一平さんの隠し味
尼崎の「グリル一平」のマスターが、カウンター越しに語ります。


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2003年08月03日(日) その20


その20

せき止めてた水が溢れるかのように・・・

「帰りたい!帰りたい!帰りたい!・・・丹後に帰る!」と、何度も何度も言ってた。

夜中に泣いて立ってるのも人目があるし、とりあえず足長さんの所へ連れていった・・・

「すみません!あ、あのうーこの子を今夜だけ預かってもらえませんか・・・」

足長さんは、大きな荷物を持って泣いてる、その子を見て、とっさに察したのか、彼は
直ぐに、
「とりあえず座りなさい、君は前のパーマ屋さんの見習いの子やね・・・」

「愛想がよくて、毎朝あいさつをしてくれて・・・いつも頑張っていたよね・・・」

「あの店は、見習いさんが続かないことで有名なんだよな!」

「泊めるのはいいけど、一晩だけだよ!僕は下で寝るから・・・上で寝たらいいよ」

オルテガさんが・・・何か言いたそうに・・・

「僕の女かい?」・・・・・・・・(はあー?)(なに言ってんの、この人!・・・)

「さあーこのおっちゃんに言ってごらん、何があったんや!・・・」・・・・(こわ!)

見習いさんも少し落ち着いてきたのか・・・話し出した・・・

いつもの様に髪を洗ってると、あの大きな頭のクラブのママが、クリスマスで猫の手も
借りたいほどてんてこ舞の忙しさで、パーマ屋のママに見習いの子を、ちょっと・・・
貸して欲しい!ってことだったらしい・・・もちろん彼女は断ったらしいが・・・
クラブのママが、とうとう切れて・・・

「もう二度とこの店には来ないからね!」・・・・・・(何を言うとんねん!)

パーマ屋さんにとってクラブのママは上得意さんらしくて、必死にママをなだめていた
らしく、
「ママの店を手伝わなかったら・・・もう!田舎へ帰り!」っと・・・・(そんな、アホな)

それで、仕事が終わったとこで、店の外に、掘り出されたらしい・・・

今の時代では信じられないだろうが、どの店でも見習いさんは辛い思いをしていたと思う
それを、すべてを聞いてた、オルテガさんが・・・すくっと立って!

「その、クソばばあーの店はドコヤ!」・・・・(ええー!怒ってるでー知らんで!)

「若いモンを呼んで来い!」「その店で暴れたる!」・・・・・(それはいい考えだ!)

          
          また・・・・次の日・・・




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