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2002年07月23日(火)  鳥

午前4時半。
ここは、日本の、とある地方の、とあるアパート。

新聞配達がちょうど20分前にやってきた。
朝早くからご苦労なことだ、と感心する。
だが、毎朝毎朝ノー・リアクションな新聞受けが相手では
単調な仕事になり過ぎるかもしれない。
たまには気分転換もいいだろう、と、
突っ込まれた矢先に新聞を内側から引き抜いてみた。
自分が配達夫だったら、こんな家には明日から新聞届けるの嫌になるかもなぁ。


10分ほど前から、外でムクドリが啼きっぱなしだ。
面倒なので立ち上がることはしないが、
いま窓から空を見上げれば、空一面が黒くなっているはずだ。鳥で。
この時期、この地域一帯は、ムクドリの大群の通り道になるらしい。
数えたことはないが、何万羽もいるのだろう。
とにかく、半端でない啼き声と、
これも冗談でなく、半端でない「ムクドリ臭」に包まれる。臭い。鳥臭い。

アルフレッド・ヒッチコックの映画を思い出す。
確か、『鳥』というタイトルの。
その映画をテレビで観たのはまだ幼い頃だったので、
ストーリーは記憶の中で曖昧になってしまったが、
恐ろしい印象は残っている。押し寄せる鳥、鳥、鳥。



数日後の出発のための準備が、まだ終わらない。
そろそろ面倒になってきた。
せめて、天気が良くなればいい。


真 |MAIL