一平さんの隠し味
尼崎の「グリル一平」のマスターが、カウンター越しに語ります。
目 次|過 去|未 来
第二部 その10
修行時代も6〜7年経って、私も料理など作るようになってた、ある夜の日・・・
みんな集まるように店の親方から号令がかかった、めずらしい事なので、みんなザワザワ! 親方がみんなの前で・・・。 「ところで、みんなは貯金はどれぐらいあるんかな?」
「・・・・・・」「しーーん」 誰一人、貯金どころか、ほとんどの人が給料を前借りしてて(笑)、みんな下を向いたまま「しーん」
昭和39年頃から、オリンピック・など日本高度成長に入り始め、大阪万博と景気のいい頃もだんだんと 悪くなり、昭和48頃にオイルショックが来て、グリル一平も当時従業員が14人〜15人もいたのですが、 親方も、ここらでおもいきって店をもう一軒、出そうと思っていたそうです。
親方が・・・みんなの通帳をみながら、 「もう一軒、ノレン分けをしようと思ってるが、貯金をしてないんじゃ、商売をする以前の問題やな!」 「ん・・・!この通帳は誰や!・・・」・・・・・・・・(ドキ!)
「こんな大金をどうしたんや!田舎からでも送ってきたのか?」・・・・・・・・(ちがいますよ!)
「いえ・・・毎月二万ずつ貯金してたんですけど・・・」
「二万円って、お前の給料は二万円だよね・・・」 「小遣いは?」
「残業代が小遣いで・・・、」 「毎月90時間ちかくあったんで、何とか」
「確か・・・田舎へ仕送りもしてたよな・・・」 「あ・あ・ ハイ!」 「100万もなー で、小遣いって幾らぐらいあったんや!」・・・
「仕送りした残りで5000円ぐらいはありました。」 「で!5000円ぐらいで足りたんかいな!」
「あ・ハイ!夜の食事は卵を買ってきて寮のご飯に卵ごはんにして・・・」
「・・・わかった!・・・それで店やってみたいんか?」
これからは、また次の機会に
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