みんなでビーチに行く - 2002年08月18日(日) 性懲りもなく電話をかける。「今パンツ試着してるとこ」って、モールにいるカダーが返事した。あのなんだかよくわかんないカダーじゃなくて、ふつうのカダーで、ふつうに戻ったカダーがバカなことばっか話して、病気なのは自分じゃんって思いながら友だちでいられるならなんだっていいやって思った。振り回されてる。でもなんだっていい。なんでさ、好きにならせといて、好きになったらその気持ち突き放しちゃうんだろうね。ひどいじゃんね。でももうなんだっていい。カダーまで消えるのはいやだ。 土曜日の夜、ごはん作ってあげた。「明日病院のみんなとビーチに行くんだよ」って言ったら、「行く行く。僕も行く。マジェッドを誘って一緒に行くよ」って勝手に決めてる。また当然のように泊まって、ぐっすり眠りこけてる。わたしは早起きして、フランクに貸してもらったアイスボックスに、土曜日のお昼に作ったクスクスサラダとシーザーサラダと一緒にホーマスやらタヒーニやらをいっぱい詰めた。フランスパンとイタリアンブレッドもスライスして、タジキにヨーグルトとサワークリームを足して作ったディップと野菜のスティックも詰めた。ブラックプラムとピーチとグレープを小さい方のアイスボックスに入れた。カダーが一緒に来るって言うから、カダーの好きなオリーブも2種類容器に詰めた。 やっと目を覚ましたカダーに「コーヒー飲む?」って聞いたら「いい」って言うから、自分の分だけ入れて飲んでたら「やっぱりちょうだい」って言う。ベッドルームのカーテンを開けて、窓辺に置いたちっちゃいテーブルで一緒に飲む。コーヒーあんまり飲まないカダーが、フレンチローストがおいしいって飲んでる。BGM にかけたアンジー・ストーンをいいねって言ってる。ほらねほらね、素敵でしょ? カフェみたいでしょ? カダーは「このキッチンテーブルも持ってくのか」って、引っ越すとき呆れてたけど。お庭で鳥たちが囀るのを見ながら、またカダーが来てくれてよかったって思う。 着ていく水着をカダーに選んでもらう。ひわ色をちょっと明るくしたグリーンのワンピースをカダーがいいって言って、「着てみせてよ」って言う。パッドもワイヤーも入ってないから、胸がぺちゃんこで笑われた。上から背中の開いた短いドレスを被る。「素敵だね」ってカダーが言った。去年、カリビアン・パレードにドクターが連れてってくれたときに着てたドレス。 わたしはみんなと待ち合わせしてる病院に行って、カダーはルームメイトのマジェッドをピックアップしにうちに帰った。 ビーチは楽しかった。海で泳ぐなんて、何年ぶりだったろ。前に住んでたところは水が冷たくて、夏のビーチはからだを焼きに行っても泳ぎに行くとこじゃなかったから。マジェッドはジェニーが気に入って、カダーはエスターが連れてきた女の子にべったりだった。わたしは平気なふりしてみんなとはしゃいで、マジェッドと話し込んだり、アニーのオフィスのアニーじゃないほうのアニーの、小さなぼうやを抱っこして浅いところで遊んだりしてた。 それでもカダーは、わたしにサンタンローションを背中に塗ってくれって言ったり、わたしの水着のストラップが捻れてるのを直してくれたり、それからふざけてわたしにいろんなポーズをつけて、デジタルカメラで写真をいっぱい撮ってくれた。わたしはカダーが女の子と話してるすきに、マジェッドのデジタルカメラにマジェッドに肩を抱かれてぴったりくっついて写ってやった。 カダーもマジェッドも病院のみんなにすっかり溶け込んでて、カダーはジョークを言ってはみんなを笑わせてた。 帰るとき、駐車場でみんなに順番にバイのハグをして、カダーにハグしたらカダーはほっぺたにキスしてくれた。マジェッドにハグしたあともう一度カダーに抱きついた。「うちに着いたら電話して」ってカダーは言った。 カダーはマジェッドと帰ってった。わたしはアニーとぼうやを乗っけて帰る。車の中で、「カダーはアンタのボーイフレンドなの?」ってアニーが聞いた。「違う違う。ただの友だちだよ」って笑って答えて、なんとなくそれが嬉しかった。 -
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