オミズの花道
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『 君ならで 誰にか見せん 梅の花 』
2004年01月30日(金)


水曜日のお話。

お店の時間には間に合わなかったのだが、真田さんと帰りがけにお茶を飲んだ。
神戸からの帰りで、今夜は大阪に泊まるという。


お互い顔だけでも見たいねという意見の合致で、御堂筋沿いの24時間開いている珈琲館で待ち合わせた。少しだけではなくて色々な事を話す。
同じような空気を持つこの人とは、疲れている時のタイミングまで同じらしい。だけどやはり話は尽きなくて、何時間も話し込んでしまった。


私の主観だが、男という生き物は残酷なくらい明暗の分かれる生き物だ。
社会的地位において、将来ある程度のスタンスを築く人間と、築けない人間とは、この年齢の段階ですでにもう決まっているのかも知れない。(勿論女性もそうなのだが)

『この人は40代、50代、になった時に、相当いい男になるだろうな。』

目の前に居る彼を見てふとそんな風に、見えぬはずの未来の姿を考えてしまう。
そして私は、その姿を見ることがあるのだろうか。・・・・ふとそんな風にも思ってしまう。


一通り話し込んで、そろそろ帰ろうかと店を出る。
回り道をして裏に回り、真夜中のお初天神を抜けた。

格子の向こうに少しだけ朱の灯りがぽうっと浮かぶ境内。
風までもが遮られたように、時の止まったような空間。


『この身が梅の花にでもなれば、時を越えてこの人を見守る事が出来るだろう。

 私が人としての存在でなければ、
 この人と流れることも、別れることも、離れることも無いのだ。』

時の止まったような空気に押され、そんな埒も明かぬ絵空事を考えたりする。


『天神さんだから、梅の季節は綺麗でしょうね。』
絵空事を振り切るように、私は呟く。

『うん。また一緒に夜中の梅を見に来よう。』
彼はそっと私の手を握り、温めるように包み込む。




繋いだ掌の温かさが、二人とも俗世の者である事を知らしめる。


何故かそれが、
とても悲しい。








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