ひぽこんコラム

2005年09月25日(日) 負けオヤジの遠吠え

 NHKでひっそりと、団地に一人住まいする孤独なオヂさんたちの物語を放映していました。最近はリストラやら離婚やらで妻子はいたものの一人になり、そして身心共に病んでしまい、孤独死してしまう人が凄く増えているのだとか…。我が身をも振り返りつつ、とてもシンミリ見てしまいました。
 で。ふと、(そういや、うちのオヤジも一人暮らしじゃん?)と思い出したのでした。うちのオヤジは滅多に私の口にも上らないくらいですから、ええ、好きじゃなりませんわ、私、オヤジのことは。だいたいもう10数年も会っておりません。私のオヤジは鬼畜という言葉がピッタリの人です。私が幼い頃から…いやいや、オカンによると、結婚1週間目から浮気して帰ってこなかったようなヤツ。オヤジの父というのが、私の大好きだった鍼師の盲目のおじいちゃんで、オヤジは「すごく稼いで弟子がたくさんいる」ような家でボンとして成長しちゃった、まぁ、よくいるゴクツブシなんですねぇ。でもって小金持ちの性っていうのかな。とにかく金金金の人。すべての基準はお金にあり!でも悲しいかな、ボン育ちだったからか、商才はナシ。ゆえに金儲けをたくらんで色々と商売に手を出しては失敗し、それでもこりずにまたやる。そして廻りに迷惑かけまくる、を繰り返しておりました。その間もむろん、女、酒は欠かせませんし。そんなですからぁ、まぁ、家にはあんまり帰ってこなかったし、帰ってきても私や姉は寄りつかなかったし。たまに寄りつくと「こ、この人はこれを正気で言ってるのだろうか?」というようなひどい言葉をスラスラとなんの気なしに言ってのけてくれていました。オヤジ名言�癸韻蓮屬�前は生きてるだけで迷惑だ」です。いやいやぁ。和田、よくぞグレずに生きてた!しかしこんなことばっか言われて育つと、そんな人と渡り合って行くために、計算高くなりました。今もキャアア、ハゲちゃ〜〜んと叫びながらもそんな自分を眺めて(ヨシヨシ。それくらい叫んでおけばいいだろう)みたいなイヤらしく計算してる自分がいつもいるわけです、絶対に。
 そんなオヤジ、私が高校を卒業して「靜香、留学したいわ」なんて可愛く夢見てた頃に「そんなこと知らん」と家を出て行き、よそで女の人と出来ちゃった子供らと暮らして居たのですが、その後なんか商売に再び手を出して、ものすごい額の借金をしまくり、しかし破産し、その借金全部踏み倒して、今では呑気な年金暮らしをしてるそうです(サラリーマン時代もありましたから)。借金した相手の中には「すごく人徳と金があって、親戚中の面倒を見ていた祖父」にお世話になったから…と退職金をほとんど全部貸してくれた親戚もいたらしいのですが、そんなことも知らん顔のようです。むろん、そういう親戚の中には、私に「あんたは子供なんだから金返せ」と言ってきた方もいらしたですが、極貧和田の生活っぷりにあきらめたようでございまする。申し訳ございませんですわ。
 そんなわけでオヤジ。今は孤独な生活らしい。でも風の噂では今も地元の居酒屋などでオババとチクリンしてるという話もある…。(性ってんですかねぇ? ま、鬱になって孤独死されるよりはいいのかもしれないけど…)私はときどき「それでもオヤジだしなぁ」とか思って、電話の1本もしてやるかぁとかも思うのですが、やはりしません。去年1度だけオヤジから数年振りに電話がかかってきたときは、思いきり罵ったのですが(鬼娘?)なんか馬耳東風でしたねぇ。人の言うことには無関心なんだろうなぁと思いました。さすがに虚しくて、その日はヒュルリ〜と代々木公園で一人膝抱えて座ってました、私。
 と。話がすっかりうちのオヤジになってしまいましたが。しかし。そんな鬼畜とは違うのかどうか。テレビに出てきたオヤジたちは悲しくて寂しくて人生をあきらめていました。でも一人だけ顔を出して出演したオヤジがいて、その人は自殺未遂して、その血の痕が今も壁に残ってるような人だけど、でもどうにか立ち直り、前向きになって、半身は不随ながらも新たな仕事を探そうとしてて、一生懸命でした。「それでも生きていかなきゃ」と言って。で。思ったのですが、そういう前向きオヤジと、「もうダメだし」とあきらめてるオヤジの差は「部屋のキレイさ」です。前向きオヤジは体が不自由なのに、部屋をすごくキレイに片付けていました。ダメダメオヤジはその逆で、部屋がゴミダメみたいで…。なんか人って、そんなちょっとした差、ほんのちょっとしたことで人生に違いが出てくるのでは?と思いました。ゴミを捨てる。掃除機をかける。整理整頓する。雑巾かけする。そんなことをするだけで、実は人生の何かを動かしていくのでは?と思った次第です。で。見終わった後、当然ガアアアと掃除機かけちまいましたわ。ほほほ。みなさんも落ち込んだら、掃除機!これですわ。
 ところでどうでもいいけど、鬼畜オヤジの兄、つまり私のオヂにあたる人はジョン・キューザックに似てる。キューザック見るたびに「オヂちゃんだあ」と思う。『ハイ・フィディリティ』とか「オタクになったオヂちゃんだぁ」です(笑)。死んだおじいちゃん、目は見えなかったのですが、果てしなく外人顔だったので、その血を受け継いでるんですね。ちなみにオヤジは祖母似。そして私はそのオヤジ似ですわ。ああぁ、血って…。
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