JERRY BEANS!!

2001年10月03日(水) 夢見る力

今日図書館で釈迦来迎絵図など、仏教関係の本を見た。
私は仏教絵画が好きだ。曼荼羅なんかだと解り易いけど、
あの絵には、ある一定の方が決まっている。

これはタロットカードの絵柄やキリスト教絵画でも同じで、
要するに型が決まっているという訳。例えばある人を描く時、
この人だったら、この人を象徴する、物だったり、ポーズだったり、
向きだったりが決まっていて、どの絵であっても(あえて型破り
をしているものは除くが)それが徹底されている。

…同じ題材を同じパターンで描いていく訳だけれど、だからこそ
描く人のセンスやら癖やら工夫やらが見れるので、それを考えながら
見ていると、とても楽しいのだ。


んで、今日はそういう画図を見ていて、その解説にあたる部分を
読んでいたら、そこにちらりと書かれていた文章に、少し魅せられた。

人は、何で神様の絵を描きたがるのか、という説明の中で、筆者は語る。
人は、「目に見えないもの」だけど、きっと存在すると思われるモノを
信じているのだそうだ。で、それを見たいから、絵に描いて、
見えないものを目に見える形で表現している、とのこと。

見えないものを見ようとする。その為に絵を描く。強く思い描く事。
これらはそのまま、人の夢をみる力に影響するんだそうだ。
なるほど、と思った。

現在の人達は、欲しい物や見たい物を、ちょっと苦労したり何かを使えば
簡単に見る事が出来てしまう。それも、他人の力でだ。誰かが
作った物。誰かが提示する物。既にそこにあるイメージを、簡単に、
手軽に拝見し、拝借する。そういう課程のなかで、私たちは夢を見る
“力”や、心に思い描くものを失ってきているような気がする。

今、何をして良いのか解らない。何が欲しいのか解らない。
空っぽの心の飽和状態。外から何かを入れてこないと、いつでも
心は空っぽが溢れてきて、どんなにどんなに詰め込んでも、それらは時間と
ともに流れていってしまうの。だから、多分淋しいんだ。

もっと強い夢が見れる世の中になると良いと思う。
そして私自身もそうした強い夢がもてると良いと思う。


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nana [HOMEPAGE]

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