想
目次|過去|未来
実のところ、 忘れたいと思っているんだろうか。 それとも、忘れたくないと思っているんだろうか。
時々、想う。 一部始終を忘れてしまえたら。 それは凄くラクな在り方に思える。 同時に、凄く寂しい在り方にも思える。
たとえば、理想郷と同じこと。 もしもどこかに理想郷があったとして、自分はそれに気付くだろうか。 常に存在する幸福。先には幸福しかない。 悩みも苦痛も、ない。空腹も〆切もない。嫌なことは何ひとつない。 記憶の一部は確実に抹消だ。 そんなところにある幸福を、自分は幸福と認識できるだろうか。 今と同じように、日々の「しあわせ」を感じられるだろうか。
*** それにしても、ユートピアという概念は、謎だ。 そこには、自分以外にも人が暮らしているのだろう。 人々の求めるものは、統一的なユートピアなのだろうか。 やはり、どう考えても謎だ。むしろ徒の夢か・・・理想か。
本当は苦痛である筈のものを、そう感じないだけだったら、嫌だなぁ。 ***
忘れられないとわかっているから忘れたいと思っているだけなら、 それは自分や周囲に対する甘えでしかない。今は多分、甘えている。 いざ、本当に忘れてしまうとなったら、忘れたくないと思えるだろうか。
忘れたい記憶だけを忘れたとして、人はどう変わっていくんだろう。
忘れられなくてもいい、せめてもう少し離れられたら。 もう少し、自分を振り回さずにいられたら。
|