オミズの花道
old day    days list    new day

『 狙われるのは弱った獲物 』
2003年10月09日(木)


最近どうにも調子が悪い。
体調もあるのだが、ペース的にも空回りでちょっと困ったもんだと思う。
こういう時には気を付けねばならない。
何にかと言うと、自分に隙が出来るので危ない目に遭いやすいのだ。


昨日帰りがけにちょっと変な事があった。
サラリーマン風の男がじっとこっちを見ていたのだが、その視線がエロとかではなく、少し異常な空気を醸し出していた。

一度通り魔と、手ひどいストーカーに遭った私には、その手の視線がどういった類のものであるか良く解る。
解るだけにまだ対処のしようもあり、それで何度か難を逃れてきたのだが、それでもやはりその度に手こずる事は手こずるのだった。


昨日は変則的にルートを変え、その男をまいた。
が、まいたと思ったのに、異様な雰囲気を感じて振り返ってみると、すぐ真後ろにそいつが立っていた。
ぞっとして飛びのき、身構えると男は我に返ったように、瞳に理性の欠片を覗かせる。
その隙をつき、またもとの異様な瞳に戻る前に畳み掛ける。ついて来るんじゃねえ、と。

男は何事も無かったように遠のく。その顔には薄ら笑いさえあるのだが、目だけは張り付いたように動かない。あの目だ。まだ遠巻きにこちらとの距離を計り、歩いている。
いざとなればその辺りに居る屈強な男性に助けを求めよう、そして実際に男性に近寄ったりして、そうするぞというデモンストレーションをすると、やっと諦めたように男は視界から居なくなる。


『う〜ん、思ったよりも私は疲れているのかも知れないな。』
一通り気持ちの整理をつけ、私も我に返るとそう思った。
・・・・油断しちゃいけない。どんなに疲れていても。

この手の輩は、まるで野性の世界におけるハイエナのごとく、弱っている獲物の匂いに敏感だ。
今の私のように、体力的、精神的に疲れた人間の匂いに、恐ろしく敏感なのである。


こういった憂き目に遭うのは何も『見た目が挑発的』だとか、『華奢でか弱そうだから』とか、『美しい外見だから』とかそういった具体的な要素には何も関係が無い。

危ない目に遭う理由はただひとつ。 弱っている、それだけなのだ。


あの目・・・・本当にぞっとする。
何故にああも時間が止まったような、この世を生きている人間とは異なる黒塗りの目を、呼吸し鼓動している『者』が持っているのだろう。

あの目を何かに例えるなら、鮫の目に似ている。
銛で突かれて血まみれになって、痛みにのた打ち回ろうとも、餌にありつき歓喜していようとも、何があっても動かない、時間の止まった黒くて冷たくて沈む、あの目。

何の感情も読み取れない、また何の意も出ていない、黒塗りの、どこまでも無なあの容。
そういう眼を持つ者が存在する事こそ、私にとっては一番の恐怖だ。


彼等の願望は何なのだろう?

今、仕事でこの手のことを扱っているから尚更考えてしまうのだが、どうにも男性独特のあの目の意味が、理解しようとすればするほど、探ろうとすればするほど嫌悪感でいっぱいになり、今の弱った私にはその壁を越える事が出来ない。
突き詰めて考えようとすると、気持ちが妙にシンクロしてしまって、湧き上がってくる自分の中の黒いものが暴れだすのだ。
自分が自分でなくなりそうな瞬間。それが怖くて私は未だに『それ』を掴み取れないでいる。


男性独特と言い切っていいのだろうか。乱暴だろうか。
・・・・だが、少なくとも女性には『それ』を感じた事が無い。
どんなに感情の死んだ、もしくは薬でぶっ飛んだ、精神を病み時間の止まっている人でも、あの目をしている女性を私は見た事が無いのだ。

ジェンダー論者をも敵に回してしまうかも知れないが、女子刑務所の比較にならないくらい、男子刑務所(言語が探せないくらい刑務所=男子なのだけれども)が多い事を思うと、彼等男性はやはり女性よりずっと凶暴なのであろう。
体格の差や力の差ではない。例えば女性に性質として男性と同じくらい凶暴性があれば、力技ではない別の形の犯罪に女性は手を染め、前述のような施設が同じ比率で存在する筈だ。

そうやって考えていくと、彼等の目的が純粋な『破壊』であることに気付く。
性への欲望とか、物への欲望とかではなく、破壊そのものの行為で自分の中の何かを満たそうとするのだろう。
だがそれも最終的な答えではなく、一部にしか過ぎない。
いや、ひょっとしたら彼等自身さえ、最初から答えなど持っていないのかも知れない。


幼児が事故に遭う比率は、女子が1とすれば男子は5なのだという。
男児女児双方を持つ母親は、殆どの方が『女の子は男の子より大人しいし、危ない遊びをしない。』と言われるし、また『オモチャでも男の子はやはり「あそぶ」と云うより「壊す」のが好き。』だとも言われる。

染色体異常47XXY事件、の濡れ衣に近い推測ではあるけれど、人格が出来上がる前の段階ですでに、こういった要素が土台として存在するならば、これはもう遺伝子レベルの話であって、女性として産まれた私には男性の持つ闇の部分など太刀打ち出来ようの無い話なのだ。

男が女の本質を書けないのと同じく、女もまた男のこの部分が解らない限り、男性の本質など描けないのではないだろうか。
北野武監督の初期の頃の映画は、そういった意味で『男性の持つ、形の無いもの』を表しているように思うが、やはり私には自分の心の中の何かを削がれるようで、馴染むことが出来ないのだ。


こんな事を繰り返していたら、そのうち本当に頭がおかしくなってしまうかも知れない。
物覚えが悪いぞ、と嘆いている今の段階のような平和な世界ではなく、共鳴を起こし出すと歯止めが利かなくなってしまって、私もあんな目を持つ異形の輩に成り下がるかも知れない。


少し、のんびりした物を書きたいと思う。
心が疲れている時には特に。
リスクの大きい仕事は本当に疲れる。
なぜにこうまで追い込まれなければならないのか。


男の本質など、私には解らない。








日記才人投票ボタン






↑エンピツ投票ボタン

My追加



↑人気サイトランキング

写真日記はこちらに移動しました。
今まで利用させて戴いておりましたヤプースの方が少し安定が悪いようです。
ヤプースさん、頑張って下さいましね。
old day    days list    new day

mail    home    photodiary







Design by shie*DeliEro
Photo by*Cinnamon


88652+