詩のような 世界
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水飲み場で手を洗った後の子供のように 両手をパタパタ振ると 大切に守ってきた感情など簡単に滑り落ちた
そうだ すべては灰色の欠片から成り立っている 嘘も本当も 言葉という表面でだけ存在している
何もかも中間 結果は曖昧
目の前に道はなく 後ろを振り返ってもまた同じ
僕はうまくバランスを取ろうとして失敗し 崖から足を踏み外した 命綱が腰に巻きついていることなどすっかり忘れ 意識だけがまっさかさまに転落していく 僕は胸の前で手を交差させる まさに今、笑えたらいいのに とふんわり思った
待ち受ける静寂に耳を澄ます
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