ぼんのう
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「あのすんません。ドンキホーテへはどういったら良いでしょうか?」
五日市街道で、背中に龍の刺繍が織られたジャンパーを着、少し尖った変形サングラスをかけ、中学までシンナーをしていたであろう、歯が抜けかかっている、どーみても人生斜めまくりの若者が、その容貌から思えない位丁寧な言葉遣いで我輩に尋ねてきた。 正月で、近くの武蔵野八幡宮参拝行き帰りの人がたくさんいるのに、その若者の周辺には普通の善男善女がいるというのに、 なぜ我輩にわざわざ尋ねる?
「五日市街道ではなく、井の頭通りの方に一度出まして、新宿方面に向ってください。環八に入る前に右側にありますので。」 「ああ、どうもすいません。ありがとうございます。」
礼儀正しくお辞儀をしたその若者は、改造しまくりーのの車に乗って、爆音をたてて行った。その後、ふと気がつく。 我輩の周囲5メートルに人が近寄っていないのだが…
別の用事があって、西永福に行く。 方南通りの信号で待っていると。
「すみません。ドンキホーテはこちらでよろしいでしょうか?」
きっちりパンチパーマに口ひげをたくわえ、黒づくめの服にサングラス、よく見れば両手の小指の先がないミスターヤクザが丁寧に尋ねてきた。
「ああ、ここから遠いですが、あそこの井の頭通りを右に曲がって、環八を過ぎたところの左に見えますよ」 「ああ、ありがとうございます。」 「いえいえ、お気をつけて。」
お辞儀をして、停めてあった白のベンツに乗り、そのまま言われた通りに行ってしまう。 …一瞬、周囲半径10メートルに人が寄り付かなくなる。 というか、ミスターヤクザ、何故我輩に尋ねる? 他にいるのに、何故? 同じニオイが我輩から出ていたのか? おおい?
…もしかして、普段通りの調子で教えたから、同類と思われた? ううううう…。それなら仕方がないなあ…。シクシクシク…。
夜、帰宅。 テレビをつけると、「どっちの料理ショー」でお好み焼き対もんじゃ焼きの特番。 お好み焼きの名店の紹介…「どんきほう亭」。
なんかドンキホーテに呪われているのか?
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