最近読んだ野球本2冊のご紹介。
「ストライクゾーン」ジム バウトン、エリオット アジノフ著、村上 博基訳(文芸春秋社)
のっぴきならない理由で、カブスの優勝決定戦であり、自身の引退試合でもあるゲームに八百長を仕組まなければならなくなったアンパイアと、そんなことは全く知らない、その試合がメジャー初登板、いままで全く冴えない野球人生を送ってきたピッチャー。この2人が主人公。1回から9回までの試合展開と共に、彼らのこれまでの人生への回想が描かれている。 まるで球場でその試合を見ているような気分にさせられ、最後は「いったいこの展開でどうするの!!!?」と思わせて、「は〜そうきたか」と。この緊張と弛緩がたまりません(笑)。 訳者のあとがきが、また痛快。やっかましい野球中継と鳴り物の応援がキライな私には「ふむふむ」とうなずける内容でした。
「小さな村の分校野球部 −村びとがささえた日高中津分校の大きな夢」 永谷 脩著(二見書房)
廃校の危機にある分校を存続させるために、野球部を作って生徒を集めよう…。最初はたった5人の部員からスタートして、甲子園に出場するまでに成長していく分校の野球部のドキュメント。やっぱり高校野球っていうのは、好きな言葉じゃないけど「教育の一環」であり「人を育てる」ことなんだよなぁと実感させられました。グラウンド作りから始まって、人集め、分校の生徒だというコンプレックスとの闘い、公式戦の初勝利、そして甲子園出場。それらをささえた村びとが大勢応援にかけつけた甲子園の場面はなんだかじーんとさせられます。 …この野球部から巣立った初めてのプロ野球選手が、ライオンズを経て現在マリーンズにいる垣内選手です。
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