一日一忍
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思い出すと涙が出そうになる出来事があります。
昨年祖父が逝去する数週間前、指にとげが刺さったみたいだから見てあげて欲しい、と祖母に言われ見に行った時のこと。 その頃にはすっかりおとなしくなってしまっていて、あれだけ話好きであっただけにそれはひどく弱っている印象を強めました。いつだってそれを疎ましく思っていたのに寂しく思うなんて、勝手な事です。
ただ黙ってされるがままに手を触らせてくれた祖父。 あんな風に祖父の手を取ったのは初めてだったかもしれません。そして情けないことに、本当に生まれて初めて祖父に優しく接することができたのだと、生まれて初めて向き合えたのだと今では思えて仕方がありません。 何をしたら喜ぶのか、どうにも頑固で偏屈で分からない祖父で、ちっともじじ孝行できなかった孫ですが、あの日が在って本当によかった。 これから毎年命日が近付くときっとこの光景を思い出して、嬉しさと懐かしさが込み上げ、それから少しだけ悲しくなるのでしょう。
結局とげは見つからず、取ってあげることはできませんでした。そのまま、持って行ってしまったね。ごめんね。
いつかは変わってしまう日常ですが、ただ一日でも多く笑顔でいられますように。 そればかり願ってやみません。
12月4日 祖父の一周忌に寄せて
K
ミズシマ
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