一平さんの隠し味
尼崎の「グリル一平」のマスターが、カウンター越しに語ります。
目 次|過 去|未 来
その38
大将の話しは続きます・・・
「金があるときは、赤い焼きそばに、汁を付けてもらうんや!」・・・・(ん!・・・汁?)
後ろから、また筋肉マンが・・・
「汁って?なんですの?」
大将が後ろの連中をバカにしたように、
「おまえらは、こんなええもんをしらんやろ!これがまた美味いんや!」
「ちょっと、あかぬけた、じょうひんな味や!おまえらには合わへん!」
筋肉マンが手に持っていたダンベルを置いて、むっ、とした顔をして、
「それって、胡椒とか小さいパンの揚げたのが浮いてるやつですか・・・?」
「大将!それね・・・スープって言いますねん!汁って何んですの?」
大将!おおきな声で!
「汁や!しるや!アホか!焼きそばに汁や!なに言うとんねん・・・」・・・・・(こわ!)
うしろの全員が大将を囲むように・・・、
「いつもカウンターで、そうやって注文してはるんですか?」
大将は鼻息が荒くなり、大きな頭を左右に振りながら奥のカーテンの中に消えていった。
筋肉マンたちが小さい声で・・・、
「汁やて!ううううう、腹がさけそうや!その店、行ってみよーや!」
またこの次
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