桃子の誕生日プレゼントを買いに、 寺島と一緒に街に出た。 寺島は大学に用事があったり、服を買ったりしたかったらしいので、 本当はプレゼントが「ついで」だったようだ。
プレゼントに出資するとか、俺が選ぶとか、 そういうセリフにいちいち傷ついていると疲れるので、 自然と受け取ったり、受け流したり。
結局は寺島の言うデザイン以外、 いまいちピンとくるものがなかったので、それに決定。 寺島がいなかったら決めきれなかっただろう私だから、 ちゃんと、お礼は言った。
でも、そこで押し殺したちょっとの悔しさとか。 1日分の悲しさとか。 無力さとか。 帰ってきてから寺島にぶつけて、意地悪したら、 ちょっとぶっきらぼうに謝られた。
確かにそういう言葉が欲しかったはずなのに。 いざもらうと、申し訳なかった。
彼女でもないのに言わせてしまった。 そんな気持ちだけが残った。
ごめんなさい。 そう言ってみるけど、本当の意味まで伝わるわけがなくて。 あたしはきっと。 その場しのぎでいいから、あたしへの言葉が欲しかった。
まだまだ、ね。
たくさんキスをしてもらって。 そんなに悪い日じゃなかったのに。 1人で帰る道は涙が止まらなくって。
チョコをあげたけど。 それで寺島が救われたりとか、ないんだろうなって。 ましてや癒せてなんか。ないんだろうって。 あたしばっかり満たしてもらって。 寺島の何かになんて、なれてなくって。
だから寺島は桃子の話をするんだし。 寂しいんだろうし。 満たされないんだろう。
もうどんどん。 あたしの意味がなくなってく。 止められないのかもしれない。
それはあたしにとっての小さな救い。 チョコの好きな、寺島だから。
|