一平さんの隠し味
尼崎の「グリル一平」のマスターが、カウンター越しに語ります。
目 次|過 去|未 来
第二部 その15
オルテガさんが手に持って来たのは「お祝い金」だった、
私の前に座り・・・・・・(大きい体を動かすのにとてもしんどそう!)
「これは、今まで事務所に配達してくれたお礼や!」
「ええか、配達してた時の、あの気持ちを忘れたらあかんで!」
「店の中で料理を出すときは、雨の日に濡れながらお客さんの所に配達してた気持ちを思いだすんや、雪の日に配達してた時の冷たい手を忘れぬなよ!」
「ええか!コツコツお金は貯めるんやで、決して儲けから残そうと思ったらあかんで!贅沢せずに始末しながら残すんやで!」
「ええか!いろんな人と付き合うんや、いろんな人の話を聞くんやで、 自分の考えや意見は十年早いぞ、まず聞きながらどういう人か観察するんやために成る言葉はノートか何かにメモって残しとくや、本屋に売ってへんお前だけの、こころの本を作るや!」
言葉って凄いものですね、相手のこころに刻まれた言葉は30年経っても、昨日の事のように鮮明に出てきます。
この日から何日かしてオルテガさんは入院することになるんです。
又この次
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