kakera


微かな kakera 引き合い重なる…偶然か必然か
夢か現か 吉か凶か

2006年04月23日(日) 『同期の桜―君にめぐり逢いたい―』

 四月二十日から二十四日までというごく短い日程だが、上演の舞台『同期の桜』。
 ワタクシは昨日、本日と観劇してきた。

 題名からも判るように時代は大東亜戦争(第二次世界大戦)末期、学業中途の若い男子が海軍飛行隊に編入され、訓練の中で同期生との一体感、生死についての自己の葛藤、故郷に居る家族や友人、そして自分の国―日本―への愛情と憂う思い。それらを抱え空に散って逝った有志達の話。

 なぜに二回も観に行ったかといえば、ワタクシのお目当ては俳優、松田悟志。彼は航空隊第十四期生・日野肇(ひのはじめ)役で出演。
 という、事もあるがそれ以外にも。
 だって、こういうテーマ好きなんだもん!!歴史好きだし、重火器好き。
 マニア?ミリオタ?ちっちっち。
 ワタクシ程度じゃまだまだそこまでの域には達していませんぜ。ただの……商業側の泣かせるツボにものの見事に引っかかるくらい単細胞。な、だけよ。イイじゃねぇか!!
 今回、出演されている役者も若林豪、水野久美ほか、ベテランも多い。
 いつもの松田絡みの舞台と違うのは、そういった役者、テーマの事も有り、客層が違う。客層はなんと戦争経験者が大半を占めるのだ!
 芝居途中に挟まれるナレーションや演出上の当時の新聞記事が舞台上のスクリーンに大写しになると、そこここで囁かれる「あー、あの時は……」の声。ラストシーンのBGM(ハミングで歌われている曲・おそらく海軍に関係する軍歌)に合わせて朗々と歌う声。う〜ん、いつもとは盛り上がりが違う。

 テーマがテーマだけに少々重く、泣かせどころも多いが、味付けは十四期生の飛び出せ青春!みたいなカンジでどろりとした重さは無い。
 整備が充分に行き届かず、出陣できない零戦を整備して、学徒達を飛ばせてやってくれ、と言う豊島中佐と死なせるために整備なぞしたくないと拒否する庄司整備兵のやりとりは、とてもいい。
 ラストシーン、雲の中を漂うような風で十四期生全員が礼服を着て敬礼、という画もいい。
 それから、特攻隊員出陣前の「喜んで死んで逝ったと美化して後世に語らいでくれ」というシーンも好きだ。

 戦争体験した者、伝え聞くだけの者、聞くことすら出来ない者、様々な世代の中から引き出されるのが、自分を家族を国を守り、尊び、愛するという感情なら、靖国の桜もただ穏やかに咲いていられるだろうに。


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