えびたま

2002年08月01日(木) 「神様のボート」を読む

江國香織の。
文庫が出て、買おうかどうか迷ってたはずなのに
いつの間にか買ってしまっていたこの本。

「旅がらす」と称して、ある男の人を待ちながら
各地を転々とする母子のお話。
探すんじゃなく、待ってるんです。
なんて話だ!と、まずあきれました。
母の主観と娘の主観で、交互に描かれる日常。
娘がどんどん成長して、
その主観で娘の雰囲気がかわっていくのがわかるんです。
大きくなるにつれてシンプルになるのが
なんかわかる気がして面白い。
二人が待つ男の人は母の恋人であり娘の父親で
二人の会話の中や、母の思い出の中だけで語られるので
ものすごく現実感のないひと。
絶対存在しないんじゃないかと思いつつ読んでました。
誰かが存在するから幸せっていうのと
誰かがほんとは存在しないんじゃないかっていう不安が
両方思い当たって、かなしくなってしまう。
ラストは書きませんが、やっぱり
なんて話だ!
ある意味こわかった。
後書きで、「わたしの作品の中で最も危険」
だそうです。


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