ある中華屋の主人が言った。 「客入りが悪くて嫌になるぜ。ほんとに小泉は何をしてるのかね」 変色し破れたメニューが壁に張ってある店の客席カウンターに彼は座っていた。 店の客は彼の近所友達がただ1人居るだけだった。 その友達はテレビ見ながら主人の言葉に頷いた。
店の外は快晴で人通りも多かった。 主人は何度も中を覗きながら通行する人と目が合った。 一旦店先で立ち止まってから通り過ぎる人も何人かいた。 しかしそれにしてもいい天気だった。 店の裏口にいた雑種の黒い犬もぐったりしていた。 テレビはイチローの活躍を伝えていた。
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