詩のような 世界

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2002年05月02日(木) 「自由」



冷たい清潔なフローリングの床に座り

目の前を浮遊する糸くずを眺めた

足元には倒れたコップが転がっている

そこから流れ出たミネラルウォーターは

窓の外まで水の線を引いた


ここはとても暖かく

白い壁は淀んだ空気を忘れさせてくれる

私は自由だ

しなければならないことは全て

さっきゴミ箱に捨てたから


床が濡れていようが

足首が冷たかろうが

そんなことは何の問題もない

そんなことがこの広大な世界に

悪影響を及ぼすとも思えない


解き放たれた私を

縛るものは何もない

私はこの白い部屋にすっぽり収まって

好きな本を読み

好きな映画を観て

時には鼻歌でも歌っていればいいのだ


それなのに私ときたら

気がつけばノロノロと立ち上がり

一心不乱にタオルを探している

足首の不快感に耐えられなくなった


白いタオルを手にして

私は情けない溜息をつく


縛られたいのだろうか私は・・・


倒れていたコップを

そっと起こした






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