これ以上間違うこと - 2002年07月11日(木) ナースステーションがわんわんわんわん、ほんとに蜂の巣つついたみたいになってた。 メディカルレコードは取り合いで、最近ラップトップを3台入れてくれたのにそれでもコンピューターも取り合いで、キスしちゃいそうなくらい顔をくっつけないと相手のドクターの声は聞こえないし、空いてる方の耳を塞いで喧嘩腰でしゃべらないと電話の向こうのドクターと会話出来ないし、腕をひっつかんで呼び止めなきゃナースはバタバタ歩き回る足を止めてくれないし、 ここ何日かずっとこんなで ここはほんとに病院だろうかって思うほどうるさいうるさいうるさい。 「ねえ聞きたいんだけど、この3日くらいこの病棟ちょっとクレイジー?」って、フランチェスカが不安げな顔してまぬけみたいなこと聞く。 「めちゃくちゃクレイジーじゃん」って言ったら、「よかった。あたしだけがそう思ってる気がして、精神分析医のカウンセリング受けようかと思ってた」って、泣きそうな顔して言った。 こんな日は患者さんたちもイライラするから、ふつうに話をするのが難しい。 それでも患者さんに会いに行くと、ナースステーションの地獄から救い出された気持ちになる。笑顔をくれるまで頑張って、忙しいのにいつもより患者さん診るのに時間をかけてしまう。 外はカラッと空気が乾いて、あの街みたいな夏の日が続く。 帰り道、久しぶりに Sugar Ray の Someday を聴いた。 波に揺れるようなちょっとボサノヴァっぽいメロディが、今日の陽差しに似合ってた。西海岸に相応しそうな曲だとも思って少しだけ、LA にいるドクターのこと考えたけど、想像がつかなかった。 それはとても切ない歌で、でも、泣いたらなんとなく気持ちよくなるみたいに、聴いたらなんとなく幸せになる。 あの人からまた留守電にメッセージが入ってた。 「明日の朝電話してね」。 いつ入れてくれたのかわかんないから、わたしの今夜なのか明日の夜のことなのかわからない。どっちにしても電話代払えなくなるからかけられないやって思ってたら、電話が鳴った。 「やっとかかったー。何回もかけたよ。留守電聴いてくれた? いっぱい入ってただろ?」 「いっぱい? 昨日と今日一回ずつ入ってた。」 また電話がおかしいのかな。 あの人は急いでて、ほんの少しだけ話して切った。 「明日の朝かけられる?」って聞いてたけど、「わかんない」って答えた。 説明する時間がなかった。それより体のことが心配だった。 「だいぶん元気になったよ。ムスコも元気だし」って言うから、「そんなのあたし嬉しくない。彼女が嬉しいだけじゃん」なんて言っちゃう。 so far, so long, so far away. so far, so wrong, so far away. 愛し合ってるけど、まちがってる。 いつか僕の人生が終わる頃、君がいつもそこに僕のためにいてくれたことを僕は不思議に思うんだろう。 人がなんて言おうと、君はいつもそこに僕のためにいてくれた。 遠くても愛せる。 長くても待てる。 離れていても想い続けられる。 でも、これ以上に間違うのはいやだ。 -
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