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○オチ。 - 2002年03月04日(月) 私は海の近くの合宿所にいた。 夜明け前の薄暗い玄関で、靴の紐を結んでいるとマリチャンが早朝のジョギングから帰ってきた。 「今日は多いですよ。だから、私、途中で帰ってきました。・・・行くんですか?」 「うん。靴、はいちゃったし」 彼女は一瞬だけ不安そうな顔をしたが、私の性格が分かっているらしく、それ以上は何も言わず、さっさと部屋に戻ってしまった。 外に出ると、辺りはまだまだ暗く、道路脇に転がっているモノが幸いにも、よく見えない。見えないが、腐敗臭が鼻をつく。 海沿いのその道の左側のすぐ下は砂浜で、右側は山肌がえぐられたような地形になっている。道の両側には点々と、または重なるようにして、転がっているモノがある。 死体である。 その幾つかは回収するためにビニール袋に包まれ、回収車が来るのを待っている。 死因は溺死。 ここは死体が流れ着く場所なのである。 私は、見慣れたソレをなるべく見ないようにして、走り出した。 時折、ランニングを着た男が私が走ってくるのに気がついて、近寄ってくる。 何かブツブツと呟いている。 道端にしゃがみこんで動かない男もいる。 私はそれらを一切、無視し、時には睨みつけ、走り続けた。 彼らの言う事に耳を貸してはいけない。 内心の怯えを悟られてはいけない。 彼らはすでに死んでいる。 分かっていたことだったが、今日は確かに量が多い。 ウザイ奴らの数も増えてきた。 最初は、せっかく走り出したのだからとコースを一周するつもりだったが、見渡すと、彼らに引き込まれてしまった人もいて、「これは本当にヤバイ」と思うようになった。 すると、コースの中ほどにいつも立っている警備員たちが現われた。 私は「ここは本当に危ないから、今日は帰った方がいい」と言うと、有無を言わさず、彼らの車を発進させた。 途中、引きこまれてしまいそうになっている人を拾いながら。 しかし、中には文句を言う人もいて、なかなか車に乗ろうとしない。 私は内心、本当に焦っていたので、こんな奴と一緒にいたくないと、途中で下車することにした。 コースの折り返し辺りには公衆便所があり、私はそこでマイクロバスに乗り換えた。 それでも、文句を言っていたオジさんに対する私の怒りは収まらず、ブツブツと文句を言っていると近くに座っていたおばあさんが私に言う。 「あっちにいると成仏できないから、これでいいんよ」 そこで、はたと気がついた。 ああ。 私、死んでたんだ。 昨日、見た夢。 ・・・・なんか溜まってるんでしょーか?私。 ...
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