一平さんの隠し味
尼崎の「グリル一平」のマスターが、カウンター越しに語ります。
目 次|過 去|未 来
その20
せき止めてた水が溢れるかのように・・・
「帰りたい!帰りたい!帰りたい!・・・丹後に帰る!」と、何度も何度も言ってた。
夜中に泣いて立ってるのも人目があるし、とりあえず足長さんの所へ連れていった・・・
「すみません!あ、あのうーこの子を今夜だけ預かってもらえませんか・・・」
足長さんは、大きな荷物を持って泣いてる、その子を見て、とっさに察したのか、彼は 直ぐに、 「とりあえず座りなさい、君は前のパーマ屋さんの見習いの子やね・・・」
「愛想がよくて、毎朝あいさつをしてくれて・・・いつも頑張っていたよね・・・」
「あの店は、見習いさんが続かないことで有名なんだよな!」
「泊めるのはいいけど、一晩だけだよ!僕は下で寝るから・・・上で寝たらいいよ」
オルテガさんが・・・何か言いたそうに・・・
「僕の女かい?」・・・・・・・・(はあー?)(なに言ってんの、この人!・・・)
「さあーこのおっちゃんに言ってごらん、何があったんや!・・・」・・・・(こわ!)
見習いさんも少し落ち着いてきたのか・・・話し出した・・・
いつもの様に髪を洗ってると、あの大きな頭のクラブのママが、クリスマスで猫の手も 借りたいほどてんてこ舞の忙しさで、パーマ屋のママに見習いの子を、ちょっと・・・ 貸して欲しい!ってことだったらしい・・・もちろん彼女は断ったらしいが・・・ クラブのママが、とうとう切れて・・・
「もう二度とこの店には来ないからね!」・・・・・・(何を言うとんねん!)
パーマ屋さんにとってクラブのママは上得意さんらしくて、必死にママをなだめていた らしく、 「ママの店を手伝わなかったら・・・もう!田舎へ帰り!」っと・・・・(そんな、アホな)
それで、仕事が終わったとこで、店の外に、掘り出されたらしい・・・
今の時代では信じられないだろうが、どの店でも見習いさんは辛い思いをしていたと思う それを、すべてを聞いてた、オルテガさんが・・・すくっと立って!
「その、クソばばあーの店はドコヤ!」・・・・(ええー!怒ってるでー知らんで!)
「若いモンを呼んで来い!」「その店で暴れたる!」・・・・・(それはいい考えだ!)
また・・・・次の日・・・
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