一平さんの隠し味
尼崎の「グリル一平」のマスターが、カウンター越しに語ります。
目 次|過 去|未 来
その22
外の方で何か騒がしく・・・
足長さんの店から斜め前のパーマ屋さんの方を見ると、オルテガさんが立つていた、 そのオルテガさんの大きな体に隠れるようにパーマ屋のママがペコペコと頭を 地面につくほどに下げていた・・・・(何故か気持ちが良くて、すーっとした) 大きな声で、オルテガさんが言っていた、
「そんなに人間!欲張っちゃいけねーよ!人という字があるだろうが、あの字を見てみろ 支えあって人という字ができてるんとちがうんか!あんたも見習いの頃が、あっただろうが、その頃の自分を支えた人のことを忘れたら、あかんのとちゃうか!勝手に店が、 大きくなったんじゃないだろうが!弱いものいじめをすな!あの子だって一生懸命 働いてるだろうが・・・助けてやれよ!・・・育ててやれよ!・・・」
それを聞いてた足長さんが・・・僕をさけるように横を向いて泣いていた・・・
オルテガさんて・・・さすが親分だ・・・そんな事を感じた私もちょうど20歳でした。
ネオンも消えた街の奥から・・・あの二人がクラブのママを連れて帰ってきた
また・・・次の日・・・
|