雨 - 2001年07月12日(木) つい数分前まで、あたりは、ただただ蒸し暑い熱気と、濃い湿気の匂いで充満して いた。 遠くから低く響く雷音。暗い夜空の、厚い雲の向こうから滲んできた白い閃光はどんどん近くにきているようで、次第に光の量が増えてきていた。光と音の感覚が狭くなっていく。 不意に、湿気の匂いが消えた。潮を含んだ、風がはじめはささやかに、次第に強く吹いてくる。どこかそれは磯臭い。 裏の森の木々が騒ぎ始め、それが耳を打つほど強くなったとき、その音にかぶるように、突然雨音があたりを覆った。 熱気は既にどこかへ流れていった。大きく深呼吸すると、肺は涼しい、清浄さを感じさせる水の香りでいっぱいになった。 明日の朝にはまた蒸し暑さが戻っているのかもしれない。だが、こんな時間があるから、まだ夏は好きだ。 ...
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