詩のような 世界
目次|←|→
冷たい清潔なフローリングの床に座り
目の前を浮遊する糸くずを眺めた
足元には倒れたコップが転がっている
そこから流れ出たミネラルウォーターは
窓の外まで水の線を引いた
ここはとても暖かく
白い壁は淀んだ空気を忘れさせてくれる
私は自由だ
しなければならないことは全て
さっきゴミ箱に捨てたから
床が濡れていようが
足首が冷たかろうが
そんなことは何の問題もない
そんなことがこの広大な世界に
悪影響を及ぼすとも思えない
解き放たれた私を
縛るものは何もない
私はこの白い部屋にすっぽり収まって
好きな本を読み
好きな映画を観て
時には鼻歌でも歌っていればいいのだ
それなのに私ときたら
気がつけばノロノロと立ち上がり
一心不乱にタオルを探している
足首の不快感に耐えられなくなった
白いタオルを手にして
私は情けない溜息をつく
縛られたいのだろうか私は・・・
倒れていたコップを
そっと起こした
|