ぼんのう
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2001年10月23日(火) 面白い小説家

最近杉浦日向子女史や石川英輔氏の江戸時代雑学本を楽しく読んでいる。
食うことに関して少し貪欲であることを意識している我輩にとって、
前者著「大江戸美味草紙」(新潮文庫)は、空腹時には読むべき本ではないと
考えている。
実際、江戸時代の人たちは、貧しいながらも美味しいものを食べていたらしい。
とりわけ屋台文化は、現在とは考えられないくらいに発達していた。
時代劇によく登場する夜鳴き蕎麦、天麩羅屋の屋台は非常にポピュラーで、
高級料理と呼ばれるには程遠いものであったらしい。
江戸前寿司も屋台で食べていたものであったし、ところてんや菓子類も屋台で
食べることができたものだった。
今このような文化を日本において探すことは難しい。
福岡にある屋台村は今では単なる観光スポットとして、ただ高いだけの場所
になってしまっている。
お隣韓国や台湾ではまだ健在、手早く美味しいものを安く供してくれる
本当の意味での屋台とたくさん出会える。

ああ、うらやましい。
食べることは、生きる上での基本であり、活力である。
少し小腹が空いたら、安く栄養のあるもので補うのが一番良い。

後者の作家(「雑学江戸庶民事情」講談社)、
これも江戸時代の風物や生活の仕方などが詳しく描かれており、
知識欲を満たすのにこれまた大変楽しい本を出してくるのだが…なんかこの人、
現代の技術に追いつけないことから、江戸時代はよかったよかったと盛んに
書いている。
江戸時代は地球環境にやさしかった。
江戸時代は皆のんびりしていた。
江戸時代の方が人間的な生き方として正しかった。

はいはい。
その人その人の考えや思想に関して、我輩は特に言うことはなりけど、
この作家さん、それならばその思想に従って、江戸時代と同じように
生活できるのか?…と問えば、絶対できないであろう。
確かに枝葉末節において比較をすれば、優れているところもあるだろうけど、
根本においてその生活を送るとなれば、まずスーパーまで買い物に行くことを
止めなければいけないし、テレビもラジオもすべて捨て、ワープロ(本文
読む限りまず使っていない)もペンも全部捨てて、筆と和紙で文を書かなければ
ならない(担当の編集者、泣くだろうなあ…)、病気になっても病院ではなく
鍼灸や漢方薬だけで治さなければならない、夜明けと共に置き、日が沈むと
同時に寝るという生活をしなければならない、服も全部古着にしなければ
ならない、それ以前に4畳半一間の長屋に住んで、毎日の水は水道井戸から
くみ上げ、トイレは半分外から丸見えの厠ですまさなければならない…

もしかして、石川さん、現代の技術にコンプレックスをお持ちなのでは?
だから現代社会に対して、意味のない怒りを覚えているのでは??
いや、そんなことは…ないですよね…^^;)

いずれにしましても、この二作家の本、大変面白いので、お勧めします。


ANDY 山本 |HomePage

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