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天使の電話 - 2006年02月09日(木) シャワーを浴びてたら電話が鳴る。 ジョーかと思った。 ジョーはいつも朝に電話をくれたから。 ジョーだったら。そうだったらいいって思った。 びしょぬれのままタオルも被らないで電話に走る。 「Hello?」 「もしもし?」 天使のあの人。 思わず天使の名まえを叫んだら、「わかる?」ってあの人が言った声に被さった。 天使のあの人。 天使のあの人。 元気そうな声だった。 「なんかおもしろいことあった?」 「あるよ、いっぱい。でも今度ね。遅刻しそうなの。っていうか、もう遅刻してる」 「わかった。またかけるよ。早く用意して出掛けな」 「うん、ごめん。今シャワー浴びてたんだ。素っ裸だよ」。 けらけら笑ったら、「素っ裸なのかあ」って、あの人があの言い方でそう言った声に被さった。 いつだっけ。いつだっけ。最後に電話くれたの。 嬉しかった。それだけで、仕事に行く道ずっと。 帰り道は、またずっとジョーのこと考えてた。 火曜日の夜から撮影の仕事でアップステイトに行ってるジェイソンは、「メールするよ」って言ったっきり、まだメールをくれない。 今日こそ届いてると思いながらチェックする。 ない。 ジョセフ? 誰? how r u sweetie ill always hope the best 4 you 真っ黒なページに、赤い薔薇の蕾がひらくとキスマークが飛び出る。 そして。 love joe ジョセフって、ジョーだったんだ。 メールなんかくれたことなかったからわかんなかった。 ジョーって、ジョセフだったのか。知らなかった。 知らなかったなんて。なんにも知らないんだ。 微笑みがこぼれたついでに涙がこぼれそうになる。 かけちゃいけない電話をかけてしまう。 ジョーが取れない電話から留守電メッセージが流れる。 たった一週間なのに、なつかしい。 切りかけて、流れるテープの声を最後まで聞いた。 息が詰まった。 「メール届いたよ。ありがと。ほんとに、ありがとね」。 思わず残したメッセージが、ほとんど涙声になった。 メールなんかくれたことなかった。 メールなんか一度も。 メールなんかわたしに送れないはずだった。 なのに。 こんなに素敵なメール。 こんなのほかの誰も送ってくれたことない。 ジョーはいつだって、こんなふうに素敵に驚かせてくれた。 愛いっぱいに驚かせてくれた。 あんなに愛されたこと、多分ない。 デイビッドにいつも求めてたもの。 今ジェイソンに求めようとしてるもの。 あんなに愛されたのに。あんなに素直に受け止められたのに。 それだけじゃどうしてだめなんだろうね。 一番大切なことなのにね。 ねえ、また電話くれてもね、これは「おもしろいこと」じゃないから話せないよ、天使。 -
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