もしも心が無かったら、きつく抱きしめてもらっても
何の意味もない。ただ、虚しさを感じるだけだ。
心の底では、辛いだけで、ずっとそんな感じだった。
ぼくは暖かい手が欲しかった。それも、偽物じゃない本物の手。
本物じゃなかったら、手でなくとも、言葉も目線も、愛も声も
はらはらと落ちる雪みたいに、肩に当たって、溶けるだけ。
乾いたあとには何も残らない。淋しい。
そんな人生ならいらない。
そう思って、一人で生きる方を選ぼうとしたら、
たまたま君に出会ったんだ。
ぼくはこれで、一人で生きなくてもいいと思った。
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