願いされるほど不自由の無い男でも、大枚はたいて酒を飲む。
それが何よりの証拠ではないか・・・・。
だがその度に、
私は自分にそれだけの金を落とさせる値打ちがあるのかどうか不安に陥る。
色なら簡単。
美なら簡単。
そんなどうにでもなるものではなくて、
その本質を見極める事が大切なのだとしみじみ思う。
自分がそのラインから逸れていないか常に自戒する事も決して忘れたくない。
重役様は恐らく当分・・・・いや、ひょっとしたらもう来れないかも知れない。
弁えて下さる方だから、邪魔になってはと電話も滅多になさらないだろう。
それでも、
彼は私の大切なお客様だ。
そして、
昨日からが本当の始まり。
これからも昨日のようにふと訪れ、我儘を言い、私に甘えるだろう。
こうやってまた少し色が抜けていく。
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