一橋的雑記所

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2004年10月02日(土) 風のにおいが変わった。

この頃が、自分にとって一番な風の吹く季節。

思い出深い季節といへば、たとえば。

防波堤の先端にいつも一人佇んでいた真冬だとか。
満開の桜の下馬鹿みたいにいつまでもその向こうの青空を見ていた春だとか。
土砂降りの雨の中ハンドルを握り締め奥歯を噛み締めていた夏の終わる頃だとか。
その辺りになるのだけれども。

何の思い出らしい思い出のない。
ただ風の匂いが温度が突然に変わって。
半端な長さの袖口からすうっと滑り込んでくる。
ちょうど今頃くらいから始まる秋が。
己に取っては一番の季節。


そんな感じで。
何だか相変わらず文章とか言葉選びとかが荒れ放題なまま。
お蔭様で雑記を更新する気力も根こそぎな感たっぷりな。
今日この頃の一橋にて御座いますです、皆さま、ごきげんやう……(平伏)。


なんつーか。

書く事が此れほどまでに億劫といふか。
しんどいといふか。
呆れるほどかったるいなんて状態は。
なかなか久々に訪れた気がして。
どうにも胡乱極まりない日々が続いておりますのですが。

前述の通り。
今朝方くらいからやっと。
己にとって一番な風の吹く日々が始まった気配が濃厚になって参りましたので。

ゆるゆると。
だらだらと。
兎に角、書くだけ書く状態に。
己を引き戻そうとか思ってみたり。


思うだけなら、タダ(ヲイ)。


そんな事を考えつつ、実は今は10月3日(日)の夕刻なのですが。
己的お姉さまの雑記をこそりと拝読仕り。

ああ、己は本当に。
この方の事を姉と呼んでも構わないのかと。
そんな恐れ多い事をしても良いのかと。
少ししょんぼりとしつつも、その事実を、結構誇らしく思ってみたりして(コラ)。



そりは兎も角。



己が、二次創作を含め、所謂小話(小説にはあらず)を書き書きする時は。
多分に自身の経験や体験を切っ掛けにする事が多いのですが。

勿論、それは切っ掛けとかあふれ出る何かに過ぎないので。
丸ごと、己自身の身体感覚だとか感情とかで埋め尽くして。
それでひとつの形を成す事は先ず無理なものですから。

それこそ、大量の嘘や想像や憶測や思い込みをつぎ込んで。
どうにかこうにか、幾許かのメモリを喰い潰せるだけのものが出来上がる訳なのですが。

数少ない、人様から頂くご感想ですとかお言葉を伺うに。
やはり、そういった嘘の少ない部分が。
てか、己の心とか身体が覚えている事が明らかな、剥き出しの部分が。
頼りない外枠をあっさりとはみ出して居る事が多くて。
嬉しくもあり、また、恥ずかしくもあったりするのです。


文章とか文体とか言葉選びとかに拘ってみせつつでも。
己が書く事の出来るものは。
こうでしかないのだなあといふ形が明らかに其処にはあって。
だから。

「書けない」といふ状態が斯くも続くと。
自分自身でも気付かない内に、自分自身の何処かが。
とても人様の眼前に曝け出せない程に。
確実に、損なわれたり失われたり。
歪んでいたり醜く変質していたり。
いや実はこれまでは巧妙に隠しおおせていただけで。
本来あるべきものがこうして浮かび上がってきただけで。
本当の剥き出しの部分は決して人様にお見せしてはならぬものだから。
もう己は二度と何も書くべきではないのかもしれないとか。
そういふ、何の足しにもならねえ事ばかり思い浮かんで。
その事ばかりに囚われ続けることでまた書けなくなり。



正直。息苦しいまでに、辛かったり。



そんな中、手にした『マリみて』最新刊「特別でないだたの一日」は。

己の、極個人的かつ卑小な悩みだとか苦しさだとかを。
軽く吹き飛ばしてくれる、明るさと猥雑さと賑やかさに満ちていて。

早々に読み終えてしまう哀しさに脅えつつそれでも彼女たちの姿を。
留まる事無くくるくると動き回る彼女らの姿を求めてやまない逸る心を。
引き止め引き止めしながらでないと読めない楽しさに溢れておりました。

そんな風に、読みながら。
最初に手にした文庫版『マリみて』第一巻(所謂『無印』)から。
そうか、一年経ったのかと。
祥子と祐巳が出会ったあの頃から、ちょうど一年経ったんだねといふ事を。
繰り返し繰り返し、懐かしく思い返して。
これまでの一年に、この二人が辿ってきた道を。
特に、祐巳が当時の祥子の後を辿る形でなぞる場面では強く重ねあわせてながら。
何とも言えない、不思議な心地にて、思い返しておりました。


嗚呼。
まともな読了雑記が書けそうに無い状態にてあれですが。
ひとつだけ、徒然と、書いておきたい場面があります。

それは。
ラストのファイヤーストームからの場面。

あの頃と同じ、けれどもひとつ上の階段に上がってしまった二人が。
それでも、あの頃以上の強い絆を見せてくれたシーンには。
それも、祥子が自身の心をちゃんと言葉で語り掛ける事で見せてくれたシーンには。
祐巳ちゃんではないけれど。
目からウロコ落ちる勢いで涙が出そうになりました。


だからこそ。
最後の台詞は、重くもあり、切なくもあったのですが。


でも。
大丈夫。

二人なら。この二人なら、大丈夫。


ここに来て。
ようやく、祥子は祐巳を丸ごと包み込む姉になれたやうな気がするし。
その温もりに安心して縋れるやうになったからこそ祐巳が、今度は。
祥子に寄せるもの以外の部分では。
彼女を取り巻く全ての人に与え続けてきたその優しさを。強さを。
一番に必要としている誰かに、与える事を考えなければならないのだと。

己的には。
そう、思えた、とても良い、ラストシーンでありました。


祭りの後の寂しさを。
読み終えてしまった寂しさに重ねて深く深く感じながら。


この先の物語を。
この二人の行く末を。
また、心待ちにする日々が、そこからまた始まった気が、致しますです。



胡乱に徒然なるままに。
一先ずは、御前、失礼。



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