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2000年11月09日(木) 三島由紀夫

三島由紀夫の単行本が本屋に平積みにされていたので立ち読みする。
「憂国」というのを読む。
2/26事件の時、決起部隊に入れなかった陸軍中尉だったか・・。夫婦で国を憂いて心中するという話。
自分は三島文学などというものを知らないし、本人が世に言われる「国を憂いて割腹自殺するような国粋主義者」だったのかも解らない。
ある作家や作品に傾倒出来るのは10代後半がピークであって、それを遥かに過ぎるとどんな「名作」だろうが心に響く事はなくなる。
「憂国」はいかにも商業作品という印象で、別段国を憂いて書いたという印象はない。むしろ、全共闘時代に東大で公演した記録集のようなものの方が、世に言う「三島由紀夫」のイメージがある。

1960年代から1970年代。
皇太子世代からするとTVから盛んにデモやら火炎壜を投げるシーンが流れてきたという記憶しかない。
なんであんな騒乱ざたをマスコミは好意的に扱ったのか、子供ながらに不思議に思っていた。
あれはやっぱり「革命ごっこ」だったのだろう。
ゲバ棒振り回していた学生もちゃんと就職出来たんだから、ある意味「おめでたい時代」だったのだ。
重信房子が「英雄」で麻原彰晃が「悪魔」と扱う世間の基準もまた所詮、「おめでたい」団塊の世代の欺瞞そのものだ。
若い頃、盛んに変革を叫んでいた連中が、社会の主導権を得る地位に付いた途端に、手の平を返すがごとく、変革をもたらす者を断罪する。
欺瞞もここまでくると滑稽ですらある。
「革命ごっこ」はよいが本物の「革命」は困る・・か?
今の若い者はまともに就職すらまま成らぬというのに。
本物の「革命」とやらが来るとしたらこれからかもしれぬな。


絶望皇太子