トルコの民話の中に「ホジャ」と言う人がいる。日本で言うところの 「一休さん」や「きっちょむさん」みたいな頓知の効いた 賢者と言うところだろうか。その「ホジャ」のお話を一つ紹介したい。
ある金曜日ホジャは会衆に向かってこう言った。 「皆さん、これから私がどんな話しをするかおわかりですかな?」 会衆は口を揃えて言った。 「わかりません。」 「なに、わからないとな・・・わからない人に何を言っても無駄という物。」 そういってホジャは壇上を降り会場を後にした。
次の金曜日ホジャはまた同じ質問をした。 「皆さん、これから私がどんな話しをするかおわかりですかな?」 会衆は口を揃えて言った。 「わかります。」 先週わからないと言って帰られてしまったので 会衆はそう答えるように決めていた。 「なに、わかってらっしゃるのなら話す必要はない。」 そういってホジャは壇上を降り会場を後にした。
次の金曜日にはまた同じ事を聞かれたら半分の人は 「わからない」と、半分の人は「わかる」と答えようと決め ホジャに帰られないようにしようと会衆は考えた。 そしてホジャの質問に会衆はそう答えた。 ホジャはその 答えを聞いてこう言った。 「それでは、わかってる人はわからない人に教えてあげるように」
始めに教えてくれなかったホジャは意地悪かもしれないけど 最後の「わかってる人は教えてあげるように・・・」 と言う言葉はとても好きだ。 何歳になってもわからないことや知らないことが 世の中にはたくさんある。人に聞いたときに 「そんなことも知らないのーー・・・」と言われたり そういう態度をとられるのは 「じゃ、あなた世の中の全てのことを知ってるの?」 と言う気持ちにさせられる。 知ってる人は知らない人に教えてあげるのが当然。 出来る人は出来ない人に教えてあげるのが当然。と言う考えがごくごく 当たり前のことにならないかな??と思う。
ホジャはトルコのお話なので出てくる宗教はイスラム教です。 知り合いの児島夫妻がホジャの研究をしていてその方の本から ホジャのお話を紹介しました。
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