詩のような 世界
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等身大鏡に手を当てて
冷たい感触を確かめる
鏡の中には
居るはずのない貴方が
悲しそうな目で私を見ている
私は貴方にいろいろと問いかけるけれど
貴方は涙をこらえるように俯くだけ
私は罪悪感を覚え口を閉ざす
鏡に額をつけ
貴方の体温を感じようとしても
私にそんな資格はないとでも言うように
貴方は私からどんどん遠ざかっていく
それでも私は泣けなかった
こんな表情のない女に
貴方が愛想を尽かすのも当然ね
鏡の中には1人残された無様な私が
まるで捨てられた猫のように
どうすることもできずに立っていた
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